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18悪戯娘

「美咲。僕、あれに乗りたい」



美咲と二人で歩きながら僕が指をさしたのは川の上を丸太の形のジェットコースターが緩やかに走り、最後は滝から滑り落ちるとゆうアトラクション


美咲も笑いながらそれに頷く



…いざ、乗ろうと思い来てみたのはいいが、この丸太…一列の四人乗りで乗る場所が縦に二人ずつに分かれている

前に乗る方は背もたれがなく、後ろの人に寄り掛かる形になってしまう…


美咲は前、僕は後ろに乗り僕の股の間に美咲が乗るような体勢だ…



…先程の観覧車に引き続き、この状況も僕にとってはかなりマズかった…



「ねぇ、ラストで落ちる時私濡れちゃうかな?」


突然、美咲が振り返り僕に尋ねる

…近いっっ!…


僕達の顔の間は僅か数十センチ…


「…美咲…この状況で振り向かれると距離が近すぎるよ…」



僕は慌てて顔を背けて答える

その言葉に美咲も

「ごめん」と前を向き、なぜか笑い出した



「マコちん?そうゆう事は言わない方が得じゃない?」


美咲が少しだけ顔を向けて悪戯っぽく言った

僕は顔を背けたまま


「それで堪える身にもなってくれよ…」


と、先程の観覧車での出来事を思い出しながら答えた


「堪えてるの?」


美咲がわざと振り向いて聞いてくる…

…近いってば…


そんな美咲に僕は、今度はわざと顔を背けずに答える


「僕だって男だぞ?」


その言葉に美咲は顔を赤くして、何も言わずに前を向いた

…ふぅ…この悪戯娘め…少しは懲りたか…


美咲の様子に僕はニヤリと笑い、顔にかかった水しぶきを手で拭った



「…意地悪…」


美咲がそう呟いた気がしたが、目の前に見えてくる滝に僕の気持ちは集中していた


…バシャンッ!!…


丸太が下に落ちるのと同時にびしょ濡れになったのは…僕…


前に居たはずの美咲は上半身を目一杯かがめて水しぶきを避けていた…


…そのままの体勢で顔だけ向けてニヤリと笑う美咲…


…この悪戯娘め…



僕はびしょ濡れのまま遊園地を歩いていた


「大丈夫だよマコちん!ジェットコースターに乗れば乾くよ!」


…笑いながら話す美咲をちらりと見ながら、僕は仕返しの仕方を考えていた


「あ、マコちんコーヒーカップ!」



そう言いながら美咲が走りだす

僕はそれを見てニヤリと笑った



優雅に回転するコーヒーカップ…その中に一台…凄まじい回転をする僕達のコーヒーカップ



「…ごめ…んな…さいっ!」

美咲がやっとの事で口を開く



「駄目だね!スーパー早乾き脱水ー!!」


僕はそう言いながら更にコーヒーカップをぐるぐる回す


美咲の綺麗な顔が風に煽られて凄まじい顔になっている…


僕はそれを見ながら声を出して笑った



「…マコちんがこんなに意地悪だと思わなかった…。」



回転が止まり、疲れた様子で、美咲がそう言い僕をジロリと睨みつける

僕はその様子をクスクスと笑い


「服が濡れたからしょうがなかったんだよ」


と答える。

その言葉に美咲も笑い出し、近くのベンチに座った


僕も煙草を取り出しながら座る


「…はい。」


不意に美咲が僕に何かを渡してきた


それを受け取り美咲の顔を見る


「この間のくまさんの御礼」


そう、笑いながら答える美咲


袋を開けるとお洒落な携帯ストラップだった

ウッド素材のビーズで、下にはシルバーの飾りが付いている

それは[Mako]のスペルが繋げてあってとても可愛いらしい


「…手作りだけど引かないでね…?」


隣で小さく呟く美咲

僕は驚いて美咲を見た


「手作りなの?」


そう尋ねると美咲ははにかみながら頷いた


「ありがとう。めっちゃ嬉しい」


僕はそう言い、美咲に笑いかけた。それを見て美咲も少し照れながら嬉しそうに笑った

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