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3-14

「その1は『独立連動システム』なの」


 独立連動システム言っちゃったよ、この人。ボカシてたのに!


「その2は『超粘土と八つの磁気球体』なの」

「粘土と球体で1カウントなんだ」

「その意味はすぐわかるの」


 慧依子先輩に合わせてプロディちゃんへ視線を移すと。

 右腕を曲げて後ろに引き、大技を出す感じで魔力を溜めていた。


「いっけぇー、プロディちゃん!! ヒートショック!!」


 プロミディアさんの指示を受け、引いた右腕を前面に突き出すと前後へ小刻みに揺らす。


「慧依子先輩、ドリフの次は猫ですか! ホンット、わかりずれぇーなっ!!」

「痴女女神のカードにインスパイアされた結果なの」

「プロディちゃんのアクションがなけりゃ、さっぱりですよ!?」


 おなじみ、エルマナ思考で答え合わせ。

 粘土→クレイ、磁気球体八つ→磁気八つ→ジキヤッツ。

 ヒートショック→等植(木)で正解だろう。

 仮に球体それぞれに名前がついていたとすると、最終的にひとつ多いと思うが。


「技名とポーズが一致しないのはご愛嬌なの」


 いつもながら詰めが甘いな、エルマナ人。

 そのしまらないポーズとは裏腹に、技の効果は絶大だった。

 メリフェスを取り囲んだ土壁が個室を造り、炎熱で蒸された個室の隙間へ熱波を送り込む。

 いい具合に赤熱した土壁を即座に氷つぶてで破壊し、ブリザードで急速冷凍。


『グガガガ……ガ……』


 結果メリフェスは、魔力を帯びた温度差であっけなく砕け散った。


「マヌケな動作に見えますが、ひとつのアクションで地水火風を同時に練り込んでいますね」

「なんだかんだで今7.5発のエンジン積んでるからね……」


 かくして魔王軍を生み出す大元は消滅し、メリフェスによる長い魔王軍時代は日没とともに幕を降ろした。


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■


「杜鷺君? やりきった感出してますが、まだ終わってませんよ?」


 そうでした。ミツバ姐さんと霊仙寺を探さないと。


「ご主兄様、ほめて」


 ほどけた三つ編みに割れたメガネのプロディちゃんが俺の左腰に顔をうずめる。その頭を撫でると、密着した燕尾服から籠もった笑い声が漏れた。


「今度はその子なの? お兄ちゃん」


 右腰に絡みつき、眉をしかめて見上げる都。こちらは対照的に不機嫌な模様。


「妹さんよ、しかたないの。召喚された自称普通の男子高校生は、概ねモテる仕組みなの」


 慧依子先輩が都をなだめる。


「そのプロディちゃんは、刷り込みの効果で初めて目にしたモル鷺君にご執心なの」


 呼び方の『ご主兄様』に関しては、俺を含めその他大勢の野良勇者が抱えるメイド属性と妹属性の割合が拮抗していたかららしい。


「モ・リ・サ・ギ・ィッ!!」


 振り向けば、粒子の滑らかな石膏を頭からかぶったように、全身白濁まみれの霊仙寺が侍女さんに付き添われ立っていた。


「うわっ、なんだソレ?」

「なんだソレ? じゃないわよっ! 誰のせいでこうなったと思ってんの!?」


 ポタポタと質量のありそうな液体を滴らせる霊仙寺は、前傾姿勢で両腕をダラリと投げ出し、怒りで肩を震わせている。


「私が発見した時には手遅れでしたぁ。なんか、ヒッポリトチックなカプセルの中で石膏まみれにされていて」


 ヤレヤレとばかりに小さくため息をついた鳩野さんが、魔法で霊仙寺を洗浄する。


「ぅん? なんで普通にコイツらがいるの!?」


 視界の晴れた霊仙寺が、スペード側についたジェイショッカー隊長以下数名に敵意の視線を向ける。深いまばたきを一つし、流し目で俺に説明を要求してきた。


「彼らは今日からうちの実験……モル……勇者なの」


 空気を読んだ慧依子先輩が代わりに返答してくれた。野良勇者も俺と同じ扱いのようだ。正式な勇者を召喚できないスペード国にとって、良いアイテムテスターになってくれるだろう。


「杜鷺さまぁ……そろそろ私のターンでよろしでしょうかぁ?」

「すいません、すぐミツバ姐さんを探します!」

「いえいえ、そうでなくて。私がここに来た理由ですけどぉ……」


 そういえば『事情が変わった』とか言ってた気がする。


「あー……ちょっと説明がめんどくさいので、結論だけザックリ言いますね」


 かしげた細い顎に人差し指をしならせ、


「ウチの姫、出荷されちゃいました!!」


 ザックリしすぎです。


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