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6-4

「ではマミさんもフーちゃん探しを手伝ってください」


 タッグを組んでしまった二人。無い知恵を絞って出した結果、


「影ボット」


 紫色の無口な精霊が浮遊する。


「アンタ、往生際が悪いわね。自分が話し合うんじゃなかったの?」

「そうだけど、なんか身の危険を感じるんだよ」


 左腕のカードホルダー(今は精霊ホルダーになってるが)上面パネルが起動し、プロミディアさんとリンクする。


『どうしたのフウマちゃん。戦闘? そっち行くわね』


 パネルから這い出る手乗りサイズのプロミディアさん。


「ちょっとお願いがあって。影ボットに入ってあの二人の前へ出てもらえますか?」

「いいわよー。ハートの女王と……もう一人は誰子ちゃん? 服はクラブ国みたいね」


 プロミディアさんが憑依した影ボットが俺の姿を成し、隣で同じように伏せる。


「ヨツバさんの別人格なんだけど、なんか危険な香りがして。危なくなったら俺も出て行くから」

「わかったわ。じゃ、行ってくるわね」


 俺は場所を移動して影ボットinプロミディアさんを見守る。


「あ、フウちゃん発見!」


 無防備に出て行った影ボットが鼻息荒い二人にロックオンされる。

 世紀末の悪党のごとく「ヒャッハァー」と二方向から飛びかかるマミさんとクロハさん。ニセモノの俺が、あっという間に口と手足を押さえられてしまう。


「「きゃっほう!!」」


 カヌーのように頭上へ抱え上げられた影ボットは、奇声を上げる美女二人に手際よく連れ去られた。


「あざやかなコンビネーションね」


 会ったばかりの二人なのに、とても息ピッタリだった。


「って、感心してる場合じゃねぇ!」


 あわてて飛び出したが既に姿はなく、時折聞こえる奇声を頼りに追いかける。

 だんだんと、ひと気も無くヒンヤリとした薄暗いエリアへ景色が変わっていく。


「フウマちゃーんっ! ヘーーーールプッ!!」


 照明が途絶え、闇が濃くなっていく長い通路の先から響くプロミディアさんの叫び声。


「アァーーーーーーッッ!!」


 プロミディアボイスで、ひときわ大きな悲鳴。


「あれ、嬌声よね?」

「ひとまず心配なさそうだな……」


 ニセモノとバレなきゃだけど。

 影ボットとプロミディアさんには悪いが、助けに入るのは控えさせてもらおう。


「痴女女神だって、本当にヤバかったら離脱してくるわよ」


 ピョン子の言う通り、まもなくして影ボットをパージしたプロミディアさんが、カードホルダーのパネルから俺の額めがけ突撃してきた。


「フウマちゃんのウソツキーッ! 助けてくれるんじゃなかったのぉーーっ!!」


 俺の耳元で激しく抗議するプロミディアさん。


「百合ん百合んな三つ巴でタイヘンだったンだからっ!!」


……その割にはツヤツヤしてますね、とは言えない。ユリんユリんて……そして俺は男ですよ?


「アンタ、これで終わったワケじゃないのよ? あいつらコッチ来る!」


 ピョン子が耳を立て通路に向けると、視認できない暗闇の奥で微かに鉄扉の音が響いた。


「フウちゃ〜ん! 観念しなさぁ〜い」

「フーちゃん、どこですかぁ?」


 近づく靴音と、高揚した笑い声のセットは軽くホラーだ。


次回更新は8月8日前後の予定です。

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