109話『我慢』
聖と猛と長谷川とビレニア
4人はある者を待っていた。
「遅いですね……もう十分は遅れてますよ」
猛はイライラしながら言った。
「確かに、俺らの世界だったら即首切りだな」
と長谷川はその世界でのルールを知らんとばかりに吐き捨てた。
「いやあ、これはどこの世界でも同じだから、例え偉くても遅刻なんて普通許されないぞ」
流石の聖もイライラしながら待っていた。
それを見てビレニアは
「現王がダメだと聞いてはいましたが時間すら守れないとは……デリクス様の話ではそこまで仕事はなかったと聞いてますし、てか大体デリクス様が終わらせているから遅刻する理由もないはずでは……」
とうんざりしながら待っていた。
するとそこへドアが開いた。
「「「「!!」」」」
4人は待つのが終わったと思い目をやると
「……あのバカまだ来てないのか?」
と呆れたような目をしたデリクスがいた。
4人は失礼ではあるが
「ああ……デリクス様……ご結婚おめでとうございます」
と言って疲れたような目で言った。
聖は
「すみません、こんな気持ちの籠っていない状態でお祝いの言葉を言ってしまって……」
とゲッソリしながら言った。
デリクスは
「いいよ、あの男が悪いんだから……かれこれ一時間も立ってるんだからゲッソリもするさ……本当に遅いな」
と思いドアを出た。
「では私たちは準備は終わったから待っておくよ、君たちは来られた時に出迎えて案内をしてくれればいいから……」
と言ってデリクスも少しうんざりしていた。
それを見て
「まさかここまで待たされるとは、本当にデリクス様の言う通り無能ですね……取り敢えず言い訳は聞こうじゃないか……」
と聖は眠そうな目で待った。
すると
「遅れてすまない、困っている人を見ると助けずにはいられない、この国に来るまでに奴隷商人から子供を開放したり不法滞在だからと言って国から追い出された者にお金を配ったりと大変だったよ」
とアレク王がとんでもないことを言って現れた。
4人とも
((((これが、すべての元凶、ここに来るまでにもとんでもなくお金を無駄にしてきやがったな、ここに来るだけでよくもまあそこまで馬鹿なことが出来たものだ……))))
と同じことを思ってしまった。
猛は
「遅い」
と言って睨みつけた。
聖は止めなかった。
理由は簡単だ、例え王であっても遅刻は許されないのだ、
いや、むしろもっとも王こそがきちんとしないといけないことである。
人の信用を掴まなければ王など務まらない、とどのつまりそういう部分をきっちりするべきなのであった。
だがアレク王の近くにいた男、ボディーガードの男は
「貴様! 王に向かってなんて言葉を吐くんだ!」
と思いっきりおこった。
するとアレク王は
「良いんだ、レウザーよ、君確かに遅刻はしたが私の言ったことをちゃんと聞いたのかい? 私はここに来るまでに色々な人が困っていたんだよ、それを助けるなって言いたいのかい? 君には人の心がないのかい?」
とアレク王は言った。
猛は
「だからって遅刻をするな、常識もないのに人助けを言い訳にしたら許されると思うなよボケ」
とアレク王を思いっきり罵った。
それでも聖は止めなかった。
それどころか
(猛の言い分は正しい、困っているから人を待たせてはいい理由にはならない、そのことすらこの王は分からんのか、しかもいちいちそれを言うなよ、私も元の世界で見たアニメで人助けをして遅刻した少女は人助けを言い訳にせずにちゃんと遅刻は自分の責任と認めたぞ、アニメキャラではあるがそんな少女でもできることがこの王には出来ないのか……これは本当にデリクス様に王になって貰わないとデネブは終わるな……)
と分析していた。
だが王はそれを聞いて
「そうか、君はそんな程度の奴なんだな……」
と言って猛と見下した。
「ああ! 何見下してんだよ! 特に賢いわけでもないくせに!! 地位が高いからって何でも許されると思うなよ!! 謝れ!! 土下座しろやボケえええ!!」
とプチンとキレた猛は食って掛かったが
「それまで、猛、そのくらいに……王様もみんな待ってるんですから早く準備をしてください」
と言ってさすがに聖が止めに入った。
「……ち」
と猛は舌打ちをして心を落ち着けた。
聖はコソッと
「お前の気持ちは分かる、だがお前も今は抑えろ……いいな、抑えるんだ、これぐらいなら私がフォローしてやるからな」
と言って耳打ちした。
猛は仕方なさそうに
「分かったよ……」
と言って怒りをやっと鎮めることが出来た。
だが王は
「君はもうちょっと常識を覚えた方が良い、私に言う前にね」
と言って出て行った。
猛は
ドオオオオオオン!!
と壁を殴って壊した。
長谷川は
「猛、物に当たらない」
と言って落ち着けた。
ビレニアも
「怒る理由は分かりますが猛はまだ幼いのですね、我慢を覚えた方が良いですよ、今は抑えた方が良いです」
「……はい」
と猛は納得できなさそうにしながら言った。
聖は
「まあまあ、後で発散できる時を上げるから落ち着いて落ち着いて、りらーっくすりらーっくす」
と言って頭を撫でた。
そしてデリクスの結婚式が始まる。




