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プロローグ
車の中から雲を見ていた。
世界が私のものになった気がした。
あれから十年経って、私は中学生になった。小さな時に思い描いた自分とはかけ離れた人間になっていた。
嘘つきで弱虫な落ちこぼれ。でも、一つだけ理想通りだった。私は異端だった。
何もかも同じように流れて行くこの世界で私はただ一人、存在する事に成功していた。これは自惚れ屋の奢りであり、ある種の誇大妄想なのかもしれない。
私はそれでもいい。
物心ついた時から空想の世界に生きていた。今は空想と言える程、愛らしい物ではない。走馬灯の様な妄想。
狂った意識の中で世界を見てる。
もし、貴方がこの世捨て人を信じてくれるというのであれば・・・。
面白可笑しく話しましょう。余りにも奇妙で余りにも普通な話を・・・。
暗く始まりましたが、明るく世界を皮肉る話です。