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連休明けに入ってきた尋常じゃない仕事量を処理していました。
予定より遅れましたが、やっと更新できました。
偏った『ぼくのかんがえた(ある意味)さいきょうのめがみ』の理想形を一方的に念じた結果、その甲斐もあって。
プロディちゃんは、ほぼ俺達の理想を大胆に取り入れた姿へ変貌を遂げる。本来使う意味とは違うベクトルの『天使』や『女神』と言っても過言ではない。
ちょうどプロディちゃんと正面から四つに組んでいた俺は、長い睫毛に覆われた蒼い瞳と目が合う。眠りから覚めたばかりの瞳に、マヌケな俺の顔が映り込んでいた。
「寝起き一発目、人生初の光景が俺の顔で申し訳ない」
なんか謝ってしまう。
「…………」
生身というよりフィギュア然とした無機質な彼女は無言で俺をみつめている。
一方、俺達のバカげた妄想に拒否反応したメリフェスは、首領としてのプライドなのか俺達の総意とは相違があるらしく、相容れない部分だけが反発して外部へ飛び出し、二回りほど小さくなったメリフェスの欠片はキヤロトへと吸い込まれ融合を果たす。
「しまった! メリフェスに掛かり切りでノーマークだったか!」
メリフェスを取り込み、1mそこそこだったキヤロトはリアル等身のマンドラゴラヘ姿を変える。
「くそぅ、次から次へと!」
「さすがに食あたりしそうね」
俺もそう思うけども。
「私は運がいい」
どうやらこのマンドラゴラは、『絶叫』するかわりに名セリフを吐くらしい。状況が理解できない大半の野良勇者は、レベルアップしたキヤロトのカリスマボイスに心酔している。
「おお! キヤロト様みずから『器』にっ!」
「キヤロト様とメリフェス様が融合したのかっ!?」
「これはメリフェス・フェスティバルとは言えんな……」
「まぁ、新生メリフェス様の誕生祭には変わるまい」
「キヤロト様! ここは新たに我々の総帥としてふさわしいお名前に改名してみては?」
なんかヤな予感がするよ。
「うむ。そうだな……『キヤロト』と『メリフェス・フェスティバル』を合わせ……」
一拍、間を置き。
「『キヤス・バル』と名乗ろう!」
やっぱりか! もういいよ、だいたい予想できたよ!
「バル様!」
「キヤス様バンザーイ!」
「バルさまぁーっ!!」
呼び方バラバラじゃねーか。
茶番はさておき、ネオ魔王軍総帥『キヤス・バル』が誕生した事で状況は悪化している。
「ころころ名前変えて何するつもりだ!?」
単に無関心なのか誰かの属性が反映されているのか分からない無表情なプロディちゃんを背に隠し、元ニンジンと対峙する。
「今の私は、自らを器と規定している。召喚国に捨てられた者たちの思い、野良勇者の理想を継ぐ者たちの宿願を受け止める器だ。彼らが望むなら、私は大魔王メリフェスになる」
いやもう、いろいろヤバイよ?
「俺だけじゃ捌けねぇ!……どうしようピョン子」
「アンタじゃ、ここが限界ね。どうせ勇者補正でなんとかなるわよ」
そんな身も蓋もない。グルリ取り囲まれているってのに気楽だなぁ……後ろ向きだが、ピョン子の言う『補正』の可能性を脳内ダメ知識に沿って考える。
第一候補は鳩野さん。一番有力。早く秘蔵部隊を連れて来て。
次点はミツバ姐さん。本来は俺が助ける立場だけども。なんかピンチになったら颯爽と現れてくれそう。今がその時ですよ?
慧依子先輩はドライだからなぁ。常にやる気なさそうだし、無理だろう。
あとで救助&謝罪の霊仙寺は逆に攻撃してきそうだ。
残るは俺と一緒に包囲されてるジェイショッカー隊長以下数名。
「脳内会議の結果、選択肢が鳩野さんしかないんだけど?」
俺の攻撃もピョン子の攻撃も群がる野良勇者には無効化されちゃうしね。どうしたものか……




