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42告白

「次は?何のプール行く?」


「流れるプールは?」


智博の問い掛けに美咲が楽しそうに答える。

僕たちは少し歩きながら、色々なプールを眺めていた。


「元子!あれ楽しそうだよっ!」


竜揮が元子を呼びながら指を指した先は…

大きな滑り台を二人乗りのゴムボートが滑り落ちて来るアトラクション。


「嫌だよ…竜揮の水着がまた脱げるじゃん!」


元子が竜揮にそう言うと竜揮は少し残念そうに頷いた。

智博と由恵もそれに合わせて『もう滑り台は勘弁』と答えた。

…僕と美咲はとゆうと…


その滑り台にくぎづけになっていた。


「ねえ、由恵お願い!一緒に行こう?」


「なぁ、智博も滑り台やろうよ!」


お互いに由恵と智博を誘うが二人共頷かない…。


それを見ていた元子が


「美咲とマコちん二人で行って来たら?」


と聞いてきた。僕は驚いて思わず美咲を見た。


美咲は目を輝かせて僕を見ていた。


…ちょっと待て…


…二人で…?


…水着で…?


…あの密着度の高いゴムボートに…?



…無理無理無理無理っ!


僕は慌てて答えようとしたが…


「行こう!」


美咲が僕の手を引き答えた。

…その笑顔が可愛くて…

…僕は結局、断る事が出来なかった…



滑り台は結構人気のアトラクションで長蛇の列が出来ていた。

おそらく滑る事が出来るまでしばらく待つ事になりそうだった。


「凄い楽しそうだね?」


美咲が目を輝かせて僕を見る。

僕はこれから起こる嬉しい危機に、不安でいっぱいになっていた…。


…僕の下半身が恥ずかしい事になったら…水着だしバレバレになる…


…それは困る…


「…ねえマコちん?ごめんね?迷惑だったよね…由恵に誤解されちゃうし…」


突然、美咲が僕の顔を覗き込みながら聞いてきた。

僕はその意味が解らずに、美咲を見た。


「…マコちん楽しくなさそうだし…困った顔してるから…」


美咲が少し困った様に笑いながら答えた。

僕は美咲の言葉の意味を理解して、笑いが込み上げてきた。


「…不安なのは僕の下半身の心配だよ…」


僕が正直に答えると美咲は顔を紅くして滑り台を見つめた。

滑り落ちて来るのはほとんどがカップルで、ゴムボートの後ろに男性が乗り、その足の間に女性が抱き抱えられる様に男性に寄り掛かり乗っている。


…つまり物凄く密着度が高いのだ…


美咲はそれに気付いた様に頬を染めて僕を見ると、


「マコちん信用してるし…」


と、釘を刺す様に答えた。


僕は何も答えられずに、笑って美咲を見ると美咲に睨み返されてしまった…。



僕は少し話題を変えようと、一生懸命に話し始める。


「…えっと…美咲、昨日は寝れた?」


少しとんちんかんな質問に少し後悔する。


「…全然。」


美咲が少し笑いながら答えるのを見て僕は『何で?』と聞き返す。


「…失恋しちゃった。」


美咲がまたも少し笑いながら答える。

僕はその台詞に胸が締め上げられた。


…あの先生にか…?


そう聞きたかったが、言葉にならない。


「…でもね、全然諦められなくて。」


…ドクン…


…ますます胸が苦しくなる


…美咲自身の口から出てくる、決定的な言葉に僕の体中の血液が逆流していく。


「…側にだけでも居たいんだよね…。」


僕は恐くて美咲の顔が見れないでいた。

美咲の恋する表情を見たくなかった。


…しかし、意を決して顔を上げて美咲を見る。


…美咲の表情は…



…ただ真っ直ぐに僕を見ていた…。

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