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「……ありがとう、ローザ、リィザ。大まかには掴めたよ」
ふたりの協力のもと、午前中を潰してなんとか端末の使い方をマスターした。
この端末の役割。
■参加チームリスト
■個人の位置情報や生死判定
■MAP機能
重要なのはだいたいこんなところだ。
で、あらためて自分のチーム情報を見てみる。
『チーム名:ロリサギ』
まじで? チーム名、コレで確定されちゃってるの? 続くメンバーリストには小さな顔写真の横に名前とジョブのような肩書きが表示されている。
「えーと『ロードリア・ローザネット:剣士』」
ローザの華奢な外見からそうは見えないけど、ブタ王子も「大剣振るってた」とか言ってたしなぁ。人は見かけによらないのかもしれない。
「でぇ、リィザは『ロードリア・リーザネット:ディフェンダー』」
「ぼうぎょはまかせてください勇者さま!」
自信満々に胸を叩くリィザ。いたいけな幼女とはいえ、ここは異世界。侮ってはいけない。
彼女と同年代のイザベラが魔力の炎でピョン子の前髪をチリチリにする所をこの目で見ているからな。小さくても防御魔法の使い手なのだろう。
「俺はと……『勇者(w)・モリサギ:勇者(wwwww)』」
かっこ笑て! 誰だ、このリスト作ったやつ! 呼び捨てっぽくなってるし、すげぇ笑ってんだけど!? 先人の勇者達がネットスラングを持ち込んだにせよ、使いこなすエルマナの人もどうかと思うが……
まぁ、今の俺は「静香」ってことになっているから笑われようが別にいいけどな。
と、こんな感じでチーム総数は大小合わせて80もあった。
「たった三人のチームで生き残れるのかなぁ」
「なに言ってるんですか勇者様。丸腰だった時と違ってピョン子さんも戻り、ドリフシステムも万全なんですよ? 無様に逃げ惑う姿を拝めないのは残念ですが」
確かに数日前の絶望的な状況は回避できたけども。
「何のための蘇生無料だとお思いで? 裏を返せばピョン子無双OKって事です!」
即死90%で次々と人が倒れて行く光景など想像したくないな。
「あー、勇者様の世界でのモラルが枷になってそうですねぇ。エルマナはそちらの世界と違って結構殺伐としてますからお気になさらず」
「そうは言ってもなぁ」
モンスターや魔法を使う悪人集団が普通にいる世界と分かっていても、人相手にピョン子の能力は向けるべきではないと思う。
「どー思いますかぁ、リィザ様。あこがれの勇者様は戦うのが怖いみたいですよぉ?」
オヨヨとわざとらしくリィザの元へ泣き崩れるアンナ。
「安心して勇者さま! わたくしが勇者さまをお守りしますわ!」
俺の左手がリィザの温かく小さな両手に包まれる。
「どこから来るんでしょうねぇ、子供の無垢な万能感て」
ウットリと主人を見つめるイカレ侍女。
「あらあら、そんな大口を叩いて大丈夫ですの? ウソつきリィザさん」
声の方を見れば執事っぽい男の子を従えたイザベラと、
「お久しぶりです、モリサギ様」
「探しちゃったじゃないかぁ〜シィズカちゃ〜ん」
レンガーノ君とその兄、ブタ王子。 なぜちょっとルぱぁ〜ん調で言った?
「探してたって……?」
こんなヤツに探される覚えはないが。
「ホラぁ〜コレ、キミの忘れ物だろぉ〜」
ブタ王子が差し出してきたのは青ラインの白いビーチボール……じゃねぇ!
「「アーシャ!?」」
それはブタ王子と同じくらい丸々と肥え太ったアーシャだった。
「お……お姉ちゃん、無事だったのね……よかった」
「ちょっとアンタ! 私の妹にナニしたのよっ!」
右手のピョン子に引っ張られ、よろける俺。
「丁重にオモテナシしただけだよぉ〜、感謝して欲しいなぁ〜」
「……助けて……お姉ちゃ……グハッ!」
視線を落とすと、俺の足元が真っ赤に染まっていた。
次回更新は2月5日前後の予定です。




