93話『弱点』
突入数時間前
「ここがあの婚約者強奪犯の家です! 今も尚犯人は立てこもっております!」
と聖はマイク片手にビレニアが持っているカメラに向かって話していた。
「聖、それって誰に放映するの?」
と猛が聞くと聖は
「いや、この依頼が終わったらすべての国民に放映する、ドキュメンタリー映画として永遠に残すのだよ」
と誇らしそうに言った。
そして続けて
「いいか! 我々は今歴史的瞬間を手伝っているんだよ! それが興奮せずにいられるかね! 否! いられるわけがない! だからこそこうやって自分たちがこの国の運命を握っていたことをこの国の国民に教えてあげて教科書に乗せるのだよ!」
と言った。
そして長谷川は
「まあ確かに、デリクス様もなんかこの結婚で政治的な何かの一手が決まる敵なこと言ってたしな、大切な何かって言うのは分かるよ」
と言って観察を続けていた。
すると長谷川は
「やばいぞ! 聖! あいつらS○Xするつもりだ!!」
と慌てて報告した。
それを聞いて
「何だと! あいつらそんなハレンチなことを人の家で行う気か!! 恥を知れ!!」
と喚いていたが
「だがどうやって突入するか! 普通に突入しても挿入までに間に合うかどうか!」
と聖は考えていると
猛の方を見た。
「?? 何? どうしたの?」
と不安そうに猛は聖の目線に気づいて聞いた。
聖は言った。
「猛よ、お前を借りるぞ、あの中では私が戦うようにするからいいか?」
と聞いてきた。
猛は
「え、何? 何をするつもりだ?」
と不安そうに聞いたが
ガシイ!!
といきなり頭を掴まれて
「いっけえええええええええええええええええええええええええええええええええ!! 猛ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
と言ってそのまま投げられた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
と悲鳴を上げながら
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
と大きな音を上げながら猛はボロ家の壁に穴をあけた。
長谷川は
「猛ウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
と叫んで走って行った。
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(確かに私が戦うと言ったがまさか一斉のでをやって時間を潰すとはな、まあいいさこいつ相手ならあいつらにお願いすることもないだろう)
と考えてサンニースの方を見た。
「どうして、何だお前は、どうして回復する?」
「回復? ああ、不老不死の事かね? もしかして何か攻撃したのか? やあごめんごめん、貧弱すぎてあんまり気づかなかったよ、ごめんね? 気づかなくて」
と聖は言って笑った。
それを聞いてサンニースは
「不老不死だと……バカな!! そんなものがこの世にあるわけないじゃないか!! バカなこと言ってんじゃねえぞ!」
と信じられないと言わんばかりの顔で聖を見た。
すると聖は
「私の不老不死は神に与えられた特殊な者さ、お前みたいな者には与えられんがな」
と言って聖はサンニースをおちょくった。
だが、サンニースは笑いながら
「そうか、不老不死で治ってるだけか……それなら簡単だ、お前の弱点を見つけたぞ!」
と言って指を指した。
それを聞いて聖は
「な! なんだってえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
と言った。
続けて聖は
「嘘だ!! 私の弱点何てあるわけがない!! ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!!」
と言ってサンニースを威嚇した。
サンニースは笑いながら
「それはどうかな、それを俺が今証明してやる!! ハイパーファイアー!!」
と言って魔法を放った。
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
爆発と共にサンニースは前へ進んだ。
そして聖に近づき
「くらえ!!」
と言って持っていた隠しナイフで腕を斬りつけた。
「……」
聖の腕は傷がついたがすぐに治った。
そして、サンニースはそのまま聖を斬りつけ続けた。
「何をやってるんだ? さっきから斬りつけて、私は治るというのに? もしかして治癒が追い付かなくて私が死ぬとでも?」
と聞いた。
するとサンニースは
「いや違うね! お前はまだ気づいていないのか? 自分の最大の弱点を?」
「?? はあ? 分からんのだが? ねえ? いったい何がしたいの?」
と聞いた。
そしてサンニースは
先程の鈍器を取り出して頭を再び叩きつけた。
聖は
「もしかして、脳みそを破壊すれば不老不死の機能が無くなるとでも思った?」
と聞いた。
だがすぐにサンニースは
「お前、思ったよりバカだな」
と言って腹を殴った。
「……ぷふ」
と口から少し涎が出た。
そして聖は
「はあ、そういうことか……やはり、侮って正解だったな」
と言って聖は笑った。
それを見てサンニースは
「な! 何だ! まあいい! お前はもうおそ……」
スッ
聖は取り出した札をサンニースの首に貼りつけた。
「??」
するとサンニースは
頭と体がいきなり離れた。
「!!」
「人体切断マジック札、これは貼った部分から人間の人体を分離させることが可能になる札だ、これで君は私に攻撃できなくなる、つまり私に痛みを与えることが出来ないということだよ」
「な!!!」
そのままサンニースの体は倒れて首だけがそこへ転がった。
そして聖は続けて言った。
「サンニース君と言ったか、気づいてないのは君の方だ、私が痛みに耐えきれなくなって倒せると考えたんだろ? しかしそれは違う、だから私はその選択肢を除外した」
「!! お前! 気づいて!!」
サンニースは信じられないという顔をした。
聖はため息をつきながら
「あのね、私は長い間生きてるんだよ? 痛みを克服したとは考えなかったの?」
「!!」
聖は不老不死と言った
だからこそ、何年生きている中、痛みの克服をしないで生きていない可能性は少ない
もし聖がこの世界に来たばかりで自分の能力を理解できていないのならともかく
聖は長く生きていた。
その可能性を除外したサンニースは聖にとって取るに足らない存在になってしまった。
「さてと、私に痛みを与えて再起不能にしたかったんだよね? 本当の意味での痛みと再起不能をプレゼントしてあげる!」
と言って聖は微笑んだ。
その笑顔がサンニースには悪魔のように見えた。




