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「「「おかえりなさいませ、フウマさまぁ〜!」」」
慧依子先輩のラボに入るなり、平均身長が高めな十数人の巨乳美少女メイドに出迎えられる。
「おわっ! 何事!?」
あっという間に揉みくちゃにされる俺。
「え? なになに? 慧依子先輩、ヘーーーールプッ!!」
大きな房が2個しかないブドウ棚の隙間から辛うじて手を伸ばし、薄ら笑いを浮かべている慧依子先輩に救援を求める。
「みんな、そのくらいでいいの」
先輩の声で、わらわらとハケていくメイド軍団。
「先輩、この人達は?」
「野良勇者なの」
いやいや、俺の記憶が正しければ野良勇者の皆さんは『くたびれた中年男性』がメインだったよ?
「体型からして違うじゃないですか! そもそも女性メンバーなんていませんし」
もっと変倍かけなきゃだろ? 縦80%横130%くらいに。例えるなら、コスプレブースに訪れた子供が「こんなのセー●●ムー●じゃない」(実話)って泣いてしまうレベルのビジュアルになるはずだよ!
「我々ですぞ、楓麻殿」
メイド軍団が腕のブレスレットに嵌っている水晶玉に触れる。
全員が発光し、光の粒子が剥離した跡に立つ姿は。
「隊長?」
驚いたことにマジでジェイショッカー隊長率いる野良勇者達だった。
「アクセスリングの廉価版なの。モル鷺君のおかげで良いデータが取れた結果なの」
あぁ、ダイコン戦〜忌まわしき揉みまくりんぐプレイの時か。
ちなみに巨乳が多い種明かしをすると、贅肉を胸に割り振っているからだそうだ。
「くだらない上、ずいぶん遅い回収だな!」
「楓麻殿、くだらないとは失礼ですぞ。これは野良勇者の新しい仕事道具なのですから」
熱く語り始める野良勇者の新ビジネス。
「いいですか楓麻殿。このブレスレットで美少女に変身し、この先召喚されるであろう後輩勇者達が道を踏み外さないようた我々が導くのです。エルマナの接待恋愛で痛い目を見た我らだからこそ可能な大役なのですよ!」
どうやら村人の代わりに、勇者をチヤホヤする接待任務の代行業のようだ。
大量に量産されてしまった野良勇者の再就職先としては、適任なのかもしれない。
「ふふふ、この『媚びるスーツ』で気を持たせる艶技を体得した暁には、若造勇者どもにベッドの中でトラウマを植え付けてくれるわっ!!」
勇者のみなさーん、逃げてーっ!
「美少女にホイホイついていくような勇者は、一回痛い目を見た方がいいの」
まぁ勇者が暴走してコトを為したとしても、実際は脂ぎった中年のオッサンだから安全っちゃ安全だな。いや、安全なのか!?
「えげつなー……正体知ったら立ち直れねぇぞ」
「黒薔薇が咲き乱れる別世界の扉を開くかもなの」
「開いちゃいけねぇ扉だよ!!」
新ビジネスのコンプライアンス作成には全力で参加しようと静かに決意した。
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「慧依子先輩。霊仙寺から話は聞いてると思いますけど、ミツバ姐さん救出の選抜メンバーとして力を貸してください」
慧依子先輩の目線まで腰を落とし、やる気のない眠そうな目をみつめてお願いする。
「モル鷺君にしか任せられない構想中の新作アイテムがあるの。戻ってからでいいから、モニターをしてほしいの。交換条件なの」
「そんなことでいいなら」
「アラ、慧依子ちゃんはウチの子みたいにフウちゃんにゾッコンじゃないのねぇ」
変なことを言い出すマミさん。
「召喚男子高校生とみれば誰かれ構わずツバつける程がっついていないの」
ある意味、慧依子先輩とのドライな関係は気兼ねすることも無く接しやすい。
「ところで、一歩リードしてるって噂の橙愛ちゃんはどこ?」
そう言えば、先乗りしている霊仙寺の姿がみえない。
「痴女女神に頼まれて器制作の参考に貢献してるの。特に胸とかなの」
以前、慧依子先輩から貰った霊仙寺の胸で型を取ったマウスパッドを思い出してしまった。
あんなのがプロミディアさんの像に装備されるのか。けしからん、もっとやれ。
「しかたないなー、俺ちょっと様子見てきますよー」
「あー、ダメだわ。あの魔乳じゃ勝ち目無いわウチの子」
大げさに天をあおぐマミさん。
「楓麻、あんた凄い分かりやすいわね。お姉ちゃん、ちょっと恥ずかしい」
「棒読みがすぎるのモル鷺君」
「アンタ一人で行ってきて」
脱兎したピョン子から、留奈ちゃんの顔で蔑んだ表情を向けられた。
ヘラヘラと愛想わらいで後退し、後ろ手で扉を開け退室する俺。
「…………ゅしゅっ」
閉める扉の隙間から最後に見た光景は、満足げに自分の胸をたゆませ、小さくガッツポーズをするプロディちゃんだった。




