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なりゆき勇者の異世界転生  作者: 蜜蜂
なりゆき勇者は目覚める
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序章

 事件とは唐突に起こるものである。

 というのも、僕が神様によって殺されたからだ。実は後になって分かったことなのだが、僕には不死性の能力が授けられていたらしい。

 思い返してみれば昔それが原因で痛い目に遭ったことがあるのだ。

 その能力を回収するために僕は……死んだ。 

「ふう、これで引越し作業は終わりっと!」


 僕はこの夏、引っ越してきた。

 赤城白水だ。前住んでいた街で面倒くさいことが起こったため、僕は仕方なくここに移ってきたのだ。

 夏の日差しは暑いのに、締め切ったこのアパートの部屋はより暑い。しかも、重労働のせいで汗をかいてより熱い。


 これから、僕の通うことになる学校に向かい、いろいろと手続きを踏まないといけないのだが、面倒くさい。

 少なくとも、これが終わって少し寝かせてもらう。

 どうせ死ぬことなんてないんだし。


 少し休まないとやってられない。

 はあ、眠い………。

 そして、僕は少し眠ることにした。


 夢の中で診たものは、数々の記憶。美しい記憶。いやな記憶。それら全てが混ざり合ってできた混沌とした物語。

 そして、次に目を覚ましたときには時計の針が丁度三時を回ったころだった。



 どうやら、三時間近く寝ていたらしい。

 お昼ごはんも食べていない。

 あちゃー。失敗しちゃったな。せめてお昼ご飯を食べてからにすればよかった。

 寝起きだからか、不思議とお腹が空いていない。

 だが、学校に一度行かないといけないので、お昼というかおやつはそのあとだ。


「とりあえず急がないと………な」


 僕は急いで、制服に着替えて、筆記用具などをそろえて、学校に向かった。

「失礼します。明日からこの学校に登校させていただく赤城です。篠原先生はおられますか?」

「はい、赤城君。ここに座ってください」

「はい」


 明日から登校するにいたって僕の入るクラスの担任は篠原という先生だ。まだ、教員免許を取ってほとんど経っていないらしく、生徒と友達感覚で接せられているらしい。

 なめられているの間違いではなかろうか。


「ええと、赤城君はご両親が四年前に他界……なされてるのよね? 今はどうしてるの?」

「親戚の家でたらいまわしになっていて、今は一人暮らしです」

「お金はどうしてるの?」

「ちょっといろいとこねくり回して手に入れ来ました」


 実は、浮気の証拠やらなんやらと親戚のうちをたらいまわしにされているときに手に入れた弱みを使わせていただいているのだが、この際関係ない。


「まあ、深くは聞かないでおくけど……」


 先生は僕が汚い手段で手に入れたと思っているらしい。

 別に汚くはない。取引だ。これを内緒にしてあげるから高校の学費やらなんやらを請け負って? と真摯に頼み込んだだけだ。


「まあ、これで、手続きはいいわ。明日からよろしくね?赤城君」

「よろしくお願いします」


 僕は、職員室をあとにして、帰路に着こうとしたときに……ふと空を見上げた。


(あちゃー。これは一雨来そうだな)


 空はどんよりと曇っており、今にも降り出しそうな色だ。これは急いで帰らなければ。

 走って家まで向かっていると案の定降り出した。

 しかもとても強い。

 今が夏なのを考えると夕立か。


 空はゴロゴロと鳴いておりところどころ雷の兆候が見られる。……これは本当に早く帰ったほうがよさそうだな。

 そう思い、もう手遅れながらも頭を隠すように手を上に向けて道を走り出す。


 ザザザザザザァァァァァ!!


 そんな音が八割を占めており他に聞こえる音は自らの足音と雷による不吉な音ぐらいだ。

 そして、家の目の前の交差点に差し掛かったときに紫の雷が近くに落ちた。

 いや、僕に落ちてきた。


 正直に言おう。

 とても、痛いし熱いし何も考えられないくらいにしびれる。

 髪は焼け焦げ、服も肌も焼け焦げた。

 本来なら、こんなことになっても、10秒もせずに再生する。

 そう思い、体に意識を集中すると治る感覚がする。

 だが、意識が遠い。


 えっ? 僕もしかして死ぬ?


 そう思ったときにはもう、死んでいた。


『続いてのニュースです。○○市の○○町で、一人の少年が雷に直撃した模様。ですが、その遺体に外傷は見られず衣服のみが焼け焦げた模様。依然と原因は分からず専門家も、頭を悩ませているようです』



「…………はっ!?」


 目を覚ますと、そこは真っ白の空間だった。

 自分がいるのが上なのか下なのか。自分が踏みしめているものが床なのかすら怪しい、そんな空間にいた。


「おいおい。なんだよここ!?」

「おう、目が覚めたか。坊主」

「うわっ! ……びっくりした……。お前一体誰だよ?」

「わし?わし神」

「そんな軽い乗りでカミングアウトとかやめろよ。心臓に悪いだろ?」


 神は軽い乗りで本当に名乗り上げた。こいつはそこにいるようでそこにいないような。

 回り全体から話しかけられているような不思議な感覚がする。


「はははっ! 変な坊主じゃわい! さて、そんなお主にいい知らせと悪い知らせがある。どちらから聞く?」

「悪い知らせ」

「即答かいな」

「こういうのはさっさと聞いてさっさと終わらせたほうがいいんだよ」

「じゃあ、悪い知らせからな。まずは、お主は死んだ」

「そこで一つ質問があるんだけど」

「なんじゃ?」

「そもそも僕、傷の治りが早くなかった?」

「なんじゃ、お主中二病じゃったのか?」

「ああ、実は……って違う!そうじゃなくて僕に備わってたあの能力はどうしたんだよ!」

「ああ! あれな! あれはのう。本来お主に付けるわけじゃなかったのじゃよ」

「やっぱり、お前か」


 悪い悪いと神様が謝る。

 だが、こちとらそれのせいで親戚からは化け物扱いされるは、たらいまわしにされるはで大変だったんだぞ?


「で、あの雷でお主をぶっ殺したわけじゃ」

「軽い乗りで本当に人を殺すなよ。しかもお前その調子だと僕を殺すのもたやすいんだろ?」

「イエス! オフコース!」


 ブチッ

 血管の切れる音がした。


「ま、まあいい。で?いい知らせは?」

「それは、先の二つの出来事はわしのミスなのはお主の知っての通り。で、そこでいい知らせじゃ。わしが新しい体を用意してやるから異世界、行ってみんか?」

「そんな、『二次会、行っとく?』みたいな感じで言われてもなぁ。まあ行ってみたいけど」

「そうじゃろう、そうじゃろう。というわけでわしからの出血、吐血、発狂大サービスということで、お主には面白いものをいくつかやろうと思う」

「ほう、チートというものですか?」

「さあ、どうじゃろうな?」

「答えろや。この駄神」

「だ、だしん!? 神様に対しての扱いひどくない!?」

「で?何?」

「それは言えぬよ。それは異世界に行ってからのお楽しみじゃ」

「はいはい。分かりましたよ」

「じゃあ、早速送り届けるがよいか?」

「ちょっと待って。最後に一つ質問なんだけど………」

「なんじゃ?」

「そもそも僕を殺す必要あったの?」

「…………」

「…………」

「ねえ」

「さあて!時間も押しとることだしの! 早速行ってらっしゃい!」

「おいこら! 答えろよ! この駄目神いぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「すまん!すまんよー………」


 僕は思った。

 次こいつに会う機会があったのなら………

 ちゃんとお礼してやろう。


現在、主人公に新しい名前を付けております。

一応、注意はしていますがもしかしたら変え漏らしがあるかもしれません。

もし見つけたらご報告ください。

旧名 ケツミズ 欠水 現在 シラユキ 白水

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