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3-3-6

執筆時間がとれたので早めの更新です。

 あきらか杜鷺家には不似合いな業者サイズのパエリア鍋を器用に操るルビーナ。


「そんなもんよく家にあったな」

「以前洋食店を手伝った時に新品で一式貰ったんだ。他にも色々あるが、大半は置き場が無いのでハート城に保管してある」


 ルビーナ効果すげぇ。

 メイド服で和洋折衷、苦もなく料理していく姿は元魔将軍のかけらも無かった。


「お兄ちゃん、お客さんが増えたから長テーブル出すの手伝って」


 パタパタとキッチンへ入ってくる都。


「お客さん?」

 

 続いて入って来る人影。


「こんばんにゃあ〜。カラリパヤットをおみまいすると言われ参上しましたにゃ」


 妹の後ろに立っていたのは侍女姉さん。と、ペコリとお辞儀をする侍女さんだった。


「パエリアですよ? すげぇニッチなネタ持ってきましたね」


 長さで言えば『13cm』くらいわかりずらいネタだ。


「私が呼んだんです勇者様」

「アンナが言っていた侍女仲間って……」


 いつものテーブルこたつの横へ重厚な長テーブルを並べつつアンナに聞く。


「はい。侍女派遣組合『侍女ケット』の先輩方です」

「何だその『侍女オンリーイベント』みたいなネーミング」


 侍女さん達の種族、ケットシーで構成された侍女派遣ギルドってとこか?


「私もどうかと思うんですがね、アクセシアン受けするみたいなんですよぉ。まぁ所属侍女達の質が落ちる訳じゃないですからお気になさらず」


 それは侍女さんの活躍を思い返せば納得できる。優秀すぎるほど優秀だからな。侍女姉さんはちょっと微妙だけども。


「てか、アンナもケットシーだったの!?」

 

 たしかに身体能力はバカ高いしネコっぽいちゃあネコっぽいが。


「いえいえ。私はまだ新人なんでEランクのケットイーなんですよ」

「え!? ケットのあとって、まさかのランク?」


 衝撃の事実。いわゆる『ケットC』ってこと?


「そうですよ? 研修生の『ケ・ゾウム』から始まりW、E、Dと経験を積み先輩レベルでやっと『ケットシー』が名乗れるんです」


 まず『ケ・ゾウム』ってなんだよ。


「楓麻。話途中ですまんが料理を運んでもらえるか?」


 黙々とストイックに調理していたルビーナに呼ばれる。

 目の前に突き出されたパエリア鍋の揺らめく熱気。立ちのぼる香ばしい香りで思考がリセットされ、アンナの嘘か本当か分からないバカ話は一旦保留にして料理を食卓ヘと運ぶことにした。

 侍女さん達も手伝ってくれたおかげで俺が雑に配膳するより段違いの見映えとなった。

 最後にルビーナが舟盛りをパエリア鍋の隣へ置き、ある意味カオスな夕飯が完成する。


「この舟も貰ったのか?」


 よく観察すると小さく『日の光0048丸』と船名の焼き印があった。

 舟盛りなんて俺もそのアイドルアニメくらいでしか見たことねぇよ。


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■ 


 そんなこんなで豪勢な夕飯を終えて。


「お前、ヒラマサ1本よくいったな。捌く前は80cm位あったはずだぞ」

「たいへん美味しゅうございましたぁ」


 アンナに限らず侍女ケット組が大半の魚を平らげていた。


「まぁまぁ勇者様。ごちそうになった分はちゃんと埋め合わせしますから。先輩方がHAHAHA」


 ポッコリ膨れた腹をさすり楊枝でシーシーやる始末。

 コノヤロウ。


「杜鷺さま、大体の事はアンナから聞きました。また大変なトラブルに巻き込まれてしまいましたね」

「勇者の仕様だからある程度はしょうがないにゃ」


 侍女姉さん、もう方言隠そうともしませんね。にゃ語尾嫌いじゃないですけど。


「とりあえずこのキレイなピョン子をなんとかしたいんだ」


 記憶を失った跳ねっ返りウサギ。見る影もなく聖女と化したピョン子は理想的だがしっくりこない。

 アンナから提案された記憶喪失の治療をしつつ、修行もつけてもらう一石二鳥のプラン。これを実現させるには豊富な魔法系統を操れるという元勇者の『ダイバーだった老人』を探し出して弟子入りすることだ。


「お任せください杜鷺さま。姉と二人なら数時間で西の山一帯の情報を集められますから」

「よろしくお願いします」


 売れ残りケーキで締め、明日への英気を養う俺だった。

次回更新は7月26日前後の予定です。

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