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「野郎共、ご褒美タイムなの。見た目女子高生の年増に、いろいろ搾り取られてくるがいいの」
まぁどちらも見かけは十代、中身は……だからなぁ。
「では姫、我々はハートの女王をクラブの姫から引き離せばよいのですね?」
「そうなの。あの二人が組んでると死角がないの」
流れとしては以下の通り。
●野良勇者達(ニセ俺)がマミさん担当、クロハさんも釣れればなお良し。
●引っかき回している間に俺が静香をこちら側へ引き込み、共闘でクロハさんに改造リボンを結う。
「野良勇者のみんなには悪いけど、うまく騙されてくれるといいなぁ」
「トシマジョに関しては手当たり次第だと思うわよ? ある意味安パイね」
「モル鷺君とみれば見境無く喰いつくの」
ブラックバスかよ。
「要注意はクロハさんだけか」
組み付かれたらアウトだろうな。
「ピョン子先生、防御を頼みます」
「アンタ、アタシに頼りすぎ! ホント使えない勇者よねっ!」
申し訳ない。申し訳ないが、言わせてもらえるなら、ピョン子に邪魔されなければ俺もチート貰って今頃は夢の異世界無双コースでしたさ。言わないけどな。
「モル鷺君は安定の他力本願で無様にエルマナを渡ればいいの。今更活躍されても引くの」
先輩、鳩野さん級の毒舌発言ですね。事実ですけども。
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さ、開戦前に心を折られた所で『地下盗擬場』入りした訳ですが。
360度まっ白な室内は広さがつかめない。幸運にもマミさん達の姿は無く、出会い頭で即終了の目はさけられたのはなにより。
「ステージは殺風景な草原に設定するの」
ドリフシステムのテストをした時と同様、慧依子先輩が小型端末を操作する。
みるみるうちに周囲は枯れススキや点在する岩場など、サムライとか忍者が決闘するならピッタリのロケーションへと早変わり。
「では楓麻殿、そちらの女王とヨロシクやってきます」
嬉しそうだな、あんたら。
「同士諸君、行くぞ。散!!」
野良勇者達は網代笠を抑え、雑草をガサササと踏み分け、四方へ散って行った。
「失うものが無い野良勇者は強いの」
「期限切れのサクランボ連中で食あたりすればいいのよ、あのトシマジョ」
そのマミさん達はどこにいるのだろう。
「ピョン子、三人の位置わかるか?」
耳を立て、周囲の音を拾う。
「アンタの姉貴は前方300mくらいね。あとの二人は右に500」
静香が単独なら好都合、なんにせよ滑り出し順調だ。
「まずは静香からだな」
正面の雑木林を迂回して草むらを進み、左側から静香の背後へ進路をとる。
「おい、静香!」
半裸の姉の背中へ、犯罪者ポスターさながらに声をかけた。
荒ぶる獣のように振り向いた静香の目は、分度器を逆さにして45度傾けた感じだった。
俺の姿をとらえた静香は、宙高くジャンプすると全身を一本の杭とし、ガラスの艦隊よろしく『心臓抜き』を仕掛けてきた。
「がふっ!!」
ハート国の勇者同士だからかドリフシステムは作動せず、静香のラム攻撃は俺の鳩尾へクリティカルを放つ。
「見事なドラゴンロケットなの」
角丸先生はこんな技をくらっていたのか……
「そっちかよ」という霊仙寺の幻聴と共にブラックアウトした。
次回更新は8月22日前後の予定です。




