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19悪戯娘再び

…僕達は遊園地を出て、帰りの車に乗っていた…


しかし、行きの車内とは全然違うこの空気…


運転席の竜揮と元子は何故か手を繋いでいる…


智博は振られたくせに美咲の隣でいびきを欠いているし…


由恵は頬杖をついて外を眺めたまま口を開かない


「…ねぇマコちん…なんか智博君に無性に悪戯したいんだけど…」


突然、前の席から美咲が振り向き言った。

…確かに…本当に打たれ強い男だ…


「美咲、口紅持ってる?」


僕は美咲に聞いた

美咲はクスクス笑い出しバックから化粧ポーチを取り出した


「やっぱりファンデは必要だよね」


そう言いながら智博の顔をパタパタとやる美咲

僕は後ろからシャドーを塗ってみるが上手く出来ない


「由恵も手伝って」


美咲が由恵に声を掛ける。突然呼ばれて驚いた由恵は、智博の顔を見て笑い出した


僕はそんな由恵を見てホッとしていた

あの観覧車での出来事から僕は気まずくて由恵の顔を見る事すら出来なくなっていた


「美咲、ライン取って!」


由恵はそう言ってアイライナーを手にすると、智博の瞼を指で軽く押さえて綺麗にラインを引いた



その様子をルームミラーで見ていた竜揮は


「…美咲ちゃんと由恵ちゃんの以外な姿を見た気がする…」


と呟いた。その隣で元子も

「私もやりたかったなー」

と笑っている



「「アハハハっ!」」


完成した智博の顔を見て皆で笑い出す


「トモ美人だねー」


由恵が言う。…確かに…

智博のぱっちりとした二重はメイクをしたらますます大きくなり、本当に女性の様だった


「…ん…?」


皆の笑い声をに目を覚ました様子の智博。

その瞬間、全員が笑いを堪え平然とした表情を保とうとしていた


「…トモ?これから皆で飯でも食おうかって話してたんだけどいいか?」


竜揮が智博を見ないようにして聞いた

何も気付かない様子の智博は


「うん。めっちゃ腹減った」


と答える。その瞬間、美咲が急に後ろを振り向き座席に顔を埋めた

…相当笑いを堪えている様だ


「美咲ちゃん?どうしたの?」


何も気付かない智博が美咲を心配そうに覗き込む

美咲は必死で顔を見ない様にして


「…ごめん…車に酔っちゃったみたい…」


と嘘をついた。そんな美咲を見て智博は


「タツー運転荒いよ!美咲ちゃん酔っちゃったじゃないか!」


と竜揮の顔の前に身を乗り出し怒鳴り出した


ぶーっっ!!


途端に飲んでいたお茶を吐き出した竜揮


…もう全員がどうにも耐えられない様子だった…



それから近くのファミレスに来た僕達。

智博はまだ何も気付かないままファミレスへと入って行った


「いらっしゃい…ませ…」


笑顔で迎えてくれた店員さんが智博を訝し気に見つめる

その様子を見て、僕達は笑いを堪える


…智博は顔だけ見れば女性のようだが、格好や髪型、歩き方などそれ以外は男そのものだった


「えぇと、俺は和風ハンバーグのセット…」


そう注文する智博を不思議そうに見つめる店員さん


ふと、智博が

「トイレ。」と言って席を立った



「「ぶはははっ!」」


その途端に笑い転げる僕達


今頃、智博はどんな顔で鏡を見てるのか…それを考えると笑いが込み上げてくる



バタンっ!!



「マコー!!」


智博がトイレから出てくる。化粧を擦り落とそうとしたのか顔が所々赤くなっている

そんな智博を見て皆大声で笑い出す


「何だよこれ!?」

智博が僕の所まで来て怒りだす

僕は大声で笑いながら

「…犯人は美咲だよ!」

と美咲を指さした


「嘘つけ!」

僕の話に聞く耳持たない様子の智博


「本当だよ!その口紅は美咲ちゃんがキスして付けたんだよ」


竜揮が悪戯っぽく笑い出す

…その言葉に動きを止める智博と美咲

智博は顔を真っ赤にして美咲を見ている

美咲はジロリと竜揮を睨み付けた

それを見てまた皆で笑い出した



…僕はこうして皆で笑い合える事が何よりも楽しかった

このまま、この関係が続けばいいな…そう思いながら手元にあったお水を一口飲んだ

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