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「いやいや、発言内容よく考えて?」


 栗色のハーフアップを左右に揺らし、可愛く逡巡する鳩野さん。君はそんな足りないコじゃないと信じているよ。


「すいません。杜鷺君が大人バージョンの兵藤先輩に落胆していたと聞いたもので、てっきり巨乳派かと……でも『小さい子』好きって、どうかと思いますが」


違う答え出ちゃった! どういう意味の『小さい子』? 胸の話しだよね? いや、本題はそこじゃないけども! 鳩野さん、俺を犯罪者にしたいの?


「こんな俺が相手でいいのかって意味だったんだけど」

「さすがに危険な性的嗜好だとは思いますが、がんばります」


 あーっ、話し進まねぇっ! なにをがんばるつもり!?


「私のことはご心配なく。表面上とはいえ、学校では公認の仲じゃないですか」


 確かに俺が婿養子になるって設定だけど、それは怪しまれないための言い訳でホントじゃないし……


「それとも『杜鷺君ごときでエルマナが救えるなら安いもの』と言い直します?」


 それはそれで立ち直れないです。


「杜鷺も鈍いわね。察してあげなさいよ、アカネ照れてるじゃない」


 真顔にしか見えないんだけど? 霊仙寺にはどう映ってんだよ。


「ムリね、ソイツに乙女心が理解できるなら勇者になんかなれないわよ!」

「ピョン子のくせに生意気な!」


 だまってケーキでも食ってろ。


「そうね、ピョン子ちゃんの言うとおりだわ。」


 静香もだまってろ。


「俺には想像つかないんだけど、鳩野さんのお母さんはカーナビが70mずれるレベルでフリーダムな人なの?」


「はい。大魔王の父と互角ですから」


 大魔王の父!? また捌ききれないボール来ちゃったよ! 結構なライナー性だよ!


「時期をみてお話しますが、『複雑な家庭環境』ぐらいの認識でお願いします。ちなみに、大魔王と魔王軍は別物です」


 そんな、甘い物は別腹みたいに……

 まぁ俺も混乱してるし、今はそれでいいや。とりあえず現状まとめると、


 1. 良くも悪くも石化していた鳩野さんのご両親が復活

 2. 女王を引退したがっている鳩野ママが自由になると、エルマナ全土がピンチ

 3. 鳩野さんが純血を失うと、女王継承権がなくなり鳩野ママが女王業を継続

 4. 結果、野獣(失礼)をハート城内につなぎ止められる


 て、ところか?


「ところで、お昼に言ってた『人生一発逆転』って要素はどこに?」

「あの人と縁を切れるんですよ? エルマナ追放の身になりますが、人間の女の子として杜鷺君に面倒みてもらう人生も悪くないと思っています」


 さも当然のように返されましても。


「さ、杜鷺君。みせつけに行きますよ」

「え? なにを? みせつける!?」


 俺の手首を掴み、立ち上がらせる鳩野さん。

 華奢に見える細い指の接点は柔らかく、いつまででも握られていたい気分になる。


「存分にするところを見せて、私の意思表示とします」

「霊仙寺、ヘーーールプッ!!」


 静香と霊仙寺が見下ろす脇を、予想外の力で引き摺られていく俺。


「さすがにワタシも『今は』アカネに1票かな。『両極の魔女』には係わりたくないもの。自然災害がコントロールできるなら、わざわざ自国へ呼び込まないでしょ?」

「ダイアちゃんは、嵐が去ってからの略奪愛狙い? 情けないわね。そんなコに弟は任せられません」


 無情に遠ざかっていく二人の姿。


「シズカは杜鷺が存分にされて黙っているの?」

「逆に興奮するタイプ!!」

「うわ、引くほどの笑顔……ミヤコちゃん、良くまっすぐ育ったわね」


 実の姉はとことんゲスだった。

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