11男同士の車内
「ねぇマコー。こないだどうだったの?」
隣の席に座っていた智博が僕に尋ねる
…あれからすでに二週間。智博が早々と話をまとめ、僕等は美咲達との待ち合わせ場所へと向かう車の中にいた。
「何?なんかあったの?」
運転席に座っていた竜揮が話に交ざってきた
「それがさー、マコこの間美咲ちゃんとデートしてたんだよー」
「はああ゛あ゛ぁ゛!?」
智博の言葉に訳の解らない叫び声をあげる竜揮。
せっかくこれから楽しい遊園地だというのに初っ端からこれじゃ気分が萎える…
「どうゆう事だよマコ!?お前は友達だと思ってたのに俺の美咲に手を出すとはっ!?」
「…その台詞、助手席に座る予定の元子ちゃんが来てからもう一回言ってくれ…」
竜揮が意味の解らない事を言っているので、すかさず僕も言葉を返す
「…もうタツは黙ってて…それよりマコはもう美咲ちゃん食べちゃったの?」
「「はぁぁぁ!?」」
智博の台詞に僕と竜揮が声を合わせて叫んだ。
「食べたってどうゆう事だよ!マコずるいぞ!俺にも分けろっ!」
また訳の解らない事を叫び始めた竜揮を無視して僕は智博に言葉を返す。
「あのなぁ…僕と美咲は友達なの。そうゆう関係にはならないよ」
「美咲ってなんだぁ!美咲ちゃんと呼べぇぇ!」
僕が話終わらない内にまた叫び始める竜揮…本当に疲れる…
「えっ食べてないの?じゃあ俺、今日こそはリベンジしよっと!」
僕と同じ様に竜揮を無視して返事を返す智博。
…食べたとか食べてないとか…本当に智博は…
「ずるい!俺にも分けろっ!」
「タツが元子ちゃんを分けてくれたらね」
竜揮の意味不明の言葉にすかさず返事をする智博…
むぅぅと唸ってから
「…それは無理な相談だ…」
と返って来た竜揮の返事に僕と智博は笑い出した。
「…確かに…その前にコンビニまで帰されないようにしないとな。竜揮?」
「っっ!何でそれを知ってるんだ!?」
僕の言葉にびっくりした声を出す竜揮。
ルームミラーに見える竜揮の顔が真っ赤になっている
その様子を見ながら理由の解らない智博は
「何?何?」
と聞いてくる
僕は堪らず声を上げて笑い出す。
…全く…この二人はモテるくせにどこか頭のネジが緩い…
そんなこんなで僕たちが騒ぎ合っている間に、車は女の子達との待ち合わせ場所である駅前に着いた。
「…多分この辺に居るハズなんだけど……あっ居た!」
竜揮が話しをしながら女の子達を見つけ、車を停めて外に出る。
負けじと智博も外へ出る。
竜揮と智博が女の子達の方へと駆け寄るのを見ながら僕も外へ出て、八人乗りの竜揮の車の後部座席に女の子達が乗り込みやすい様に智博が乗っていた座席を上げる。
すると皆がやって来た
「マコちんおはよう!」
そう言いながらやって来た美咲は、今日もパンツスタイルで髪は襟足を残したアップスタイル。
ふわふわに散らした髪の毛がまた可愛い…
「おはよう。由恵ちゃんも元子ちゃんもおはよう」
僕がそう言うと由恵と元子が手を振りながら
「おはよう」
と返してくれた。
「俺、一人じゃ寂しいから元子ちゃんはこっちね」
さりげなく元子を助手席へと促す竜揮。
それに従い助手席へ乗り込む元子に続いて、後部座席に由恵が乗り込み美咲もそれに続こうとした時、智博がそれを制した。
「由恵ちゃんの隣にマコが乗りたいらしいから美咲ちゃんは待ってて」
(はぁぁ!?)
智博の言葉に驚き、智博の顔を見る。
智博が僕の背中を押しながら耳元で
「マコ、ごめん」
と囁いた。
…という訳で運転席は竜揮、助手席は元子、真ん中の席に美咲と智博。
そして後部座席に僕と由恵とゆう順で車は発進し始めた。