第九話 赤い国
お久しぶりです。
ロシア帝国は「第三のローマ」としてツァーリの下、確固たる帝国として東欧に君臨していた。しかし、最早この国に体力はほとんど残されていなかった。国内は疲弊し、戦争で国外に不満の目を逸らさせることで辛うじて国は保たれていた。折からの政情不安が大戦争による生活苦で爆発し、革命は再発した。ツァーリはとうとう退位し、ロマノフ朝もまた終焉した。
そんな中、ドイツを通ってある男が帝都ペトログラードに降り立った。レーニンである。彼はスイスから、ドイツの協力も得て遠路はるばるロシアまで来た。依然として様々な勢力が存在し、ロシアはカオスに包まれた。その中でやがて力を持って行ったのはボリシェヴィキであった。二月革命の後に成立した臨時政府は十月革命により消え失せ、ボリシェヴィキが権力を掌握した。
以後もロシアは厳しい時代を過ごすことになる。白軍を中心とした国内の反体制派。労働者政府の広がりを抑えたい列強諸国。そして東部戦線の終わりを知らせるブレスト=リトフスク条約。血で血を洗う争いは続き、その上更に飢饉にも見舞われた。
ボリシェヴィキを引っ張っていたレーニンが病に倒れ死去すると、大きくはスターリン派とトロツキー派での争いも起きた。不信は粛清を呼び、恐怖をもたらした。極寒の大地で人々が目指したのはいかなる世界だったのだろうか。
あと二回で完結します。