102話『馬車内での会話』
馬車は進んだ。
城へと
そして、長谷川はベリクソに聞いた。
「ねえ、ベリクソさん、質問なんだけどどうしてデリクス王子は未だに王の位置に立てないの? 父親が健在だから? でも結婚できる年だと別にもう王になってもいいんじゃない? いつまでも老人が上を独占するのは良くないと思うのだが?」
と聞いた。
するとベリクソは
「それは現王アレク王がデリクス様の王を阻んでいるのです、デリクス様は王の器ではないとほざいているのです」
それを聞いた猛は
「うわあ、自分の地位を失いたくない言い訳みたいだ……」
と言った。
それを聞いてベリクソは
「はっきり言いましょう、現王アレク王はバカです、話しにならないぐらいの」
と言った。
それを聞いて聖は
「と言ってますが、王候補のデリクス様? この意見に対して感想は?」
と聞くと
「事実だろ、ただただそれだけだ……」
と呆れたように言った。
ベリクソは続けた。
「これは私がまだベリクソと言う名前をデリクス様にもらう前の話なんですが……」
と言った。
それを聞いて4人は
「「「「え!! 今の名前の前があるの!!」」」」
と驚いた。
猛は
「いったいどんな名前なんですか! 教えてくださいよ!!」
と餓鬼みたいに恥ずかしい名前なのかと期待した。
それを聖に見破られて
「別に恥ずかしい名前じゃないと思うぞ、何か事情があって名前を変えざる負えない状態なのかもだと思うよ」
と耳打ちした。
それを聞いて猛は
「そっそれぐらい分かってるわいの!!」
と言って顔を真っ赤にさせた。
ビレニアは
「嘘だな……」
とボソッと言った。
猛は
「今何か言った?」
とビレニアに聞いたが
ビレニアはそっぽを向いて
「別に……」
と言った。
ベリクソは
「続けても?」
と聞いた。
4人は頷いた。
そして
「私は昔、ザイザル・デパケートと言う名前だったころなんですが」
「ザイザル? 確かデネブでの優秀な財務担当、大都市デネブの財政を管理する者の名前だったはず、確かお金を横領して地位を剥奪されて落ちぶれた貴族とも聞いているけど?」
と聖は聞いた。
猛は
「何やってるんですか、ザイザルさん」
と悲しそうな目でベリクソを見た。
ベリクソは
「別に私はお金を横領してませんよ、バカが馬鹿なことをしてそれを穴埋めにお金を活用したらそうなったんですよ」
と疲れたように言った。
聖は
「なあ、猛、ちょっと黙ろうか? 今真面目な話なんだよ、ふざけないで」
と睨まれながら猛は怒られた。
猛はさすがに
「え、ゴっごめん、……ごめん」
としょんぼりした。
そしてベリクソは続けた。
「あの王は善意に溢れすぎるぐらいの糞でした、恵まれない子供たちにお金も有限なのに勝手に寄付したり、兵を無理やりボランティア活動で動かしたり、しかも自分の考えは皆持っていて当然みたいな顔で兵たちの給料をほとんど与えないという暴挙野郎ですよ」
「うわあーーー」
長谷川は善意のあるつまりは自分の部下を考えず顧客だけを満足させる最悪なブラック状態であることが目に見えた。
そして
「まあ当然、そんなことをしたら兵からは文句は来ますよ、しかも寄付金は市民の税金と兵の給料となるお金です、そのため自分の家庭を養わないといけない者や飲み食いを楽しみたい者からしたらやりがいの無い状態です」
「確かに、人は報酬があるから働く意欲が湧いてくるし、やりがいを見つけて続けられることが出来る、それをほとんど消された状態で人はついてこないというのに」
「そして、王自身も我慢してるんだから皆も我慢するんだみたいな糞善意をみんなに押し付けるというイカレた発想をするのです」
「うわああ」
聞いているだけで長谷川は前世の自分の会社の方がまだホワイトだったと思えてきた。
デリクスも
「私も、そんな父のイカレた思想に付き合わされて食事もほとんどなかった。もちろん妹もだったがあいつはイカレた父親と同じ発想だったそうであいつ自身は民の潤いの為ならと言うぶっ飛んだことを言い出す始末、私が文句を言えば私たちより苦しんでいる人がいるんだぞ!! とかいう知るか!! と言いたくなることを言い出す……はあ、あの時は本当に苦しかった」
デリクスは頭を抱えて俯いた。
ベリクソは半死を続けた。
「このままでは兵たちがボイコットするしデリクス様も飢えてしまう、と思い財務担当の私が努力で兵たちの給料を上げて、私自身の給料を上げてデリクス様にごちそうを与えたりしたんですが……」
「どこからかバレてお金を横領扱いにされ立って事? でもデリクス様なら罪を消せたのでは?」
と猛が聞くと
「私はその時力がなくてね、ザイザルはそのまま言い訳もさせてもらえずに地位を剥奪された、結婚も決まってたのにそれも白紙だ」
「私はそのまま絶望の淵に立たされて地面の泥水を啜って何とか生きることが出来た状態にされました、そんなところを救ってくれたのが少し権力を持ち青年になられたデリクス様だったのです、私の人相を変えて名前を別の名で名乗るようにつけてもらい未だに王には気づかれておりません」
と嬉しそうに言った。
ベリクソはデリクスの方を向いて
「あの時は本当にありがとうございます、結婚は出来ませんでしたが私はあなたの配下になれて、本当に幸せだった」
「そんなことはいいんだよ、ベリクソこれからも励めよ」
「は!!」
と言ってベリクソはお辞儀をした。
続く!




