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3-2-7

「しっかし見事にハブられてますねぇ、チームロリサギ。あのブタ王子に目をつけられてますから、当然なんですけども」


 アンナの言う通り、みんな俺達を避けるように移動している。

 パーティーが組み上がった生徒達は作戦を練ったり、他チームに同盟をもちかけたりと仲良く交流しているみたいだ。


「またお会いしましたわね。ごきげんよう、勇者さま」

「イザベラ……さん?」


 とその仲間たち。彼女と同年代の女の子で構成された大所帯のパーティーだ。


「イザベラでよろしくてよ? ずいぶんと質素なパーティですわね、リィザさん。あぁ、ご自慢の勇者さまがいれば三人でじゅうぶんですものね」


 つっかかるなぁ、このコは。


「お手柔らかに願いますわ、勇者さ・まっ」


 手を差し伸べるイザベラ。握手を求められたのかと油断していたら、両手が小さな火球に包まれてしまった。

「熱っつ! あぁっつ!!」

「イザベラっ! 勇者さまになんてことするの!」


 反射的にオーバーリアクションになってしまう。見た目ほど熱くはなかったが、抜け殻ピョン子の前髪にあたる部分がチリチリと焦げていた。


「ごめんあそばせ。こんな挨拶ていどの魔法、勇者さまならノーダメージかと思いましたので。まさかここまで慌てるなんてクススッ」

「ゆ、勇者さまは実力の一億万分のいちしか出してないもん!」


 大きく出たねぇ。リィザ……


「フフッ、そうですわね。能ある鷹は爪を隠すと言いますし、本番ではぜひその隠された実力を見てみたいですわ。オーホッホッ!」


 勝ち誇ったように高笑いで去って行くお嬢様って実在するんだな。


「だいじょうぶ? 勇者さまぁ」


 軽い火傷と煤けたピョン子を優しくさすってくれるリィザ。


「あんな小さい子でも魔法が使えるのか……」


 十年後には優秀な悪役令嬢に成長しそうなイザベラの背を見送っていると、何か見つけたようで、足を止めその場にしゃがみこんでしまった。


「ん? どうしたんだろう」


 彼女達がしゃがんだおかげで確認できたもの。


「まぁ! 可愛らしいウサギさんだこと! どこから迷い込んだのかしら」


 いつからいたのか、目を三角にしてイザベラに狙いを定めるアーシャだった。


「やばい、やばい! ちょ、アーシャ! ストップ、ストップ!」


 懸命にダッシュする俺。

 こりゃ、ピョン子焼かれて頭にきてんな……


「きゃぁあっ!!」


 間一髪、イザベラの首すじ数ミリのところで耳を掴みあげることができた。


「イタイ、イッタイ! 放しなさいよ人間!」


 パステルブルーの縞模様を逆立て、手足をバタつかせるアーシャ。


「な、なんですの? なんですの? ウサギがわたくしを襲って……?」


 恐怖で腰が抜けたのかその場に力なくヘタりこむイザベラ。取り巻きの子たちも怯えた様子だ。


「なんだいなんだいぃ〜、まぁた君かぁ? あいかわらず使い魔の躾がなってないねぇ〜」


 騒ぎを聞きつけ現れたのはブタ王子、ブフィリハム・ワラーノ。学校制服を着ているが、かなりパッツンパッツンだ。


「頭ポンポンやめれっ!」


 即死九割に臆することなくアーシャの頭をなでる王子。


「んん〜、触り心地いぃねぇ〜。ぽむぽむ」

「このぉっ!」


 煽るように頬や鼻先をつつく。

 ヘラヘラとからかい半分でやっていれば当然だが、平均より太い王子の指は簡単に噛みつかれてしまった。


「「あ」」


 俺と王子がハモる。

 時すでに遅く、一拍置いて渦巻くスカイブルーの炎が王子を塵に変えてしまった。


「……な、何がおきましたの……? ワラーノさまは……」


 生々しい王子殺害を目の当たりにしたイザベラをはじめ、遠巻きに見物していた生徒達からも悲鳴があがる。


「殺っちゃいましたね、勇者様。私は嫌いじゃないですよ? 全方位に向けた宣戦布告」


 俺の肩に手をまわすアンナは、普段と変わらないスタンスで慰めともつかない言葉をかけて来たが、ローザとリィザは呆然としたままその場に佇んでいた。

次回更新は6月15日前後の予定です。

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