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14ゲームコーナー

「ちょ…待って!由恵ちゃん!逆走!」


ゲームコーナーで二つ並んだ車の運転席に由恵と座り、正面のモニターを見ながら二人でカーレースの対決をしていた僕たち。


…のハズなのだが…


何故か正面に写っているモニターには一台、反対に走り続ける車がいる…


「…マコ…これどうやって戻すの?」


そう隣で声を出す由恵。

僕は正面のモニターに顔を向けたまま

「一旦、止まってハンドルを目一杯切りながら走ってみて」


と言った


隣から

「わかった!」

と声が聞こえたが、正面のモニターに写っているのはぐるぐる大きく旋回している一台の車…。

…僕はそれを横目に見ながらGOAL!

突然モニターに[二位]の文字が出てゲームが終了した事に、訳が分からない様子の由恵。

僕はそれを見て笑いながら運転席から腰を上げた


それを見て由恵も

「…難しいね」 


と、笑いながら立ち上がる

すると入口の方から美咲と智博の姿が見えた


「由恵ー!」


美咲が由恵に声を掛けながら歩いてくる


その後ろから歩いてくる智博は…さっきよりも青い顔をしている…

僕は笑いながら由恵に


「智博と外に出てくるね」

と言い、智博の方へと歩きだす


「…マコ…怖かったよ…」


 


美咲と由恵の方をちらりと見てから智博が声を絞りだした


僕は笑いながら智博の肩を叩き

「外に行こう」と、智博を外へと連れ出した。


外へ出るとゲームコーナーの前にあるベンチに腰を降ろし、上着から取り出した煙草に火を着けた。


隣に座った智博はベンチの背もたれに深く寄り掛かり両手をだらりと下ろしている。


「…無理するからだよ」 


僕が笑いながらそう言い智博の方へと目を向けた


「…マコのせいだ…遊園地なんか来ようって言うから…」


智博がジロリと僕を睨みながら口を開く

そんな智博の言葉に笑いながら


「美咲と二人きりになれただろ?」

と聞き返す


「…だって美咲ちゃん脈なさそうなんだもん…二人きりになると殆ど話ししてくれないし…」


そう言いながらため息を付いた智博

僕は美咲とデートをした帰り道、竜揮と元子の話を面白そうに話している美咲を思い出していた。


なんだかそれが僕だけに与えられた特権のような気がして少し嬉しくなった。


「…でも、まだリベンジしてやる…マコ、四人で観覧車乗りに行こうぜ」


突然そう言いながら立ち上がる智博…


…観覧車って…まだ遊園地に来たばかりじゃないか…


…そう思ったが、ゲームコーナーに向かって歩く智博を見て僕も席を立った。


 



ゲームコーナーに入ると美咲と由恵が楽しそうにクレーンゲームをしていた。


黄色いくまのキャラクターの縫いぐるみを一生懸命に取ろうとしているが、なかなか持ち上げられない様子の二人。

それを見て智博が


「取ってあげるよ」


と間に入っていった。

しかしやはり上手く持ち上げられずに、もう一度百円を入れる智博。

僕はそれを見ながら隣に設置してあるクレーンゲームに百円を入れた。


 


「マコちん取れるの?」


そう言いながら美咲が覗き込んで来た


「任せて」

と一言、言った僕はピンクいウサギのキャラクターの肩の部分にクレーンを引っ掛けた。


……



「あーぁ」


隣から智博と由恵のため息が聞こえる。

「待ってて、もう一回」

智博がそう呟いたのと同時にチャリンとお金を入れた音が聞こえた。


 


しかし、僕と美咲の視線は少しずつウサギを持ち上げて行くクレーンに釘付けになっていた。


…バランスを保ちながら上に浮いていくウサギ…

そのまま出口へと運ばれていく


…すとんっ…


「マコちん凄い!」


ウサギが下に落ちるのと同時に美咲が声をあげた。


僕は落ちてきたウサギを拾い上げ、美咲の手元に渡す

「くれるの?ありがとう」


美咲が嬉しそうに僕を見たその顔が凄く可愛いらしい


「トモ、やったね!」


隣で一足遅く黄色いくまを取り上げた智博が、僕らをちらりと見ながら

「はい、由恵ちゃん」

と、黄色いくまを由恵に渡す。


…そして由恵と美咲に見付からない様に僕をジロリと睨み付けた


僕は少し苦笑いしながら美咲と由恵の方に目を向ける


「ねぇ、二人共よかったら観覧車でも乗りに行かない?智博が観覧車なら乗れるって言うから…」


 


僕は二人にそう言いながら智博の方に寄り

「これでチャラだぞ?」

と囁いた

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