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20由恵への想い

僕達は駅前へと来ていた

そこで女の子達が降りて行く


「本当に送らなくていいの?」


竜揮が心配そうに元子を見る


「うん。三人で話もしたいし。今日はありがとう」


元子が竜揮にそう言いながら笑いかける


僕もそれを見ていると、急に誰かに引っ張られた

そこへ目をやると由恵…



「ちょっとだけいいかな?」


由恵の言葉に頷き、僕等は皆と少し離れた


「…さっきの事謝りたくて…」


由恵が小さく呟いた


「…由恵ちゃんが悪い訳じゃないよ…僕の方こそごめん」


僕はそう言って由恵を見た

「…マコ…私、マコに嫌われたくない…」


由恵が涙を溜めて僕を見る

…僕はその涙に気付かないふりをして

「嫌わないよ…友達だろ?」


そう笑いかけ由恵の頭に手を乗せた

そして

「行こう」と言って、そのまま皆の方へ足を向ける


…僕の胸はどうしようもない程に高鳴っていた…

それを由恵に気付かれないように、出来るだけ由恵の方を見ないようにして歩きだす


戻って皆に別れを告げると僕は車に乗り込んだ


…頭の中では由恵の事を考えていた

僕の彼女に対する気持ちが何なのか自分でも解らなくなっていた


ふいに運転席から竜揮が声を掛ける

「俺、元子と付き合う事になったから!」

その言葉に智博が身を乗り出す

「はぁ!?タツずるい!…俺なんて美咲ちゃんに振られたのに…」


そう言いながら体を座席に戻してため息をつく

それに竜揮が笑い出し

「当たり前だろ?付き合えると思ってたのか?この身の程知らず!」

と智博に言葉を浴びせる


僕はそんな二人のやり取りを見ながら小さく笑いだす


(マコも美咲が好き?)


あの時言った由恵の言葉を思い出し、僕はまた胸が高鳴るのを感じていた



「…ねえマコ?もしも、今由恵に告白されたら付き合う?」


…ドクンっ!


智博の言葉に胸が高鳴る


「…どうゆう意味だよ…」


僕は出来るだけ冷静な振りをして智博に尋ねる


「…いや…由恵と二人きりになった時にさ、美咲ちゃんに振られた話を由恵にしてたんだ…その時にマコとの話聞いちゃって…」


智博の言葉に、僕は自分の顔が赤くなっていくのを感じていた

智博はそんな僕に見向きもせず


「マコ勿体ないよー。そんなシチュエーションなかなかないぞ?…由恵泣いてたぞ?」


と言葉を続ける

僕は何も答えられずに俯いていた


「…で由恵ちゃんはマコが好きなの?」


それまで黙って話を聞いていた竜揮が口を開く


「…それは言わなかったけど…態度を見てれば解るよ」


竜揮の言葉に智博も返す


僕は今日一日の由恵の事を思い返していた

…僕の手を握りしめていた時の由恵の笑顔

…カーレースで逆送して

「難しいね」とはにかんだ由恵

…観覧車…柔らかい由恵の胸…

…近付いてくる由恵の顔…


「だぁぁぁっ!」


突然叫び出した僕に驚き目を向ける二人…

気が付くと車は僕の家の近くまで来て止まっていた



「駄目だ…頭がパンクする…家でゆっくり眠るよ…」


僕はそう言いながら車を降りた



僕は家に入るとそのままベットへ身を投げた


(…勿体ないよー…)



智博の言葉が頭から離れず、由恵の顔を思い出す


「僕、馬鹿なのかな…」


そう一人で呟いてポケットから携帯電話を取り出した


そこにぶら下がっているストラップを触りながら、僕は一人で考えていた

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