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「いままで何処でなにしてたんだよ、他人様に迷惑かけなかったか?」
かけているんだろうけども。
「ちょ、苦しいっ、はなしなさいよ!」
嬉しさのあまり抱擁が強すぎたのか、ピョン子は赤い頬を膨らまし俺を押し退け右手に還ってきた。
「まぁいろいろとねっ! あの姿のせいでさんざんだったわよ」
頬が震えるほどの高速ウサパンチが心地よい。
「留ぅ・奈ぁ・ちゃ・ん・カぁ・ワぁ・イぃ・イぃ・かぁ・らぁ・なぁ」
いたずらとかされてないだろうか? まぁ相手は返り討ちだろうが、とにかく無事でなによりだ。
「アタシを心配しなさいよっ!!」
抗議気味のポムポム連打からデンプシーへとスタイルが変わり、あえて受けきることにした。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「アンタもいろいろ大変だったのね、ざまぁ」
ピョン子不在の出来事を双方向で確認。
「ウサちゃん、なぜ私を見たんです? 女神様もそうでしたけど」
女神の荒治療でできたコミカルなコブを撫でてやりつつ、興味深く覗き込むアンナ。
「ピョン子が戻ってきたって事はステータスゼロの効果が切れたのかな……」
プロミディアさんと会え、ピョン子も正常に。そういうことだと思いたい。
「せっかく勇者様に努力してもらえるチャンスだったのに、残念ですねぇ」
「コイツに努力なんて似合わないわよ、努力に失礼」
おーおーピョン子さんよぉ、さっそく言ってくれるなぁ。
「その分まわりが全力サポートですか。いやぁ至れり尽くせりなシステムですねぇ勇者様。これが主人公補正ってやつでしょうか?」
返す言葉もない。どれだけ努力すればチートインフレした異世界で堂々と生きていけるのだろう。
「一蓮托生の身なんだからしょーがないじゃない! コイツが死んだらアタシも終わり、手を貸してやる一択なの。報酬しだいでねっ!」
一択なのに報酬しだいとはこれいかに。さすがピョン子脳。
「はぁ。勇者様単体で問題解決するビジョンは夢のまた夢なんですかねぇ……」
複雑な表情で深く息をもらすアンナ。俺に期待したりしてなかったりと、あいかわらず本心がどこにあるのかサッパリだ。
「問題解決するにも解決するための最低基準に達していないんだから長い目でみてくれよ」
「アンタに期待するやつがいるなんてビックリね。何を見ていたのかしら」
「ウサちゃんと同じ、呆れたうえで肩入れしてるんですよぉ。お気になさらずぅ。取ったりしませんから」
ウサパンチを華麗にかわしながら意地悪な笑顔でピョン子の麦チョコ鼻をつつくアンナ。
「ところでプロミディアさん、なぜ邪神像?」
「あっれぇー勇者様、私イイカンジでデレたつもりなんですけど無視ですか」
デレなめんな。実際デレてないしな。
「フウマちゃん、邪神言わない」
粉々に砕けた邪神像の破片を集め、元通りの異形オブジェへと再生させるプロミディアさん。
「なんかねぇー、私がモデルなだけあって完成した女神像へのイタズラが絶えなかったのよぉ。お姉さん困っちゃう」
さほど困ったようには見えないが…… 野良勇者さん達、モデラー班の仕事っぷりが凄かった結果なのだろう。
「文字通り神造形が災いしちゃったかぁ」
「しちゃったー」
まぁ当然だろう。思春期男子ならムラムラきてもおかしくない出来映えだったからなぁ。
「斬首事件後の女神像は私自身が石像化してるわけじゃないから被害は少ないケドね」
造形をプロミディアさんが手がけた結果、女神像に対するイタズラ被害はパッタリなくなったそうだ。
はからずも頓挫した『強襲殲滅型依代』計画が完成したようなもんか。
強襲殲滅型依代、よく覚えてたな俺。
次回更新は10月12日前後の予定です。




