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シーズン3 プロローグ

だいぶ間があきましたが、シーズン3のスタートです。

「勇者様、起きてください」

「おきてー、勇者さまぁー!」


 朦朧とする意識の中、俺は誰かに呼びかけられているようだ。勇者と自惚れていいのなら。


「アンナ、やりすぎ! てかげんしなきゃ」


 幼さの残る女の子の声が窘める。


「だって突然人が降ってくるなんて召喚でもなきゃありえないじゃないですかぁっ! 普通は魔物と思っちゃいますって! しかも私達全裸なんですよ!?」


 目覚めろ俺! 全力で!

 思春期の煩悩パワーの賜か、身体の感覚が徐々に戻りはじめてきた。どうやら俺はお湯の中で浮き沈みしているようだ。


「ヤバイですよぉリィザ様。勇者やっちゃいました……埋めますか?」


 さらりと物騒ワード! なんか俺がヤベェ! 


「ダメなのぉ! とりあえずそこの岩にねかせてあげて」


 聴覚と触覚が回復するが、いまだ目も開けられないし身動きもとれない。会話と環境音から察するに露天風呂みたいな場所だろうか?


「了解ですっ! リィザ様そっち持ってくださいね」


 華奢な四つの手が、水分を含んで結構な重量が加算された俺の身体を湯の中から引き上げると、俺から少し離れた場所で一息つく二人。耳を立てれば衣擦れ音がしている。さすがに全裸で介抱はないよな、いくら異世界とはいっても。


 生着替えの横で、生々しい衣擦れ音を聴きながら煩悩を振り払うべく、これまでの記憶を懸命に手繰ってみる。

 たしか慧依子先輩の新アイテム試験をするためラボにいたはず。で……


「リィザ様! 彼、息ありますよ! よかったぁ犯罪者にならなくて」


 まだ視界ははっきりしないが、肩甲骨から上が硬い石場から柔らかくて極上の肌触りがする枕に頭を預けているような感触へと激変し、ラノベとかなら回想に入る絶妙なタイミングだったにもかかわらず意識を引き戻された。継いで甘い香りにのせアニメがかった元気な声が頭上からする。


「でも目をさまさないね。どうしよう」

「やっぱ埋める? 埋めちゃいますか、リィザ様! 山奥ですし黙ってりゃわかりませんって」


 物騒ワード再び! あんたテンションの振り幅オカシイだろ、人を処理に困る産廃みたいに。


 しばし湯上がりのほのかに湿った暖かい太股の上で優しく揺すられるが。


「んー。起きませんねぇ…… そんじゃセオリー通り、ここはキッルで!」


物騒ワード三たび! あんた発想極端だよ! リィザ様が呆れてるのが目に浮かぶよ! 次は無ぇな、気力を振り絞れ俺!


「LLは結構ですから! SSの方でお願いします! 服のサイズみたいになっちゃいましたがっ!」


本能が身の危険を感じ、急速に覚醒した俺は転がりざまに土下座。


「「あ、起きた」」


 土壇場で全機能が覚醒した今、恐る恐る声の主へ顔をあげると。

 長い睫毛げで儚げに伏せられた瞳とは逆に、ぎこちなく……と言うか健康的な唇を滑稽に突き出している十七、八くらいの女性が眼前に。


「うわぁ」


 驚いてのけぞる俺。

 なおも迫るチュー顔を押しとどめるべく両手を控えめに突き出す。


「あ! その手!」


 もう一人の少女、たぶんリィザ様と呼ばれていたコだろう。俺の右手に駆け寄りガッシリ掴む。

 つられて俺も右手を見ると、白目を剥いて「だれーん」としているピョン子が。

つい二度見してしまったが、記憶が曖昧だし「脱兎」しているんだろうと自分に言い聞かせ、華麗にスルーした。

 そんな事より現状把握が先だ。


「アンナ! やっぱりホントなんだよ、姉さまのはなし!」


 天使チックな服で、あどけない笑顔と、くりっとした青い瞳。年の頃は都と同じくらいか、少し下。両サイドに揺れる小さな縦ロールが木漏れ日を受け金色の輝きを増す。


「でもリィザ様。その縞ウサギ、死んでません?」


 まぁ、知らない人が見たらパッと見逝ってるさ。それ以前に下半身が無いんだし、予備知識が無ければちょっと大きめのパペット人形って認識だろう。が、存在自体がレアな縞ウサギを知っているってことは。


「君達は……」


 俺が居住まいを正すと、彼女達も倣って対面にちょこんと正座する。


更新は不定期になります。

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