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6-7

「野郎共、ご褒美タイムなの。見た目女子高生の年増に、いろいろ搾り取られてくるがいいの」


 まぁどちらも見かけは十代、中身は……だからなぁ。


「では姫、我々はハートの女王をクラブの姫から引き離せばよいのですね?」

「そうなの。あの二人が組んでると死角がないの」


 流れとしては以下の通り。

 ●野良勇者達(ニセ俺)がマミさん担当、クロハさんも釣れればなお良し。

 ●引っかき回している間に俺が静香をこちら側へ引き込み、共闘でクロハさんに改造リボンを結う。


「野良勇者のみんなには悪いけど、うまく騙されてくれるといいなぁ」

「トシマジョに関しては手当たり次第だと思うわよ? ある意味安パイね」

「モル鷺君とみれば見境無く喰いつくの」


 ブラックバスかよ。


「要注意はクロハさんだけか」


 組み付かれたらアウトだろうな。


「ピョン子先生、防御を頼みます」

「アンタ、アタシに頼りすぎ! ホント使えない勇者よねっ!」


 申し訳ない。申し訳ないが、言わせてもらえるなら、ピョン子に邪魔されなければ俺もチート貰って今頃は夢の異世界無双コースでしたさ。言わないけどな。


「モル鷺君は安定の他力本願で無様にエルマナを渡ればいいの。今更活躍されても引くの」


 先輩、鳩野さん級の毒舌発言ですね。事実ですけども。


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■


 さ、開戦前に心を折られた所で『地下盗擬場』入りした訳ですが。

 360度まっ白な室内は広さがつかめない。幸運にもマミさん達の姿は無く、出会い頭で即終了の目はさけられたのはなにより。


「ステージは殺風景な草原に設定するの」


 ドリフシステムのテストをした時と同様、慧依子先輩が小型端末を操作する。

 みるみるうちに周囲は枯れススキや点在する岩場など、サムライとか忍者が決闘するならピッタリのロケーションへと早変わり。


「では楓麻殿、そちらの女王とヨロシクやってきます」


 嬉しそうだな、あんたら。


「同士諸君、行くぞ。散!!」


 野良勇者達は網代笠を抑え、雑草をガサササと踏み分け、四方へ散って行った。


「失うものが無い野良勇者は強いの」

「期限切れのサクランボ連中で食あたりすればいいのよ、あのトシマジョ」


 そのマミさん達はどこにいるのだろう。


「ピョン子、三人の位置わかるか?」


 耳を立て、周囲の音を拾う。


「アンタの姉貴は前方300mくらいね。あとの二人は右に500」


 静香が単独なら好都合、なんにせよ滑り出し順調だ。


「まずは静香からだな」


 正面の雑木林を迂回して草むらを進み、左側から静香の背後へ進路をとる。


「おい、静香!」


 半裸の姉の背中へ、犯罪者ポスターさながらに声をかけた。

 荒ぶる獣のように振り向いた静香の目は、分度器を逆さにして45度傾けた感じだった。

 俺の姿をとらえた静香は、宙高くジャンプすると全身を一本の杭とし、ガラスの艦隊よろしく『心臓抜き』を仕掛けてきた。


「がふっ!!」


 ハート国の勇者同士だからかドリフシステムは作動せず、静香のラム攻撃は俺の鳩尾へクリティカルを放つ。


「見事なドラゴンロケットなの」


 角丸先生はこんな技をくらっていたのか……

「そっちかよ」という霊仙寺の幻聴と共にブラックアウトした。

次回更新は8月22日前後の予定です。

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