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8 仕事始め

 実家の居心地がよすぎて、綾成(りょうせい)の仕事始めは直接出勤になった。

 鎌倉に出てしまえば、湘南新宿ラインで新宿まで直通だ。新宿から下り方面の中央線に乗り換えれば席もかなり空いている。

 神奈川から東京の西に来たところで、大して気温差はない。ただ、どこにいても視界に入り込んでいた海と山がなくなり、空との距離感が測りにくくなる。

 武蔵境(むさしさかい)駅周辺の通勤通学客はもう落ち着いている時間だった。アニメスタジオの始業時刻は一般企業と比べて遅い。買い物客が集まり始める頃合いだ。

 駅の反対側の自分の部屋へ荷物を置きに行こうかとも思ったが、土産類がかさばるのでやめにする。

 通年作品や一月オンエアスタートの班は休みを通して働いているので、制作室は去年からの続きで通常営業していた。早くもくたびれた表情のスタッフがうろうろしてる。

「お疲れさん。いつから来てんの?」

「三ヶ日はかろうじて休みました───、いや三日の夜から来てるか」

西門(にしかど)さんがいるってことは、もう仕事始めの日? やべえ」すでに曜日感覚が怪しくなっている。

 フロアごとのへの大雑把な土産物と、個別に頼まれていたものなど、自分の机へ積み上げた。琴未(ことみ)のリクエストの洋菓子も冷蔵庫にも放り込んでおく。

 昨年末までの綾成の席は、豊田(とよだ)班の列にあった。

 制作室は班ごとに制作デスク、進行などが向かい合わせ二列に並んだ机の島になっている。通路を挟んで王様席になっているのがプロデューサーの席だ。今日からは元々の綾成の席も豊田の並びに戻る。

 豊田の療養による休職が決まったとき、それこそ彼の席に移動する話もあったのだが遠慮した。豊田には復職したときに違和感なく働いてもらいたかった。

 今日から戻ってくる豊田と、どんなバランスで働くかはこれから話し合いだ。綾成には他の誰より豊田のサポートができる自信がある。

 始業時刻近くになると、いつもバラバラ気味に出社する他部署のスタッフたちが集まってきた。社長の訓示があるのだ。楢崎(ならさき)の話はいつでも興味深い。

 しかし、その場に豊田が姿を現すことはなかった。



「あとで班代表は、まとめて呼び出すからそのつもりで。───ニシ、各部屋を回るからつきあえ」

 訓示を終えた楢崎に呼ばれた。

 その時点で察した他の制作陣は、豊田の不在について問い質すことはしなかった。

 制作室だけでなく、他のフロアにも声をかけて回るのは毎年のことだ。差し迫った作品のない綾成がつき添うのはごく自然だ。ワンフロアずつ上がってゆくだけだから、エレベーターは使わず階段を昇った。

「ニシ、休みはどうしてたんだ?」

「コミケから実家に直帰して、今日直行です。楢崎さんは金沢ですか?」

「ああ。今年の石川の雪はさほどでもなかったな」

「車で?」

「いや新幹線だ。楽になったよ。おまえにはわからんか」

「おれは通勤電車で二時間の距離ですから」

 交通費も時間も、想像できない。

「彼女は連れていかなかったのか?」

 ここにも伝え損ねていた人がいた。

「───別れたんで」

「マジか!」

 ちょうど踊り場で楢崎が立ち止まった。

「いつの話だ?」

「夏ですかね、『もふクロ』に入るあたり」

 楢崎はじろじろと綾成を見て、どの時期だったか計算したようだった。

「忙しすぎて愛想つかされたか?」

「いえ、そもそもうまくいってなかったんです」

「前の会社の子だったよな。ニシは遠慮してうちに入れなかった」

「グリーングラスに入れるほどのスキルはなかったですから」

「そのぐらいの公私混同、おまえの頼みならどうにでもしたさ」

「一次で落ちてたわけで、入って苦労するのは目に見えてましたし」

 その後の成り行きからしても、それで正解だった。

「しれっとしてやがる。全然気づかせなかったな」

「薄情な男なもんで───」

 ふん、とまた歩き始めた。

「熱い奴なのにな」

「いや……、仕事ばっかりで」

「それでもいいって女か、仕事とどっちも取りたくなるような女がいるさ」

「早く見つけたいです、そういう相手」

 本心でそう思う。


 各部屋に回った最後は社長室だった。

 増地(ますち)と新年の挨拶をする。「あとで鳩サブレー持ってきますから」「私もあるわよ。とりあえずお茶を淹れてあげる。楢崎さんがお土産かってきてくれたの」

 金沢土産の箱を抱えた楢崎に応接セットへ促された。真剣な話だろうと見当をつける。豊田の復帰時期がずれたのかもしれない。

 包装紙を外した箱から現れたのは、一口サイズの蒸し饅頭だった。毎回同じ店の和菓子をローテーションで買ってきてくれるのだ。勧められるままに透明な包み紙を解いて、小さなうさぎの饅頭を口にした。素朴な甘みでほくほくしている。

「───豊田の話だけどな」

 楢崎が切り出すと緑茶を出してくれた増地も神妙な顔をして席へ戻った。

「年明けに再入院したんだ」

「───病状は」

「今は落ち着いてる。吐血して昏倒したんだ。緊急手術が終わったところで連絡がきた」

「十二指腸潰瘍が悪化したということですか」

「そうだ、手術は成功したからもう心配はない」

 その病名を聞いて制作じゅうで症状を調べたことがある。処置さえ適切なら重大な問題にならないはずだ。

「だとすると……」

 楢崎は綾成の別れ話を聞いたときより、よっぽど平静だった。

「退職することになった」

 予想の遥か上をゆく言葉に心臓がざわりとした。

「え!?」

「もちろん止めたさ」

 落ち着いている楢崎だが、落胆の色は隠せていない。

「嫁さんとの約束もあってな。俺としても仕事が豊田の躰を損なうんなら引き留められない」

「それは───」

「去年から迷っていたらしい。二ヶ月休んで症状が悪化したんで、もう諦めがついたんだと」

「残念です……」

 そうとしか言いようがなかった。

 豪胆な楢崎に圧倒される者は多いが、豊田はその緩衝材になるような穏やな人だ。

 途中入社した綾成を公平に扱ってくれたことは、ずっと感謝している。 

「後を引き継いでくれるか、ニシ」

 誰もが片腕と認めている豊田を失う楢崎を相手に、ためらうことはできない。

「はい。真壁(まかべ)作品以外も?」

「それはバラすかな。真壁作品はともかく、おまえの持ってる企画を優先するから」

「報告したとおり、集秋舎(しゅうしゅうしゃ)の企画は流れました。なので、年内の手持ちはお粗末なもんです」

「アレがあるだろ、宮部(みやべ)さんの」

 綾成の虎の子の企画だ。SF作家の宮部と組んで練っているオリジナル作品は、実際かなり入れ込んでいる。

 SF映画やファンタジー映画を好んでいた曽祖父に誇れるような作品をつくる、大きな一歩になるはずだ。

「じっくり進めたい企画ですから、すぐというわけにはいかないんで」

「宮部さんのは俺も楽しみにしてる。SFはむずかしいけど成功させたいジャンルだからな」

「ですね。ハリウッドが羨ましいですよ」

 ライトノベル的なスペースオペラはともかく、意外とアニメとハードSFは親和性が低い。高額予算でスター俳優が好んで出演し、コンスタントなヒットを飛ばすハリウッド映画とは違う。

 好まれないジャンルで真面目につくったものが当たれば、今後の制作でもよりチャンスが広がるはずだ。

「尻拭いさせて悪いが、真壁さん相手だからいい経験にはなる」

 真壁は業界で確固たる評価を築いているベテラン監督だ。ソフトな物腰だが、作品造りに対する姿勢は厳しい。

「おれじゃあまだ、力不足な面もありますけど」

「豊田は、ニシじゃないと無理だろうといっていたんだ。真壁さんにも交替は伝えた」

 楢崎はゆっくり湯呑みを持ち上げていった。

「いずれは一緒にやってみたいと思ってたんで───、がんばります」

「またメインスタッフが決まってるところで悪いな。といってもほとんどが真壁さんの要望を汲んだスタッフリングなんだ。ただ、豊田の不在でもたついている箇所もあったと思う」

「わかりました。デスクたちとよく話してみます」

「デスクの森とは前にやってたな。進行は他の班と話しあってくれ」

「はい、この後は?」

「制作に報告する。豊田にも会いに行くぞ」

 あらかじめ段取りを考えていたのだろう。三十年来の部下が退職する感慨は後回しのようだった。



 すぐに制作全体へ豊田の退職が告げられた。綾成が交替することも決定事項としてつけ加えられる。

 直接、間接の差はあるとしても、制作の全員が豊田と関わってきただけに、衝撃が強かった。

「これからニシを連れて病院へ行ってくる。悪いが、本人から招かれるまで見舞いはしばらく控えてやってくれ」

 楢崎が淡々としているせいで、各人の質問は勢いを失くした。

 それから各班の主要な制作だけが集められ、大まかな作品の割り振りをしてゆく。

 実際に現場が動いているのは真壁作品だけだが、見込みのありそうな企画の数は多く、綾成が動かしている倍以上はあった。

 それだけで豊田の力が知れる。はたして、残された者たちで穴埋めができるだろうか。

「社長……」

 豊田に次ぐ年長のプロデューサーが思わず呼びかけた。

「ん?」楢崎の生返事は珍しい。

「いえ、なんでも」呼んだ本人も口を閉じた。

 


 豊田の入院先は武蔵境から北上した小平市の公立病院だった。

 楢崎の運転する車の中で、次々に制作からメッセージが届く。

 直接伝えられない見舞いの言葉、綾成から質問や確認してほしいことなど、それぞれの動揺が伝わってくる。

「なんだ、女か?」

 あんまりにも頻繁に受信するので、楢崎が訝しんだ。

「みんな豊田さんの心配してるんですよ。おれに見舞いをまかせるしかないから、言伝(ことづて)をあずかってるんです」

「あいつは人格者だからな。みんな、痛手だろう」

 誰より楢崎が惜しんでいるはずだ。気の利いた言葉は出てこなかった。

 幾らも時間はかからず、比較的新しい外観の病院に着く。

 外来用駐車場からすこし歩き、次回の見舞いにそなえて受付は綾成が手続きした。

 迷路のような院内で、案内図や表示をたどって病室に着いた。

 四人部屋だが、豊田以外の名前はネームプレートに記されていなかった。

「豊田……、ニシを連れてきた」

「お疲れさまです。西門もわざわざありがとう。新年早々、悪いね」

 ベッドで躰を起こした豊田は血の気が薄かった。白髪混じりの髪がパサパサとしている。ダークブラウンに染めた艶やかな髪をセットした楢崎とは対照的だ。

 経過は順調なので、数日中に退院するという。

「たいへんでしたね、びっくりしました」

「いや、僕より西門がこれからたいへんなんだよね。申し訳ないなあ」

 しかし言葉に反して豊田の表情は穏やかだった。

「───いえ、手空き気味なんで」

「『もふクロ』といい、ギリギリで西門に助けられるね」

「おれがグリーングラスでやっていけてるのは豊田さんのおかげですし」

「僕はなにも。楢崎さんに頼まれたとおりにしてただけだよ」

 楢崎が「一本電話を入れてくる」といったん部屋を出た。

 やわらかい顔で見送った豊田が続ける。

「楢崎さんを失望させてばかりだった、僕は」

「そんな───、楢崎さんもみんなも、豊田さんを頼りに」

 『している』と『していた』のどちらを選ぶべきか迷った。

「巡り合わせってあると思うんだ。グリーングラスはあの人の手腕でどんどん大きくなるけど、僕には支えられないのは目に見えてた。そうしたら、楢崎さん自らが西門を連れてきた。僕の役目は西門にグリーングラスを引き継ぐことなんだって思ったんだ」

「楢崎さんにそんなつもりは……、路頭に迷いかけてたおれらを拾ってくれただけで」

「西門にとってはそうかもね。僕たちにとっては、そのタイミングでグリーングラスに来てくれたことが巡り合わせなんだけど」

「豊田さんが気を配ってくれたおかげで、グリーングラスに居着くことができたんです」

「───今度は本当に重たい作品を押しつけるし、グリーングラスの行く末も西門に預けることになるな」

 豊田はさらりと口にした。

 どこか退職を信じていなかった綾成の心を切りつける。

「豊田さん───」

「楢崎さんを頼むな」



「意思固かったなあ、あいつ」

 楢崎がはっきり諦めの口調でいったのは、会社への車中だった。

「つけ入る隙がなかったです」

「実際にニシに引き継いだら、ちょっとは揺らぐかと思った」

「楢崎さんにも淡い期待があったんですね」

「そりゃあな。体調が戻って仕事のペースがゆるむとわかってりゃ、多少は気が変わるかと。悪いな、ダシにして」

「いくらでもダシにつかってくれて構わないんですけどね、役に立てなかったです」

「あいつに留まってほしかったのは、俺の勝手だからな」

「おれもいて欲しいし、みんなだってそう思ってますよ」

 参るよなあ、と楢崎はいつもよりオーラを薄くして呟いた。



 会社に戻ると、制作や他のスタッフたちから質問攻めにあった。

 豊田の退職が(ひるがえ)らないと悟ったそれぞれが、ショックを飲み込むのに苦労している。

 そんな中で、制作室内で席替えが始まった。

 作品的には待ったなしの状況なので、感慨に浸るのと同時に進めてゆかないとならない。

 表情変化に乏しいデスクの森とは、彼がまだ進行だった頃に組んでいる。いわゆる委員長タイプの設定制作の(みなと)は、真壁作品にはその几帳面さが効きそうだ。

 まずはそのふたりが綾成の班の列に移ってきた。プロデューサー同士の話し合いで、進行はコンテの上がりをめどに配置することになっている。

「西門さんのサーバのアクセス許可とっておきました」

 湊と向かい合わせに座った森が片づけをしながらいった。

「サンキュ。いつから使えそう?」

廣田(ひろた)さんがすぐやってくれるといってたので、もう使えると思います」

「西門さん、プリントアウトはどうしますか?」

 湊は森と同期で、息が合った様子を見せるが、そこに男女の色気はなさそうだと見て取る。

「んー、サーバの中身を見てから……」

「PDFにはパスがかかってるので、メールします」

 ノートブックとメールソフトを立ち上げると、うんざりするほどの量が読み込まれた。 

 アクセスしたサーバで一覧を眺めながら、湊に分類を聞き、指示が必要そうなことをメモしてゆく。

「とりあえずダウンロードして明日までに目を通しておくよ」

 森が真壁やその他のスタッフとの顔合わせを組んでいた。

「けっこうな量だよな。シナリオも一期は全部上がってるし、どこまで読めるか」

「急な話ですから、真壁監督も……」

「油断してると真壁さんには突っ込まれそうなんだよな」

「私、すごく穏やかに『君が把握していなくていい理由なんてないよね』と言われたことがあります」

「だろ? おっかないよ」



 何件かの伝言を選別して対応していると、琴未が顔を覗かせた。

「アレ、取りにきたんですけど。冷蔵庫?」

 改めて制作室の時計を見ると、定時を過ぎていた。

「悪い、もうこんな時間か。先に届けりゃよかったな」

「いいえー、新年のご挨拶もしようと思ってたし」

 あけましておめでとうございます、と改まった。

「うん、今年もよろしく」

 給湯室まで連れ立って歩き、頼まれていた洋菓子を取り出した。地元民には馴染みのものだが、人気コミックの作中に登場して知名度が上がったらしい。ワッフルのようなスポンジ生地にクリームが入っていて、何種類かの味がある。

「やったあ!」

「ごくふつうの味だけど」

「いいんですよ、食べてみたかったんで。西門さんはどれがおすすめ?」

「おれはチョコレート」

 ふうん、とはしゃいでいた琴未だったが、ふと口をつぐんだ。

「どうだった、休み?」

「のんびりしました。何ごともなく」

 江藤のことは聞いてくれるなという意味だろうか。

 綾成が彼女を見下ろすと、視線が合った。口を開きかけた琴未だったが、目を伏せる。

「どうした?」

「───残念ですね、豊田さん」

「今朝まで一緒にやるつもりだったのに、びっくりだよ」

「仕上げ部の方は、まだ調整中なんです。できれば私が色彩設計やりたいんですけど───」

「他の仕事との絡みもあるだろうし、無理しなくていいから。嶋津(しまづ)さんの作品よりハードだと思うし」

 綾成は笑いかけてみたが、琴未の視線はそれを避けたように思えた。

 年末からの物憂げな空気を引き摺っている。

 ここで持ち出すのは危うい気もしたが、『興味ない』と拗ねられるよりはいい。

「連絡ないよな?」

「え……」

「年末にいってたろ。山瀬(やませ)のこと」

 茅乃(かやの)の名を出すと、驚いた目をした。

「ない、ですけど。ニシさん───」

永井(ながい)の名前は出してないよ」

「連絡したんですか」

「うん、年末に。なんかやたらと連絡が増えてさ」

 放っておくと、茅乃の執着が現実を歪めそうだった。

 『もう会う理由がないし、連絡も受けない』と告げた綾成に、茅乃が発した言葉はすくなかった。『ごめんなさい』涙声で謝るだけだった。

 まだ若い彼女の挫折に寄り添えない男のことなど、捨ててしまえばいい。

 地元で会った同い歳早希のような輝きを取り戻してほしい。

「それって、どういう……」

 琴未は途切れがちに問う。

 琴未が綾成に腹を立てるのはこうした時こそだと思うのに、遠慮がちだ。

 元カレとのいざこざがトラウマになっている琴未は、自分が多少なりとも関わると萎縮してしまうのかもしれない。

「新しい年になるんだし、お互いリセットしようって。もうおれは関われないっていっといた」

 渡した紙袋をぎゅっと握りしめた琴乃は沈んだ顔をした。

「私が余計なこといってダメ押しさせたみたい」

「いや、もともと別れてたんだから。でも連絡をスルーしてたせいで永井に迷惑かけたのはまずかった、ごめん」

「私こそ、堪え性がなくてスルーできなくて……」

「知らないままよりよかったよ。また忙しくなりそうだし、そうなる前で」

「ポジティヴですねえ、なんだかずるい。私なんかぐだぐだしてるだけなのに」

 江藤のことを示唆しているのだと思った。

「永井も今年は前向きにいく方針にすれば?」

「───なかなか思い切りがつかなくて」

「そういえば、豊田さんがタイミングとか巡り合わせって話をしてた」

「タイミング……、むずかしいですね」

 琴未は浮かない顔のままだった。


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