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6-9

「作戦変更、プランBなの」

「「「「御意!!」」」」


 慧依子先輩の号令で、ニセ俺の野良勇者達が一斉にブレスを操作すると。


「フウちゃん!? え? 誰このメイドさん?」


 辺りが光りに包まれ、前に俺を揉みくちゃにしたメイド達に変身した。


「可愛い後輩を悲しませる訳にはいかないの」


 不在の鳩野さんを気遣う先輩。


「コレはコレで大好物よ!」


 ぶれないマミさん。そういや「母は女の子が大好き」って鳩野さんが言ってたな。


「これ以上ハート国の品位を下げる訳にはいかないわね。私も行ってくるわ」


 意外にやる気の姉だ。『セオリーブレイカー』が発動できれば勝機はあるか。


「姉貴も行っちゃったわよ? アンタは隠れて高みの見物? ま、楽でいいけどね」


 そうだった。急展開すぎて思考が追いつかなかったよ。


「いや、俺も出る!」


 ピョン子に言われ、飛び出した俺は静香に並ぶ。


「アンタいつも流れに任せてるけど、策はあるの?」

「一応は」

「あら楓麻。お姉ちゃんと一緒に痴女王様くい止める気になった?」


 頼りは静香の『セオリーブレイカー』だ。条件の範囲がどこまでか不明だが、賭けてみるか……


「俺に一か八かの作戦があるんだけど、乗るか?」


 うまく決まれば数十分は寝ててくれるだろう。 


「やってみなさい。お姉ちゃん、協力するから」

「オーケー、じゃあ『セオリーブレイカー』発動してくれ。行くぞ!」

「……え? ちょ、今から?」


 静香が何か言いたげだったが、無視して静香ともどもマミさんの前へ出る。


「追加オーダー入りまーす! 杜鷺楓麻ツー!!」


 俺の声にマミさんが反応する。さぁ、勝負だ。


「フウちゃん自ら飛び込んでくるなんて、ひゃっほう!」


 よし、てんどんだ! 「ひゃっほう」で飛びかかってきたな。おそらく四度目か五度目だろう。お約束と勘定してもいいはすだ。

 が。


「楓麻! また私を嵌めたわねっ!?」


『セオリーブレイカー』は発動せず、静香は再びマミさんに悪夢を見せられる結果となった。


「一か八かとか、カッコつけた割に空振りしたわね。見事に八じゃないのよ」


 ばちでしたーー……「お約束ならなんでもかんでも発動する訳じゃない」と怒られたのは数時間後の話。


「ちょ、楓麻! 早くお姉ちゃん助けなさいよ! お嫁に行けなくなっちゃう!!」

「あらあら、静香ちゃんの方だったのね。別にいいけど」


 運悪く燕尾服を着ていたため俺の身代わりに襲われてしまったようだ。


「メインディッシュのフウちゃんは少し待っててね」


 遅かれ早かれピンチの俺。そんなおり、いつのまにか新たな訪問者が。


「なにやってるの? お兄ちゃん」

「都! なんでここに?」

「侍女さんに伝言頼まれたの。「準備整いましたぁ」だって」


 何の準備だ? まぁいいや。


「一か八か再び! ミヤ、『プロンプト・ジェネレーション』だ」


 リベンジなるか?

 単にお使いで立ち寄っただけの妹は、俺の意図がわからず「ほぇ?」とマヌケな声を漏らしていたが、R18スレスレの状態にされた姉を確認するとあわてて発動した。


「あら、妹ちゃん。アナタが加勢した所で戦況はかわらないわよ? 私を止めたいなら紅音かメリルでも連れてくることね!!」


 ——かかった!

 発動する『プロンプト・ジェネレーション』。


   都:¥>_

   都:¥>紅音かメリルでも連れてくる


 俺の頭から網代笠が勝手に舞い上がると、空中でふたつに分裂して地に落ちる。そこから現れたのは鳩野さんとメリルさん。

 聡明な二人の迅速かつ的確な状況判断と、見事なコンビネーションで事態は一気に収束へ向かう。


「あ、ちょっ! 紅音、吊り天井固めはヤメテ、恥ずかしいから! マジでマジで!!」

「…………」


 無言の娘に淡々とロメロ・スペシャルを極められるマミさんだった。

次回更新は8月28日前後の予定です。

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