表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/154

4-5

「杜鷺君はゴネてないで、さっさと挑戦受けましょう。何をもったいぶっているんですか?」


 そんなつもりはないんですが……


「アタシもハートの魔法使いに賛成ね。サクッと即断しなさいよ! 結局勝負するんだから」


 バトルは不可避と諦めているのか、意外にもピョン子はやる気だ。


「うちは女王取られてるし、ナルシストな男は個人的事情で敵認定してるの。杜鷺がどうあれワタシは受けるわよ」


 霊仙寺はダイコンがトラウマになっているようだ。


「私も嫌いなタイプだわ。琴ちゃんには大きな借りもあるし、手伝ってあげる」


 普段、無関心な静香まで……うちの連中はみんな好戦的だなぁ。


『お嬢さん方は乗り気のようだね。勝負方法はクラブのお姫様にちなんで試合形式なんてどうだい?』

「「手加減できないわよ?」」


 ピョン子と静香がハモる。確かにこの二人なら能力発動で一発だ。


「コイツら文字通り手加減できないんだよ。話し合いとかはないのか?」

『舐められたものだね。こちらのメンバーはミケーニャ帝国の七大将軍だよ? そんな手踊りウサちゃんや女の子相手に負けるわけないさ』


 俺達の情報は行ってないのか、自信があるのか。無知って凄いな。


「……って七大将軍!? ニンジンやダイコンみたいのが七人もいんのか!」

『ぽっと出の食材と比べられるのは心外だね。ま、三日待つから、七人集まったらおいでよ』


 キザな投げキスを残し、スクリーンが消失する。


「七人集めろって言われてもなぁ」


 俺+ピョン子、静香、鳩野さん、霊仙寺、侍女さん。グルリと見回してざっと五人だ。


「あ、私は中立なので勘定しないでねぇん。会場の準備とかあるからまたねぇ」


 やる気だよ! 侍女姉さん、絶対ブックメーカーとかやる気満々だよ!


「あと二人か……」


 人選を考えていると、下の方から袖を引かれる。


「ご主兄様のおてつらいする」


 非常に心強いプロディちゃんの申し出。自分が賭けの対象になってることも理解していないと思うが、自ら運命を切り開くか。


「ありがとう、期待しているよ」


 つま先で背伸びをし、丁度良い位置に頭を差し出しているプロディちゃん。置いた手の平から心地よいサラサラの質感が伝わり、勝手に指先で左右に撫でてしまう。


「楓麻。あんた最低ね、こんな幼女を頭ポンポンひとつで戦場に駆り出すなんて」


 それを真似て突き出すお前が言うな。とりあえず戦力としては一級品なので、妥協ラインとして揺れるポニーをクシャリと雑にあしらっておく。


「あら、意外。もっと姉にデレてもいいのよ?」


 みんなの前で何をさせられてんだか……あきらめにも似た溜め息が漏れた。


「杜鷺君。私に名案があります!」


 頬を赤らめ、少しだけ頭が近く感じる鳩野さんが挙手。


「ャッ……あの人、母をぶつけましょう! 上手くいけば共倒れを狙えます」


 今、鳩野さん「ヤツ」って言ったような? そんなにマミさんと仲悪いのかな……


「橙愛ちゃんは混ざらなくていいんですか? あの腹黒姫さえ勇気ふり絞ってるみたいですよぉ? 肝心のモリサギさまは「いつも通り」気づいて無いようですけど……ププッ」


 冷めた目で俺達を眺める霊仙寺と、なにやらニヤニヤ耳打ちしている侍女さん。


「もういいかしら? あと一人は誰にするの」

「あと一人?」

「たぶん、当然のようにアカネも入れてるわよね? 残念だけど彼女は戦力外よ」


 勝手に強いと思っていたけど、そうか。かつて鳩野さんの無双装備だったリフレクトメイルは現在、彼女から託されて不甲斐ない俺専用となっている。ガントレットで単身でも攻撃魔法が撃てるとはいえ、格闘や剣術のスキルを持たない鳩野さんに不利なのは当たり前だ。


「そうだったんですか? 私を買い被りすぎですよ、杜鷺君」


 離れ際、一瞬さびしい笑顔に見えたが、まばたき一つの間にいつもの鳩野さんに戻っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ