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40赤い水着

「…ト…トモっ!正気か?何だよその水着はっ!」


更衣室に竜揮の叫びが響き渡る。

僕は何事かと二人の方へと目を向ける。


…っっ!智博…



智博は真っ赤なビキニパンツを履いて少し照れ笑いを浮かべている…


「へへっ!超カッコイイだろ!」


そう自慢げに答える智博。

…僕は開いた口を閉じるのを忘れて智博を見つめる。


「…マコ…何とか言ってやれよ…俺もトモがここまでアホだと思わなかった…」


竜揮の言葉に僕は恐る恐る言葉を選んだ。


「…智博。その水着は智博には似合わないよ…。竜揮が履くならある意味アリかもだけど…」


「何で俺ならアリなんだよっ!俺でも無しだろっ!」


僕の言葉に竜揮が驚いてまた叫ぶ。


「竜揮は似合うよ。背も高いし。」


「…そうかな…?まあ俺は何でも着こなすしな…」


僕の言葉に少し気をよくした竜揮は少し照れ笑いを浮かべた。

それとは対象的に少し頬を膨らまして僕たちを見つめる智博。


「…これ…そんなにヤバイかな…?」


智博の問いに僕と竜揮は大きく頷いた。


************

水着に着替えて、女性陣を待つ僕等。


すると女子更衣室の方から三人が歩いて来た。

遠目に見ても解る程に三人共とても可愛い!

花柄でブルーのビキニを着ている元子。

ピンクで胸元に大きなリボンの付いたビキニの由恵

そして黒のセクシーなビキニは美咲だ。


三人の姿に思わず声を出して喜ぶ智博と竜揮。


…それとは対象的に女性陣から上がった声は…


…悲鳴だった…


…元子が慌てて走ってくる。


「竜揮っ!何その水着!?なんかヤダよー!」


竜揮の姿を見て驚いた様子だ…。


…それもそうだ…

僕に適当に誉められた竜揮は、その気になって智博と水着を交換したのだから…


「元子ー。似合うだろ?トモがあまりにも着こなせてないから交換してあげたんだよ!」


そう元子に笑顔を向ける竜揮…。

…僕は笑いを堪えるのに精一杯だった…


「…竜揮くん、あれだね?スイミングスクールの先生みたいでカッコイイよ?」


後から歩いて来た美咲が少し含み笑いをしながら竜揮に言った。

由恵は隣で笑いを堪えている。


「…ま…マジで?美咲ちゃんにカッコイイって言って貰えるとは思わなかったよ!…超うれしい…」


そう答えながら本当に嬉しそうな顔を見せる竜揮。

その台詞に笑いが堪えられなくなったのは僕と元子だった。


「ちょっと竜揮ー!美咲の台詞は誉めてないし、それを本気にしないでよー!」



元子の言葉に皆、途端に笑い出した。

そこで笑えないのは竜揮本人と、お気に入りの水着を取られた智博だった…


「いいんだよー元子になんか分かって貰えなくても!分かってくれる人だけでさっ!」


少し意地悪気に答える竜揮。


「…俺の水着なのに…」


ずっと一人でいじける智博。


…こいつらアホだ…



「…智博くんはその水着の方が似合ってるよ。」


美咲の一言に途端に機嫌を直す竜揮と智博。


「ほらっ!俺の水着だぞ?交換して良かったろ?トモ?」


「美咲ちゃんがそう言ってくれるなら!」


…こいつらやっぱりアホだ…


僕は二人の様子を無視してプールへと足を向ける。

それに皆も着いて来た。


「マコちんっ!」


急に呼ばれた名前に振り向くと、美咲が僕の方へと駆け寄って来ていた。


僕は歩く速度を少し緩めて美咲の顔を見る。


「本当はね、あの水着、マコちんが一番似合うと思うよ?」


僕の顔を覗き込みながら悪戯っぽくそう言った美咲の顔が、凄く可愛いと思いながらも


「僕があれを着たらお笑い芸人だろ?」


と美咲のおでこを軽く叩いた。


美咲はニヤリと笑いながら、少し小走りで前に出ると


「だからだよ!」


と一瞬振り返りながら言って逃げ出した。


…あの娘めっ…!


僕は直ぐさま美咲を追い掛け捕まえると脇の下に美咲の頭を抱え込み、軽く首を締める振りをした。


「キャハハハッ!」


下から聞こえてくる美咲の声。そして美咲が逃げようと、僕の腰に回した腕の感触が僕の胸を高鳴らせた。

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