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29旅行

「すげぇ!結構、でかい旅館だな!」


竜揮がホテルを前にはしゃぎ出す


「温泉楽しみー!」


由恵が楽しそうに笑いながら僕の顔を覗き込む

いつもと変わらないその笑顔に僕はホッと胸を撫で下ろす


GW、僕達は温水プールのアミューズメントパークが近くにある温泉街へとやってきた


今日は旅館でゆっくりして、明日は皆でプールに行く予定だ


旅館でチェックインを済ませると僕達は部屋へと案内された

老舗旅館とゆう事もあり、造りは古いが掃除が行き届いておりロビーのテーブルや椅子等も高価そうな物で揃えられている


卓球場やカラオケバーなどもあるらしく、僕等は何処に行こうかと皆で盛り上がりながら部屋へと向かう


部屋は男女別々に二部屋予約してあり、竜揮が隣の部屋に入ろうとする元子達に声を掛ける


「荷物おいたら一旦、俺達の部屋に来てよー」


それを聞いて、元子が返事をしながら部屋へと入る

僕等もそれを見ながら部屋へと足を向けた


「…どうする?取りあえず風呂入りに行く?」


部屋に入ると智博が荷物を置きながら聞いてきた

夕食の時間まで三時間以上もある


「まずは卓球が先でしょ!それから風呂行こうぜ!」



 

智博の言葉に竜揮がニヤリと笑いながら答える

僕はそんな二人を見ながら窓際のソファーへと腰を下ろす


竜揮と智博は、僕の座っているソファーの置いてある場所よりも一段高くなった畳の上の座椅子に腰を下ろした


ここへ向かう車中、由恵は極力明るく僕に話かけて来た

まるで言葉を途切らせるのを恐れるように…

僕はそんな由恵に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいだった…

僕はソファーに深く寄り掛かると大きなため息を一つ吐いた



…調度その時、ドアがガチャッと開いて元子達が入って来た


「お邪魔しまーす!」


元子は部屋に入ってからそう言うと、竜揮の隣へと腰を下ろす

続いて入って来た由恵と美咲は僕の前にあるソファーに腰を下ろす


…何故か三人共凄くラフな格好へと着替えていた


「…いつの間に着替えたの?」 

僕はそう聞きながら三人を見渡す

ロングTシャツにスウェットパンツ姿の元子

Tシャツに短パンで大きめのパーカーを羽織る美咲

そして、膝まで届きそうな大きめのカーディガンに長めのレギンスを履いた由恵


…三人共、いつもとは違う雰囲気でとても可愛いらしい


「どうせ卓球しに行くんでしょ?ラクな格好の方が動きやすいし着替えたの!」


元子が笑いながら言う


「浴衣は?卓球は浴衣でやるもんでしょ!」 

智博がつまらなそうな表情で聞いている


「汗かいちゃうでしょ?浴衣はお風呂の後だよ」


由恵が笑いながら答える

…確かに…この格好もいいけど浴衣も捨て難い…

僕は少し想像しながら顔を緩ませる

そんな僕の想像を掻き消す様に


「取りあえず卓球場に行こうぜ!」 

と竜揮が言う

僕は少し表情を引き締めて皆を見渡す



…しかし…ぶつぶつ独り言を言いながら表情が緩みっぱなしの奴が一人いた…


「やっぱり浴衣で卓球…で…帯が…」

一人でニヤニヤと…気持ち悪い奴だ…



「智博!鼻血出てるぞ!」


僕の言葉に慌てて鼻を押さえる智博…

僕はそんな智博を見て


「…本当に鼻血出してたらびっくりするだろ?」


と笑いながら続けた


「嘘かよっ!ヒデエ!」 

僕の言葉に声を上げる智博


そのやり取りを見ながら皆が笑い出す


鼻血など出てはいないのに、まだ鼻を押さえて顔を赤らめる智博…


僕はそんな智博を笑って見ながら席を立つ


すると、美咲が僕の方へと寄って来た


「マコちんも、鼻の下すっごい伸びてたよ?」


僕にだけ聞こえるようにそう言うと笑いながら玄関へと足を向けた

…見られてたのか…


僕は美咲の後ろ姿を見ながら、一瞬でも智博と似たような想像をしていた自分を恨んでいた…

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