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3-3-2

執筆時間がとれたので早めの更新です。

「モル鷺君が美少女になったの。まさか温泉に『悲劇的伝説の泉』効能があったなんて知らなかったの」


 まぁ着替えただけなんで、水・お湯どっち掛けられても性別そのままですけどね。


「そう言えば俺がテストしていたアイテムって結局何だったんですか? ロードリアヘ飛ばされたのは慧依子先輩のアイテム実験が原因だと思っていたけど違うみたいだし」


 真実はタイミング悪くブタ王子の悪戯で召喚されただけだった。


「モル鷺君のくせに私のせいと思われていたのは心外なの」

「それは謝りますから写メ撮らないで。恥ずかしいから」


 普段のものぐさスタンスからは想像できないアグレッシブさで誰得ショットを撮りまくる慧依子先輩。


「でも話を聞く限りアイテムは作用しているみたいなの」

「そうなんですか? 特に変化を感じませんでしたけど……」

「本人に変化を気づかせず効果を発揮する……概ね狙い通りなの」


 燕尾服を慧依子先輩から手渡される。が、カードホルダーはひび割れたままだった。


「あれ? 修理してくれたんじゃないんですか?」


 女子制服の上から羽織った燕尾服はクリーニングがかかっているだけのようだった。


「それがアイテム『ステータス0』の効果なの」

「すてーたすぜろ?」

「ぶっちゃけ『不幸ぶる勇者に能力のありがたみを知らしめる』効果のアイテムなの。アイテムと言っても勇者に反応する指向性の気体だから肉眼では見えないの」


 ポカンとする俺に慧依子先輩が解説してくれたがサッパリだった。

 どうやら能力の恩恵を受けながらもそれを『ダメ能力』と評する勇者に対し、一定期間能力を強制的に封じるものらしいが。


「モル鷺君の場合『縞ウサギ』と『ドリフシステム』と『カード』なの。効果が切れるまで修理できないの」


 ピョン子はともかく、ドリフシステムとカードに関してはダメ能力と評価した覚えはなかったが「試験的に勇者の便利能力を全て奪う仕様にしているの」と言われてしまった。


「ピョン子が行方不明だったのも、アンナにカードホルダーを割られたのも偶然ではなかったって事か……」


 いずれにせよファイナ●デスティネーション的な効果発動までの流れは予測出来ないし、お手上げだ。


「面白いようにダメージ通りましたもんね」


 やっかいなアイテムテストのおかげでドリフシステムも封印され、当初アンナからは結構な数の打撃をもらっている。


「下手すると俺、ブフィ祭も丸腰のままなんじゃ!? 先輩、この効果いつ切れるんですか?」

「いつ効果が切れるかは不明なの。健闘を祈るの」


 戦力回復のため戻ったというのに無駄足かよ!


「頼りはピョン子だけか……」


 ステータスゼロがどう作用しているかは知らないが、ピョン子との再会は果たせている。


「ホント、他力本願なんですねぇ勇者様。自分で努力しようとは思わないんですか」

「思ってたら今の時代、勇者なんかなれないの」

「逆にこのスタンスこそが勇者なのかもしれないですねぇ」


 不甲斐なくて申し訳ない。


「アンナに正論言われるとはな。先輩はもっとオブラートに包んで」


 でも確かにその通りだ。ピョン子をはじめ、俺は常に何かに頼っている気がする。


「ありがとうアンナ。気持ちだけでも自力で打開できるようがんばってみるよ」

「な、何お礼とか言っちゃてんですか! そんなコトでデレたりしませんからね」


 意外にわたわたしているアンナ。


「そうなの。雰囲気に流されがちだけど、行動するとは言ってないの。「気持ちだけ」なの」


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■ 


 とは言え保険は必要な訳ですよ。

 マンガの主人公じゃあるまいし、一朝一夕に実力がつくほど有能な人間でないことは自分がよく知っている。

 なので俺はピョン子のいる医務棟へ来ています。


「ここか。ピョン子のクセに個室を貰えているとは贅沢な」


 燕尾服は慧依子先輩に預けているため女子制服姿ではあるが仕方ない。意を決して病室のドアをノックする。


「どうぞ」


 中から落ち着いた可愛らしい声が返ってきた。看護師さんだろうか?


「失礼します…… ピョン子、ケガは大丈夫か?」


 ベッドと診察机だけのシンプルな室内。そこにはベッドに腰掛けている留奈モードのピョン子がいるだけだった。


「……どちらさまですか?」


 先程の声の主はピョン子のようだ。よく見れば、キレが全くないように思える。お淑やかで優等生な理想のピョン子と言うか……


「こちらこそ『どちらさま』だよ! 何があったピョン子?」


 思わず肩を掴みガックンガックン揺らすが、


「い、痛いです。放してください」

「なんだこのピョン子、超キメェ! いや、通り越して逆に新鮮、結婚してください!」


 人相も心なしか柔らかく、まるで本物の留奈ちゃんが抜け出てきたようだった。


「え、そんなこと言われても困ります……」


 突拍子もないプロポーズにもかかわらず、まんざらでもない表情で両手を頬にあててはにかむピョン子。


「ところでピョン子って私のことですか?」


 思いの外重症だ! 記憶喪失ってやつか?


「あなたは私が誰か知っているのですね? 教えてください私、何も覚えていなくて……」


 上目遣いに無垢な瞳で俺をみつめ縋ってくる。


「ピョン子のくせになんて破壊力してやがるんだ……」


 俺には手に負えず、ナースコールを押すしかなかった。

ブックマーク登録ありがとうございます、とても励みになります。

次回更新は7月5日前後の予定です。

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