告白
雪がキラキラと舞い落ちる。明日には積もるかもしれない。ふと、そう思った。
目の前の君は僕以外と楽しそうに話していて。それはまぁ、いつものことなのだけれど、なんだか苦しかった。
勇気を、出さなきゃ。
「あ、あのさっ」
「どうしたの?」
振り返った君に、不思議そうに僕を見る君に、伝えたいこと。たった一言。それが言い出せなかった。
「ご、ごめん、なんか言おうと思ったんだけどさ、忘れちゃった」
「そっか。じゃあ、なに言おうか思い出したら教えてよ」
「うん……」
また友達に呼ばれて笑顔を向ける君。ああ、なんで言えないのだろう……。
勇気を出すと決めたのに。一生懸命、勇気を出して、それで……。
お前の勇気は、見かけだけだ。
誰かの声がした。そうじゃない、なんて……。そんな確証どこにもないから言えないのに、心は否定している。
どうせ叶いやしない。また独りで閉篭もるだけだ。
いつものように想いを全て独りで抱えて。全くその通りだった。何一つ伝えられない。勇気を出しても想いが届くことはない。自分なんて、といつも嘆いて喚いて俯いて……無理矢理笑って誤魔化す毎日。
もう嫌だった。嫌で嫌で仕方なくて、それで今回こそは伝えようと思った。勇気を出そうと思った。勇気を出せば変わると思った。
何一つ変わりゃしない。お前はただ、彼を利用しただけだ。
ああ、これは自分の声だ。ようやく気がついた。自分で自分を責め立てていただけだった。責め立てられ、追い詰められ、それさえも独りだった。泣いたって、笑ったって、何をしたって僕は結局独りだった。助けなんて求められなかった。
「……好き」
言えやしなくて、切なくて、苦しくて、どうしようもなく独りで。
「……助けて」
「え、何か言った?」
「ううん、なんでもない」
なんでもなくない……。
「そう?」
「うん。ほら、早くしないと間に合わないよ、授業!」
「あ、本当だ。じゃあな」
「うん……バイバイ」
本当は離れたくなんてない……。
「馬鹿だなぁ……私」
今更変えることなんてできない。自分は変えられない。
ポツリと何かが落ちた。雪はいつの間にか雨に変わっていた。