−prologue−
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私は、本を読むのが好きだ。
ジャンルは様々だが、一番好きなのは「不思議の国のアリス」。今となっては様々な異世界転生ものの物語があるけど原点はルイス・キャロルが書いたこの物語だろう。
なぜ、その話が好きかというと一つは両親の影響、自分の名前。
言咲アリス(ことさきありす)、「アリス」と名付けたのは私の両親。
本屋を経営してた両親は一人っ子の私に退屈させないように色々な本を持ってきてくれた。7歳の誕生日にプレゼントでくれたのがこの「不思議の国のアリス」。アリスのモデルがキャロルの知人、7歳のアリス・リデルで幼い少女も7歳という考察もあるらしい。白うさぎを追いかけて不思議な国に迷い込み、話す動物、動くトランプたちと出会いその世界を冒険する物語。
両親はいつも一人だった私に「人じゃなくてもいいから一緒に夢中になれるものを探しなさい。この物語のアリスと同じように」と言ってくれたのを今でも覚えてる。
その両親は7歳の誕生日の4ヶ月後に事件に巻き込まれて行方不明になった。事故、いや怪奇現象なのかもしれない。電車が一両だけ突然消える現象。その一両に私の両親がいた。
あれから10年、私はずっとひとりぼっちだ。いやこれは例え、比喩だ。友達もいるし、こんな私にも彼氏がいる。でも、アリスの話が好きなもう一つの理由ともう一つの事件で心に穴が空いた。
古河里烏、私の幼馴染だ。
保育園の時からの仲で両親共々友好があった。
完全な引っ込み思案な私に対してリオは活発で仲間思いな男の子だった。
そんなリオのことが気になって、いや好きだった。リオも「不思議の国のアリス」が好きみたいでよくアリスと白うさぎごっこをした。これが私が「不思議の国のアリス」が好きなもう一つの理由。
両親が行方不明になってから祖母の家に引き取られた私は転校することになった。文通や高校生になってからはLINEもしていた。
ある日、突然音信不通になった。半年前、リオの両親から捜索願を出したことを聞かされた。また、ひとりぼっちだ。この穴はなんなんだろう。
その半年後、私はこの街の高校に転校してきた。
両親と思い出がある街、リオとの思い出が詰まってる街。運命みたいにまたこの街に戻ってきた。
−4月28日−
「アリス〜今度のGWどこか行かない?」
明谷誠、私の彼氏で同級生。
「ん〜この前映画行ったもんね。GWだと人混みもあるからあまり歩きたくないしなあ」
ただをこねる私に誠はニヤリとファイルからチラシを出す。
「完全にインドアなアリスにぴったりだと思うんだ!」
<みんなで仲良くボードゲームしながらブレイクタイム!>
途轍もないカラフルなペンで書かれたその言葉。私は震え声でいう。
「ねえ、こ、これコミュ障な私にはレベル高すぎない?」
「大丈夫!アリス可愛いから!」
「答えになってないし!見知らない人と話すのが無理なんだけど」
泣き目な私に、誠は明るい陽キャラオーラの笑顔で言葉を返す。
「アリスモテるからあまり人前に出さない方がいいか?!」
誠の人を小馬鹿にした言い方にイラっとなった私は誠の頰をつねり言い返す。
「行くから!全く!なんでこんな男と付き合ってるんだろう、、、」
リオだったらもう少し優しい言葉をかけてくれるのに。そう思いながらの下校途中。
この時から運命は始まってたのかもしれない。
「みっけた、My sweet Heart.」




