【4、満月】
あの後、愛を確かめ合った私たちは次の日にはお互いの両親に挨拶に行き、その次の日に王女様へ報告した。
いい機会だからと王女様のご厚意により婚姻の届出がスピード受理され、あわてて教会で祈りを捧げた。
トントン拍子に騎士団の家族用宿舎に移ることもできた。
朝起きてもマット。寝るまでマット。夢の中までマット。はぁ。マット、愛してる……。
王女様が隣国にたたれた後も、私はというと王宮の文官のアシスタント……というか庶務として筆を走らせることになった。
文官たちよ……!
恐れおののくがいいわ!これが、王宮の有能侍女お姉さまに鍛えられた筆さばき!
他の追随を許さないほどの速さ!そして誰よりも優美な文字!
残業なんてしない、させない、許さない。SSYの精神で今日も全力投球。
なんたって帰って来たマットを出迎え「ごはんにする?お風呂にする?それともワ、タ、シ?」を週四でやるって決めているんだから……!
ちなみに有能侍女お姉様はハリーと結婚した。二人がそういう仲だなんて気付かなかったわ。
マットとは結婚しても相変わらず、喧嘩したり仲直りしたり喧嘩したり家出したり連れ戻されたり。色々……本当に色々あったけど、なんとかやっている。
毎日マットの愛を感じて、私もマットに愛を囁いている。愛の湧き水だ。
古い日記を読み終わり、そろそろかな?と腰を上げると後ろから声をかけられた。
「お嬢さん。大切な手紙が飛んできたよ」
マットが持っているのは子どもの手習いで使ったメモ用紙だ。
「まぁ。貴方のところまで?」
いつかのやり取りに笑みが零れる。
膨らんだお腹を避けるようにマットの大きく優しい腕に包み込まれる。
「あぁ。ちゃんと、俺のところまで」
最後まで読んでくださってありがとうございます!
思いついたら続きと加筆をしたいと思います。