66話『掌』
「さてと、君はどうするかなんて、考えなくても分かるだろう? 消滅するんだよ君は、先ほどのセリーヌって言う悪霊と同じくね」
とレイチアを見ながら言った。
聖はセリーヌに貼った札を持って近づいた。
「あああああ……ああああああ」
恐怖で体が震えながらレイチアは敗北した。
そして、自分は死んでしまうことを自覚した。
自分の親を殺した張本人に
人体実験で全てを奪った女に
自分は結局敵も取ることも出来ず
成し遂げることもなく、
何の意味も持たないで
そんな感情が渦巻く
そして
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
と奇声のような声を上げた。
その声は大きく森に響き渡った。
「まあ君の母親や父親からはたくさんの研究をさせてもらった、感謝してやるよ、ありがとう」
そう言って札を張ろうとした瞬間
ブシャアアアアアア!!
「「!!」」
「へ?」
聖の頭に鍬のようなものが刺さった。
そのまま聖の頭は出血した。
「何々? 怖いんだけど? 2人とも私を見捨てるだけじゃ飽き足らず私を鍬で刺すとかどんだけ病んでんの?」
「いやいやいや!!」
「俺たちじゃないッスよ!! 本当に俺たちじゃないんですって!!」
2人も完全に動揺していた。
聖は
「じゃあ誰だよ?」
と見渡すと
森の近くからたくさんの村の人間が出て来た。
そして皆は険しい表情をしていた。
それを見て聖は笑顔で言った。
「皆さん! 悪霊はこの娘です! こいつを滅ぼせばあなたたちの村の平和は約束されます! どうかご安心を!」
と言った。
だが聖は
(まあ、そんなことはないけど、そもそもこいつが原因じゃないからな、幽霊だったし……)
と考えると村の人は石を投げ始めた。
「この腐れ外道どもが!!」
「死ねええええええエエエエエエエエエエエエエエ!」
「こんな小さな子供をいじめるなんて最低!!」
「お前らが死んじまえええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」
と言いながら
「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」
村で受けた依頼とは違うことを言い出したのだ。
自分たちにこんな苦労をさせておきながら自分の目の前の偽善を優先させる
村人を見て猛と長谷川はドン引きした。
「いやいやいや、言ってることが違うじゃないですか! こいつ悪霊ですよ!! こいつを倒せって言ったの貴方たちですよね!」
と猛は受けた依頼のことを村人に投げかけたが
「そんなことは言った覚えはないぞ!」
「そうだ! 幽霊であれこんな小さな子を倒せなんて私たちが言うわけじゃないわ!」
「てめえらが勝手にやった事だろうが!!」
「死ねええええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」
猛と長谷川は思った。
((何かこいつらヤバイ))
(え、なんか本当に掌返しが怖い、何こいつら? 何でこうも自分の言ったことを変えられるの? もはや狂気なんだけど?)
(頭ヤバいこいつら……ここまでくるともはや何も言えねえよ)
と考えていると誰かに抱っこされながらお爺さんが言った。
「お前らはワシから足と手を奪うだけでなく! こんな小さなこの命を奪うゴミども何て! 本当に最低じゃ! 消え失せろ!!」
と言った。
2人は
「「それはおめえのせえらごうあがああああああああああああああああああああああああああ!!」」
とブチギレた。
が聖が手で前をさえぎった。
そして、
「申し訳ございません、私たちが勝手に必要と思ってやってしまった事です、あなたちのことを考えずに私たちが勝手に起こした行動で幽霊とはいえこの子の命を消そうとしたこと、きっと償うことのできない罪になるでしょう、私たちはこの罪を抱えながらこの村を去ろうと思います、2人とも、行きましょう」
「え、ああ……うん」
「りょっ了解……」
2人は聖の行動の意図が分からなかった。
らしくな
2人は聖なら村人を追いつめてこの場に争いを産んででも自分の意見を押し通すかと考えていたがそれをしなかった。
これがあの町を滅ぼした人間の器なのか? こいつはいったい何を考えてるのか?
あの時の地獄絵図を見た2人からしたら不思議で仕方なかった。
村人は
「出て行けえええええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」
「二度と来るんじゃねええええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」
「大丈夫? 可哀そうに」
「私たちが来たからもう大丈夫よ?」
と言って村人はレイチアに駆け寄った。
レイチアは涙を流しながら
「あ……ありがとう」
と言ってお礼を言った。
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「「……」」
「不思議かい? 私があいつらに何もせずに出て行くことが?」
「え、ああ、まあ」
「そっそうだな、もっとなんか言うかと思ったけど?」
2人は不思議そうにしながら言った。
そして聖がそんなことを言うのだから
((ああ、やっぱなんかあるんだ……))
とも察した。
それを見て聖も
「まあ、内容までは分からなそうだから説明をさせてもらうとね? あの子、完全に悪霊になったよ、それも放置するとおぞましいことが起こってしまうぐらいにはね、多分あの村地獄を見るんじゃないかな?」
「「!!!!」」
2人はやはりと思ったがぎょっとした。




