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3-13

「ご主兄様……」


 俺のダメ絶対音感が即座に反応する。その前に『ご主兄様』ってなんだよと思うが、些細な事。


「この声って」


 テレビ版7番目の姉妹を想起させる、すき通った声質+同・6番目のマスターを加味した、舌足らずギリギリのキューティーボイス。


「アンタの好きな大野スズメじゃないの? 分かりたくないケド」


 さすがピョン子。俺が毎日スズメさん登場作品を強制視聴させた成果だな。僅かなフレーズだけで判別できるのは縞ウサギの能力なのだろう。


「大丈夫か? プロディちゃん」

「らい丈夫。敵を排除する」


 やっべぇえーーっ! 大野スズメさんの声で、『だ行』が『ら行』になっちゃう女の子!!


「破壊力(俺特化)ハンパねぇーーっ!! ありがとうございますっ、生きててよかった!!」


 周囲がドン引きする中、思わずプロディちゃんをギュッとして感謝をのべた。


「ちょ、ご主兄様。危ない。離れて?」


 カワイイ両手を「ん〜」とつっぱる。どちらの意味も受入れて、プロディちゃんから離れた。

 メリフェス同士の戦い巻き込まれない位置まで後退すると。

 質素なスリップドレスに近かったプロディちゃんの服は、良いメリフェスと超粘土の特性なのか、俺が声質からイメージしたゴスロリ風の衣裳に変化していた。


「無敵すぎる……」

「何に対してよ? バカなの?」

『『『おぉー』』』


 野良勇者一同からも感嘆の声が漏れていた。ピョン子、これが世論だ。超狭いけど。


「さぁ、プロディちゃん! 反撃よっ」


 ヘッドドレスに腰掛けるプロミディアさん。本来の持ち主である彼女がプロディちゃんをサポート。


「両うれのコアを廃棄」


 両腕を交差し、自らの肩へ爪を立てるプロディちゃん。ズブズブと手首まで押し込むと、悪いメリフェスごとダメージの大きい磁気球体を引きずり出し、投げ捨てる。

 見かけによらず硬派な部分もあるのかな?

 ひび割れた磁気球体とはいえ、1基でも莫大な魔力を生み出すコア。メリフェスは直径5cmほどのそれを両サイドに浮遊させ、プロディちゃんを攻撃。


「この子のダメコン能力を甘く見ないでよぉ! 2基のコアが無くても残り6基で四肢の制御を補えるんだから」


 鉄人かよ!


「凄いですね。あれだけ地水火風を織り交ぜた攻撃を受けているのに、ダメージは軽微です」


 俺の隣で、あまり見せない驚きの表情をする鳩野さん。本当にハイスペックだと言う証だ。


「しかもノーガードなの」

「慧依子先輩!? いつの間に」


 観戦に夢中で気がつかなかった。

 さらに周辺をみまわすと、うずたかく積まれた野良勇者の山がひとつ。その頂に腰をおろし、落日を背に煙をふかす侍女さんは絵になっていた。

 俺の視線に気づくと、あわててタバコを隠し笑顔で手を振る。


「私が知らない間に超進化してるの。でも、あそこまでの能力は無いはずなの」

「姫、おそらく我々が用いた『女神の欠片』の影響かと……」


 隊長さんが進言する。そういえば、あの変な呪文で融合させてたっけ。


「女神の欠片?」

「キヤロト様が神殿跡で回収した女神の頭部だ」


 斬首されて、炎の中ころがっていたプロミディアさんの頭……石化充電中だったのが救いか。


「だから魔法が透りにくいわけですね」


 なるほど。するともうひとつの材料は……


「あ! サンプルって、スズメさんのボイスサンプルか!」


 それならプロディちゃんの声にも納得がいく。


「うむ。機械的な声で命令されるより何倍もやる気が出るのでな」


 俺だってそうだ。


「プロディちゃんの構成要素が判明してスッキリしたよ」

「甘いのモル鷺君。まだプロディちゃん8の秘密が残ってるの」


 ネタじゃなかったのかよ。


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