87話『国同士の』
「糞おお!! レミアール!! どうして逃げたんだ! デリクス様と結婚してもらわないと私たちは困るというのに!!」
大帝国アマノガ国
そこで一人の男が唸っていた。
その男はこの国の王であるジョリベル王である。
娘にデリクスの嫁になってもらうことにより大都市デネブの王女として即位してもらう、
そして、経済関係で盛んなアマノガと権力の高いデネブ国
この国が協力関係になるためにはレミアールと呼ばれた国王の娘である姫にデリクスとの結婚をしなければ都合がつかないのである。
すると
「これはいささかまずいのではないですかね? ジョリベル王?」
「ベリクソ様!! 申し訳ない! デリクス様にはもう少し待ってくれるよう頼んでくれないか! 何とか見つけて説得してみせる!」
と大きな声で言って説得しようとした。
すると
「まあいいではないか、ベリクソ、だがジョリベル王よ、私は寛大だから待つのであるが、正直ただ待つのではつまらない、どれ、私も一つ協力しようじゃないか?」
と言ってにやりと笑いながら現れるデリクス
彼は大都市デネブの第一王子である。
彼がこの国のレミアール姫と結婚して、契約を確かなものにすることとなった一人の男である。
デリクスは言った。
「何、私の愛しい妻になる姫だ、どんな手を使ってでも結婚してみせるさ、万事任せたまえ、ジョリベル王よ!」
「ありがとうございます! デリクス王子! あなた様は本当に凄い御方だ!」
と言ってジョリベルは喜んだ。
そしてデリクスは
「まあ、秘策もあるしな」
と言ってにやりと笑った。
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暗い街中を2人の男女が走っていた。
1人は見窄らしい格好をした男で、
もう1人は美しい顔立ちをして
同じく見窄らしい服を着ているが気品に満ちた顔をしていた。
「こっちだ! レミアール!」
男はレミアールと呼ばれた女性に言って角へと入った。
「すみません、私が遅いばっかりに」
「そんなことはないよ、レミアール」
と言って2人は見つめ合った。
そして2人は軽くキスをした。
レミアールは
「……本当にごめんなさい、私のせいで……ガルディア」
と申し訳なさそうにしながら言った。
ガルディアと呼ばれた男は
「大丈夫だよ、愛しい人の為ならば、僕はなんだってする覚悟だよ」
と言った。
それを聞いてレミアールは涙を流した。
「私は自由になるんですね」
と言って嬉しそうにした。
ガルディアは
「ああ、僕と結婚しよう、絶対に幸せにするよ」
と言って顔を赤くした。
レミアールは
「別に幸せになりたいんじゃないんです、私は自分の意思で道を選択したかっただけなのだから、こうして愛した男性と結婚をして、いつか子供を作ってあなたと一緒に楽しく過ごしたい、私がそう思っただけです、だから私のわがままを聞いてくれてありがとう、ガルディア」
と言いながら抱きしめた。
ガルディアはレミアールを抱きしめ返した。
そして
「さあ、逃げよう! 僕と君のこれからの日々のために!」
「はい!」
そう言って2人は再び走り出した。
その時
「朗報!! 朗報!! 大都市デネブの姫君! リン姫が無残に殺されたそうだ! 犯人は正体不明の死刑囚!!」
レミアールはそれを聞いて足が止まった。
ガルディアも信じられないような顔をした。
「そっそんな……リンが……何で……」
「リンって、あの子だよね、君のお友達の……どうして……」
2人はリンを知っていた。
レミアールにとってデリクスが来るときは苦痛であったが
リンが付いてきたときは少しは苦痛が和らいだ。
彼女は自分の気持ちを理解してくれる唯一の親友だった。
そして、ガルディアもリンとは知り合っていた。
御付きのメリアとも知り合って格闘術を教わって強くもなった。
そして、ガルディアにとっても辛い言葉再び聞こえた。
「御付きのメリア殿も無残に殺されて2人とも見るに堪えないそうだよ! 死体は桶すらも開けることが叶わなかったそうだ!!」
「「!!」」
2人はその言葉を聞いて
「そんな……そんな……」
「嘘だろ……メリアさんまでもが……」
と2人は動揺した。
しかし、すぐに我に返ったのはガルディアだった。
「レミアール! 行こう!! 2人のことがショックなのは分かる! 僕も大切な友達が死んで苦しい!! でも! でも今は……泣いている場合じゃない!」
そう言ってレミアールを引っ張った。
「……そうね……あなたの言う通り……ね……」
と言って再び走り出した。
レミアールは
「ねえ、ガルディア、もし私たち結婚できたら2人の墓を作りましょう、死体がなくても2人をいつまでも祈ることのできるように……」
と言った。
ガルディアは
「ああ……そうだな、俺たちは2人の分までも生きて、2人の分まで幸せを掴まないとな……」
と言ってガルディアは誓った。
(2人とも見守ってください……僕らは絶対に幸せになります……)
そう心で願った。
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数時間前
「なあ、回復してからずっと歩きぱなっしだったからさ、休まない? シンドイ」
猛の足は笑っていた。
それを見て聖は
「足は笑ってるんだから元気なんじゃないか?」
と言い出した。
それを聞いて猛は
「足が笑うっていうのはそう言う意味ではないのでは?」
と言った。
長谷川は
「でも休みたいのはみんな同じじゃないのか? 聖? さっきから飲み食いないしに歩きっぱなしだぜ、ビレニアも結構目がやばい」
と言われて聖はビレニアを見ると
「だっ大丈夫……だっ大丈夫だよ……っだだぢだだじょ」
と言葉がおかしくなっていた。
聖は
「え、マジで? そんなに?」
「「うん」」
と2人に言われて気づいた。
猛は
「もしかして、不老不死のせいで感覚がおかしくなってるんじゃない? 疲れがあまり出てないとか?」
と言って聖は足を見るとかなりがくがくだった。
不老不死により疲れても多少大丈夫だろう、
その考えで生きてきて時には自分自身に人体実験をしていた聖の感覚は時折人治を超えてしまうこともあった。
そのため、旅の中、自分が疲れていないということで3人のことが見えていなかったのであった。
「さっ流石にごめん、そうだね、休もうか」
と言って聖は休憩を取ろうとすると
「そこの、道を開けよ、愚民」
と一つの馬車が現れた。




