106話『遺言』
「まあ、その子にはいろいろと世話になったよ、いくら私が王になるためとはいえピアスまで付けさせて男のように振る舞って貰ったんだからね……」
とデリクスは責任を感じていた。
するとそこに1人のメイドが入ってきた。
「そんなことはありませんよ、私はあなたが王になるためなら何でもいたしますので」
と言ってきた。
それを見た猛は
「え……もしかして……レビアベルさんですか? え? ピアスない……」
と驚いていた。
メイドになったのはおそらく先程の件で出世したのだろう
しかし先程デリクスはピアスをさせたと言った、しかしその後すらない、付けたら普通穴をあけるわけであるため、後ぐらいは残るはずだ、しかしそれがなかった。
そのことの猛は不自然に感じた。
すると聖は
「ここは魔法がある世界だよ、治癒魔法で後なく元に戻すことが出来るんだよ」
と言った。
それを聞いて猛は
「え! そうなの! てか長谷川さんは驚かないんだ! 知っていたの?」
「ああ、お前の頭が後なく治ってるのを見れば」
と言って長谷川は猛の頭に指を指した。
「そうか、酒瓶で殴られればあと残るか……忘れてたわ」
と言って納得した。
「レビアベル……ありがとう、君のおかげで何もかもうまくいきそうだよ、感謝しても足りないぐらいだ」
と言って嬉しそうにデリクスは言った。
それを聞いてレビアベルは顔を赤らめて
「いえ……そんなことは……」
と言ってお盆で顔を隠した。
「……そうか……」
おそらくデリクスはレビアベルの気持ちには気づいているのだろう、
そしてデリクスも別に満更でもないはずだが、
それでも2人がくっつかないのはおそらく婚約があるからだろう、
この婚約ですべてが決まる、そしてデリクスが王になれば魔王軍撃退会議にも出席できるという、そのため自分の気持ちを押し殺して2人は目的を果たそうとしている。
ガルディアとレミアールは自由を求めて全力を尽くして逃げたのだろうが2人の思いの方が強かったのだろう、2人の敗因はそれも関係していたのだろう。
明らかに覚悟の格が違った。
ガルディアに関しては完全に人生を舐めてかかっていた。
しかし2人は舐めずにどうすればいいかを考えて行動している、
そして今回2人の逃亡を許したのもデリクスの言う通り一度絶望を味あわせて完全に希望を断ち切ることを目的としていた。
決して油断をしたわけではないこと、その結果レミアールは絶望して婚姻を認めた。
そしてガルディアはボコボコになり捕まっている、死刑にはならないが何らかの罰が与えられる、最初っから逃亡を許さずにすればいい問題ではない、逃亡しても逃げられずガルディアが苦しむだけだと気づかせる必要があるのだとそのことを考えてデリクスはレミアールとガルディアの逃亡を一時的に許して、そしてより確実に聖たちを雇ったのだろう。
完全に抜かりがなかった。
「もうデリクス様最高ですね」
と猛は感服した。
長谷川も
「ああ、こんな人が王になれば国は安泰だ……本当に凄いよ」
と感じた。
きっとデリクスとレビアベルは結婚することはないだろう、
しかし、それは仕方ない事であった。
彼は結婚したければ結婚すればいい立場ではない、
それこそが上に立つ者の宿命なのだろう
聖もそのことに気づいたうえで
「まあ、上の物は必ずしも自由とは言えない、国を治める立場なんだから誰よりも気を付けなければいけないのだよ」
長谷川も
「そうそう、上司が部下より先に帰ってはいけないようにな」
と言って同調した。
猛は上に立つ者の重さを目の前で知ることが出来た
そして学びどのような者が上に立つべきなのかが本当の意味で理解できたのであった。
そして
「さてと、ここから爺様の遺言になる、聞くかね?」
「はい!」
「ぜひとも!!」
と猛と長谷川はワクワクさせながら遺言を聞いた。
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『分かったことがある、きっとこのページが最後になるだろう、分かったことをここに記そう、リンはダメだ、完全に父親に毒されている、しかし第一王子のデリクスは優秀だ、優秀上に2人から悪人だと思われる、しかし彼のやることにはすべて意味がある、すべてはこの国になるための事であった。確かに上の物は悪事を働くような真似をするが決してそれは本意ではない、国の為ならば王は時に邪悪にならないといけない時があるそして卑怯もしないといけない、そういう点ではデリクスは臨機応変に対応が出来る、そしてその行為そのものが2人から嫌悪されるのだろうが私は思った、この国を任せられるのはデリクスのみであることを、全て任せてしまって申し訳ない、わが愛する孫デリクスよ、あのバカ息子のやった間違いを、失態を帳消しにできるぐらい優秀になっていずれこの国を治めてくれ、これは私からの最後のお願いであり、遺言である、それではさようならだ』
そしてその後はただただ線を引っ張ったような記載し課されていなかった。
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「これって……」
猛は震えながら聞くと
「ああこの後死んだんだよ、爺様は、私がベリクソを雇わなければ日記は白日の元だっただろう、しかしすぐに気付いたベリクソはそれを私の元へと持ってきて私はすぐにそれを自分だけが分かる場所に隠した、そうすることによって私は爺様の最後の願いを叶えられることが出来る、これであの現王が死ねば私の第一目標は達成される、もう少しだ、もう少しで第一段階が終わる、長かったよ本当に」
と言ってデリクスは拳を握りしめた。




