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3-3-5

執筆時間がとれたので早めの更新です。

 理想の留奈ちゃんが消えてしまうのは惜しいが仕方ない。


「なんでもっと早く言わないんだよ」

「だって撥ねたのウチの馬車じゃないですかぁ。あわよくばうやむやになるかと思いましてHAHAHA」


 コノヤロウ。


「まぁいい。今からでも誠意を見せるなら示談の仲介を考えてやるよ」


 言ってもピョン子だからな。ニンジン百本くらいで丸くおさまるだろう。だいたい魔物に人身てあてはまるのか?


「心当たりと言ってもメイド仲間から聞いた噂話でして。なんでも数十年前に召喚された勇者とかで、エルマナの四大属性以外にも独自に編み出した魔法系統があるとか」


 エルマナには無いが、ゲーム等でお馴染みのいわゆる『光』とか『白』とかの属性だろうか。


「なんにせよ治癒系の魔法を扱えるなら希望はあるな。どこに居るんだ?」

「はい。今はエルマナの西にある山奥でインドア生活を満喫しているそうですよ」


 ちょっと別な意味で不穏な匂いを感じる。


「一応聞くが、どんな人なんだ?」


 単なる引き籠もりなのかな。


「はぁ。現在は百歳を超えるご高齢ですが、召喚される前は海の男だったと聞きます」

「漁師とか?」

「ダイバーだった老人です」


 久々直球なの来たな! 不穏な匂いプンプンだったよ!


「え、聖者の!?」

「人の話ちゃんと聞いてますか勇者様? 潜水士です。『ダイバーだった老人』ですよ。私も名前は知らないんですけどね」

「いや、スマン。俺の思い過ごしならいいんだ。ちょっと無駄知識がよぎったもんで」


 そうか元『ダイバーだった』老人か。


「ついでに修行をつけてもらいましょうよ! 勇者様」

「インドアで山奥で修行ってお前狙ってないよな? ホント元ダイバーであってんだよな!?」

「修行内容は知りませんよ。インドアで習得できれば楽でいいじゃないですか」


 あーもう、エルマナ思考! あーもうっ!

 

「……とりあえずその『ダイバーだった老人』に会いに行ってみるかぁ」


 なんとか冷静さを取り戻した俺はアンナに噛みついても意味がないことを悟り、前向きに考えることにした。

 西の山奥と言っても範囲が広大すぎる。件の老人がどこに居るのか探し出すのは困難だろうけどな。


「私が噂を聞いた侍女仲間に連絡とってみますので一日待って貰えますか?」


 なんだかんだでもう夜だしな。


「じゃあ出発は明日ってことで」


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■ 


 一段落したところでタイミングよくルビーナが食材とバイト先の売れ残りケーキを提げ帰宅する。


「楓麻、戻っていたのか」

「なんだ、そのでっかいクーラーボックス」

「商店街で買い物していたら魚屋がわけてくれたんだ」

「どんだけやり繰り上手なら50リットルの魚箱貰えんだよ!」


 わけてもらえるレベルじゃねぇ。


「店を一日手伝う条件付だ。割が良いと思うが」


 まぁ正直ルビーナが店頭に立てば見た目も手際も元が取れるだけの働きはするだろうさ。買い物客なのに商店街では結構ルビーナ人気は高いと耳にするし。


「私の時は何もサービスしてくれないけどね。おかえり楓麻」


 一足遅れて静香も帰宅する。


「そもそもお前、ルビーナに任せっきりで買い物行かねぇだろ」

「お姉ちゃんはあんたの代役で大忙しなのよ」


 その原因はお前じゃねぇか。


「ルビーナ、私パエリアがいい。海老たくさん入ったやつ」


 クーラーボックスを覗き込んで新鮮な食材を吟味する静香。


「勇者様ぁ、私こちらの世界の『お刺身』というモノが食べてみたいですぅ」


 どう料理したって食いきれる量じゃない。


「じゃぁ海鮮料理のフルコースにでもしよう。楓麻、悪いが手伝ってくれ」


 俺の家に居候してからというもの主婦スキルがプロレベルに達しているルビーナだった。


次回更新は7月24日前後の予定です。

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