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3-12

 縞ウサギそれぞれのパーソナルラインが魔力を帯び、カラフルな光の線が超高速で地を這う。

 幻想的な軌跡を描いた後に点在するモンスターは、即死発動の証としてカラフルな炎の花を咲かす。

 さすがプロの暗殺集団。まぁ、派手だし暗殺にはなってないけど。


「モンスター軍団が全滅!? 三分もたたずにか!」


 ふたつの意味でキャラぶれしているキヤス・バルが、ゾンビ軍に遅れて光りに包まれると、メリフェスとの融合が解けたのかスルリと抜け落ちる。


「む、あやつめはっ!!」


 落下したキヤス・バルの姿は、縞ウサギ達のかたき・人参忍十面相へと戻っていた。


「あいつ、メリフェスに絞り取られて一回死んでたのか……」


 EX贖罪(食材)マンドラゴラからニンジンヘ退化したキヤス・バルの末路は。

 群がる縞ウサギに即死を叩き込まれる事は無く、若干のグロ映像を経てシルクハットとマントとモノクルを残し、ラビ庵のスタッフがおいしくいただきました。

 一方、魔力の供給源を失ったメリフェスは、一瞬でプロディちゃんの頭上へ移動していた。


『サイゴニ……オ……マエ……タチノ……キボウヲ……ウバウ……』


 護衛の隊長さんは健闘むなしく簡単に弾かれ、反発して袂を分けたはずのプロディちゃんと強引に再融合を始める。


「拒否反応を逆手に取って自爆するようですね」


 直後、ビキッと何かヒビ割れる不快な音がプロディちゃんから聞こえた。


「コアの磁気球体を破壊してるのか!? クソッ、また引き剥がすぞピョン子!」

「ハイハイ」


 なすがまま、無表情でメリフェフに蹂躙されているプロディちゃんめがけ走り出す俺。

 安全な場所にと思って離れた場所へ待機させたのが仇となり、風切り音よりハッキリと聞こえるカウントダウンは、残り3個でなんとかプロディちゃんに組み付く。

 崩壊を促すなりふり構わない融合に、うつろな瞳で小さい身体を内側からガクガク揺すられるプロディちゃん。

 ピョン子が魔力を練る間にまた一つコアを破壊される。


「ふぁ〜あ。と……お待たせフウマちゃん、カード使えるわよ」

「プロミディアさん!」


 簡易充電が終わった手乗りサイズのプロミディアさんが、寝ぼけまなこで俺の肩に現れた。


「なんなのこの状況!?」


 起きたらクライマックスですもんね。


「ちょっと痴女女神! コレ、アンタの器なんだから、なんとかしなさいよ!!」


 残り1個となってしまったコアを死守するべく、奮闘しているピョン子。


「フウマちゃんが組み伏せてる●●プ目の子? 鎖骨以外、全然違うケド」


 ●●プ目て、確かにそんな瞳をしてるけどさぁ……


「プロミディアさんが充電してる間にいろいろあって、俺得なデザインになっちゃったけど、ホントにプロディちゃんなんですよ」


 魔改造に至るまでをかいつまんで説明する。


「えーっ! じゃあ私の器じゃなく『良いメリフェス』の器になっちゃったの!?」

「そう。で、今『悪いメリフェス』が自爆しようとしてるから全力で阻止してるんです、ピョン子が」


 難しい顔で腕組みし、俺の頭の回りを胡座をかいた姿勢で浮遊するプロミディアさん。一周して目の前で滞空。


「とりあえず自衛システムを起動させましょう、フウマちゃん」


 前に強襲殲滅型なんとかって言ってたやつかな?


「起動って? どうすれば……」

「さすが勇者、ニブいわねっ!」

「乙女の眠りを覚ますのは王子様のキスでしょ〜!」


 一瞬だけ脱兎したピョン子と、同じく一瞬だけ等身大に戻ったプロミディアさんが俺の頭を同時に押し、強制的にプロディちゃんとキスをする。


『……………………』


 生気を欠いた瞳。自惚れていいなら、ずっと俺を見据えている気がしていた。

 徐々に潤んで強い意志を含んだ光が灯る。小さな薄桃の口からか細く儚げな声で紡がれた言葉は。


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