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ーーーーーー真撃(しんげき)ーーーーーー

能力の進化と結末。

そして

敵と呼んでいいのだろうか、人物は声がする方向と姿が見えている方向に違いがあるのが違和感ではあるが、それを頭の中での疑問となる。

[やはり気がついたか。]

そうガオウの声が告げる。

「全く、何処を見ているのですか。」

そう敵から聞こえたと思うのだが、あえて反応せず、声が聞こえる方に少しずつ近づいていく。


何となく、ではあるがその方向に進むことが正しい気がした、

[確信]

と呼べばいいのか、そのような気がすると言えばいいのかは分

からないが。

「本体を見つける力が増加しているな」

その声は自分の右腕の中から聞こえる、聞こえると言うよりは頭の中に響いてくる。

[あまり多用したくはない]

そうは思っているのだが、このままでは依頼を達成出来ないことを考え、右腕に左手を添える。


右腕が光り始める、

「やはり見えないか」

そう言葉にすると、

「我わ影だと言ったであろう。」

と声が聞こえるのだが、その事を忘れていた。

[シャドウに任せればどうにかなるな]

影の事をシャドウと言うことを思いだし、何故か安心している自分がいる。


「多彩ですね、貴方は」

何もない所からやはり声が聞こえる、その上、シャドウの事も知っているかの口振りである。

[まぁ目に映らないだけだから、同じ様な能力であれば対応も対策もできる、か。]

そう思いながら、シャドウに

「圧を変えろ」

とだけ指示をだした。


その言葉を発した直後、段々と身体が重くなっていく感じがする。

「死にたいのですか」

と姿なき声が発する。

まるでこの力の恐さを知っているかの口振り、その事から

[全開にしなくても大丈夫そうだな。]

と思う、敵を倒すために使う能力ではなく、敵を見つけるために使う能力。

その時にしかシャドウは使わないからである。


能力を多用する事よりも、能力を多用するための精神力、肉体的な限界の方が実は心配である。

「どこまで耐えられる、か」

そう小さくつぶやくと、シャドウの能力が少しずつ大きくなり、圧迫間に身体が包まれていく。

「本当に行うとは」

姿なき声の主の場所が段々と明らかになっていく、何故なら、一ヶ所だけ空間に変化が現れたからである。


「シャドウ、もういい」

とシャドウの能力を解除させながらも少しだけ特殊な使い方を行う準備をする。

さらに、右腕に左手を添え、ガオウを武器化させる。

「止められるか」

と言葉を発したと同時に、シャドウのもう一つの使い方を発動させる。


「何が、起きた」

と姿なき声が驚き、言葉を発するのも無理はない。

何故なら、一瞬にして目の前に自分の姿が有るからだ。

[これを使うのも久し振りだな]

そう思いながら、右腕を動かそうと思ったときに、腕にシャドウの能力の一部を使う。


「能力解除をし、受け止めなければ。 死ぬぞ」

その言葉を発したと同時に、右腕は目にも映らない早さで動く。

「浅い、か。」

言葉の意味が相手に伝わったのかは分からないが、相手の姿が目にハッキリと映る、見た目は思ったよりも痩せている感じだが、身体の姿勢と言えばいいのか、均整の取れた身体をしている。

「何をしたのですか。」

と驚いた様子で此方に話しかけるが、答えることはしなかった。


ーーーーーー先人ーーーーーー

「やっと姿を現したか、」

姿なき声の正体と呼べばいいのだろうか、答えはまだ導き出せないが、

[敵]

であることだけは何となく理解できる。


「以前お会いしましたね」

と姿を表した声の主が喋りかける、どうやらこちらの正体は知られている感じだが、あまり気にはしない、

[さて、どう答えようか]

と思いながらも、ガオウとシャドウのコンボでの攻撃はこれ以上必要ないだろうと推測する。

「あまり喋るのは好きではないんですよ。」

と言葉少なめに語る。

そして、刀になっているガオウを相手に向ける。


此方の行動を見て、理解したのか、

「武器化のし過ぎですね」

と相手が発しながら、こちらの目に見えない

[何か]

を持ったような気がする。


[動いてはいけない]

その感情が身体を支配し始める、目には見えない武器が何なのかは分からない、だからこその直感である。

「今度は此方から行かせていただきますよ。」

そう言ったと思えば、目の前に敵の姿があり、腕を動かしたかと思う。

ハッキリと見れなかったが、何かにぶつかる感触が身体に痛みとなり感じ、さらには後ろの方へ数メートル程飛ばされた。


敵にダメージを与えたはずなのだが、そのダメージさえ感じさせない程の威力、この攻撃から一つの不安を思わせる。

[先程の攻撃ではダメージを与えられていない]

のではないか、と。

背中が地面に当たるまでの間にその事を考えながら、次の予測を頭で考える。

[このままでは倒せないのではないか]

考えを一つ出していく毎に、その感情が少しずつ大きくなっていく。

「倒れるな」

何処からか声が聞こえ、その瞬間に身体が言葉に反応するように動く。


「思い出せ、表情を」

また声が聞こえる、今度は気のせいではなく、ハッキリと意識に流れ込んでくる。

困った顔の女性、まともに歩くこともできず、親に支えられながら出ていく後ろ姿、そして、泣きながらほとんど喋ることもできずに感情をコントロール出来ていない状況に、二度めの進入を決めた今回の治療。

「そうだったな、前回はあんたに負けたが、今回は」

そう言葉を出しながら、身体が地面に当たる寸前に上の方に上がる。


右腕に左手を添え、円を描く。

[リミット解除]

そう心で呟く、すると身体の周りの十二の光が表れ、それが少しずつ大きく、そして眩しさが激しくなる。

「我に仇なし敵を倒す、力を提供させたまえ。」

その言葉が自然と口から発せられ、自分の身体の後ろの方に幾つもの幻想的な動物、神獣が表れる。


「バカな」

そう敵は言う、そう思うのも無理はないのである。

一体でも自分を壊してしまう可能性があるのに、それを全て出現させたからだ。

「バカなのは解っているさ、だからこそ貴様を倒すことも」

と言いながら、一体目の神獣、ガオウが身体の中に入ると、言葉を出すことが出来なくなった。


ガオウが身体の中に入ったと同時だったと思う、身体の周囲に光が集まり、そして包み込んでいく。

「久し振りの解放だな(りょう)、今回は自我を保ち続けろ。」

そうガオウの声が聞こえたかと思えば、右腕の肩から指先まで熱くなる。

意識が持っていかれると言うのが正しい表現だと思う。

その右腕を見てみると、何か硬い鎧のような物が着いていることに気がついた。

その数秒した後だろうか、今度はシャドウが身体の中に入り、今度は右足が熱くなり、そして鎧のような塊になっている。


「まだ余裕があるようだな、これならば全開での活動も可能だろう。」

そうシャドウが言い、右足を軽く動かしたと思えば、次の瞬間には目の前には敵の姿が無くなっている。

と言うよりも、周りの景色が赤色一色になっていることに気がついた。


目に見える景色が広がると同じく、時間がユックリと流れる感じがする。

「まだ、足りない」

そう小さな声で呟くと、

(りょう)、暴走を覚悟で我と繋がるか。」

そうルーンが後ろで喋りかけるのが解る、暴走の状態を楽しむかのように。


ーーーーーー総合、(ちから)ーーーーーー

ルーンとの融合には抵抗があるが、そんな事を考えている時間が惜しいと思い、その言葉を受け入れる事にする。

[あの時とは違う、それを感じるだろう]

そうルーンへ言いはしなかったが、感情で伝え、ルーンが身体の中に入ってくるのが解る。


やはり以前とは違い、ルーンが身体の中に入っても自我を保っていられる。

ただ、余裕と言う程までは残ってはいない。

「強大な力だな、ルーンは」

改めて思うと同じく、身体の後ろの方に普段は無いものが表れる。

[羽根]

と呼べばいいのか、それとも

[翼]

と言えるか。


表れた翼が段々と実体化し、触れる位の状態になった時、身体の感覚が変わる。

先程までは自由落下の状態だったが今は、その場所に留まることが出来る。

「さて、殺ろうか」

そう相手に言うと、何もない空間を足で押し、敵に近付く。

時間にして刹那と呼べる程だと思うが、一瞬にして相手の目の前に姿を近付けながら、敵に右腕を当てようと行動する。


多分相手の目には映らなかったのだと思う、何故なら次の瞬間には身体の一部、胸の辺りを手で押さえようとしているのをユックリと見えたからだ。

その動きでさえユックリと動いている様子

[異常感覚]

そう言うのが正しいのだと思う、時間にして1秒のはずが、自分の感じる中では数十秒になっている気がする。


「なんという事、」

驚いている声が何となく解る、しかしその言葉には焦りは感じられないのが何となく疑問に思えた。

「どうやら、思っているよりダメージを与えてはいない様子だが」

その言葉、ルーンの声が身体の中で聞こえてくるのに対し、

「まだ試さなければならないことがあるからな」

と返事をした。

回りから見たら独り言を言っているように感じるとは思うが、敵と呼んでいる相手には気にはならない感じだと思う。


「全く、想像していた以上ですね。」

その言葉はユックリと聞こえている訳ではなく、通常の聞こえかたと同じだと言うことにもっと早く気が付くべきであった。


ーーーーーー真の力ーーーーーー

思っていたよりも早く、異変が表れ始める。

「能力の多様化にはまだ慣れていない、か。」

そう言ってしまいたくなるほど、感覚の変化が自分を蝕み始める、敵が此方に近付いてくるのが解るのだがボヤけて見えている感じがするのだ。

「ブォン・・」

と時おり聞こえる音にも、思いもしない不安感となり自分の動きを鈍らせ始める。

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