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3-1-4

「ウソつきリィザに抗議しようとわざわざ出向いて来たら、準備中の召喚ゲートがあってさぁ〜。ゲート職人に聞いたらハート国の勇者をご招待するためって言うじゃん?」

「まさか、貴方……」

「手間省いて喚んであげたんだよぉ〜? まさかテキトーに描いた魔法陣で召喚されるとは思って無かったけどね〜。でもさぁ、ちゃんと召喚できちゃった僕って、ある意味天才じゃね? ブヒャヒャヒャ」


 悪びれた様子もなく得意げに鼻を鳴らす王子。


「一連の騒動は、あのブタ王子のせいでしたか。不安定な魔法陣だったために、招待客を絞り込めなかったんでしょうねぇ」


 アンナが納得したように、ウンウンと頷いている。


「アンナ、どういう事なんだ?」


 魔法陣的にはハート国正統勇者の静香を召喚出来ているので正常に機能してるよな。


「お姉様の方は勇者確定として、魔法陣があなたを勇者にカウントして良いか判断に迷った結果、不本意ながら勇者と認識されたんだと思います」


 俺はその『不本意な』判断に巻き込まれ、あんな離れた山奥に誤召喚されたとのことだった。


「その方はロードリア家の大切なお客様です。今すぐ拘束を解いてください」

「それは出来ない相談だね〜。僕はコイツに都合八回も殺されてるんだよぉ〜?」


 存在するだけでセオリーブレイカーが発動しそうな濃いキャラだもんな。


「気がついたら目の前に鼻息荒いオークがイヤラシイ顔で迫ってたら当然でしょっ?」

「んん〜、気持ちいいこと言ってくれるねぇ〜この勇者さんはぁ。僕は寛容だから許すけどねぇ〜。なかなか目覚め無いからキスしてあげようとしたんだよぉ〜? まさか女の子だったとはビックリだけどね〜」


 のらりくらりと受け流し、相手の神経を逆なでするタイプか。目的が無い分、興味が薄れるまでネチネチと絡んできそうだ。

 俺が名乗り出ようかと思案していたら。


「そうだ、イイコト思いついちゃったよ〜。解放する代わりにさぁ、次の合同演習にコイツ入れてよ〜」


 合同演習が何か知らないけど、まぁ解放されるなら一安心か。


「勇者様? ほっとしているようですが、あのブタ公開処刑を企んでますね」


 穏やかじゃないな。リィザも動揺して今にも泣きだしそうだ。


「ブタ王子としては、神格化されて国民の好感度MAXな勇者様が気に入らないんでしょうねぇ。合同演習の場で勇者様の無力さを浮き彫りにする目論見でしょう。ま、私の尾ひれが原因なんですケドねっ! HAHAHAHA」


 このやろう。


「とは言え、私のリィザ様の夢を公の場で壊されるのは不愉快ですねぇ」

「静香なら俺より上手くやってくれるだろうから、心配な……」


 言いかけたところで凄い形相のアンナに胸ぐらを掴まれ、俺の耳元に頬を寄せ囁く。


「リィザ様には貴方でないと意味がありません。全力でお姉さんとすりかわってもらいますよ」


 えー……断ったら俺が殺されそうな迫力だよ。


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■


 公開処刑に興味が移ったブタ王子は、ローザ姫の返答を待たずにその準備を整えるべく、あっけなく静香を放り出して自国へ帰っていった。

 一触即発の張り詰めた空気は解除され、ブタ王子に毅然と応対していたローザ姫のもとへ駈けていくリィザ。

 俺は途中に放置された静香の拘束を解き、怒り心頭のバカな姉をなだめる。


「ローザ様ぁ、大変なコトになっちゃいましたね。ですが、我々の希望はココにっ!」


 片手で俺の襟首をひっつかんだアンナは、そのまま遠心力で半回転させ、ストンとローザ姫の前へ差し出す。


「……お久しぶりですね、勇者モリサギ様」


 スゲェ清楚系美少女! なのに、ガラス細工に鋼の芯を通したような気高さを感じる。

 ボーっとそんなことを考えていたら、姫と目が会ってしまった。


「リィザ様、ご覧下さい。これが一級建築士の腕前です! この機にうまく技術を盗むんですよっ。目指せ逆フラグ! こちらから鈍感勇者にブッ建ててやりましょう」

 セコンド気取りで意味不明なことをリィザにアドバイスし、俺とローザ姫の間に困惑顔のリィザをねじ込んできた。

 アンナにペースを乱されたのか、凜としていたローザ姫がうつむきモジモジしはじめる。


「姉さま、お顔が赤いですっ! どこか具合が悪いのですか?」


 可愛い眉をハの字にして姉の顔を覗き込むリィザ。


「こらこらリィザ様、いらぬお世話ですよ。……っは! まさか分かった上で敢えて追い込んでいる!?」


 オソロシイ子的な表情で一人盛り上がるアンナを置いて、先を進む俺達だった。

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