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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第五話 八条寺茹美の荒ぶる接近
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へん人No.2&6&7 栖桐&芭逸&八条寺 その3


 玄関先でこんな格好をしている達を、このまま外に出している訳にもいかないと思った俺は二人を中に入れ、居間のテーブルの前に座った。右隣に華菜乃、左に()ちゃん、対面にはじょうが座り、そして、持ってきた袋を大事そうに膝の上に乗せる女々ちゃんの口から衝撃的な事を告げられ、俺は思わず声を荒げてしまった。


「はぁっ!? 男が苦手になる体質になっただって!?」


「……みたいなんですよねー。いやまぁ、体質とはまた違うんですけど……触られたりしちゃうと脊髄反射並の速さで手が出ちゃうみたいです」


 苦笑いを浮かべながら頬をかく女々ちゃんは、袋に手を突っ込みある物を取り出した。


「それは……」


「……はい。この前壊れちゃった、改良型無個性矯正機――『無個性なキャラクターは主役への夢を見るか?』くん、です」


 ぱっと見は市販されている物より一回りほど大きなゲーム機。だがその実体は、脳波をコントロールして被検者の性格を一時的に変えてしまうという、女々ちゃんお手製の機械――独特なネーミングセンス込みで――だ。

 テーブルに置かれた機械――面倒なのでこう表記するが――は新品みたく綺麗だ。しかしこれは以前、八条寺に使用した際に彼女の体に興奮してしまったあしの鼻血が大量にかかったせいで、故障している……はずだ。

 俺は怪訝な視線を持ち主に送り、説明を促してみる。すると何故か、女々ちゃんとは反対側から声が聞こえてきた。


「実はね……? 後もう少しでこの子……直りそうなんだって……」


「あぁ、そうなのか――って、どうして華菜乃がそれを知ってるんだよ? 女々ちゃんがこの機械――」


「 改良型無個性矯正機――『無個性なキャラクターは主役への夢を見るか?』くんですよ先輩! ちゃんと名前で呼んであげてくださいって常日頃言っているじゃないですか!」


 女々ちゃんから凄まじいまでの訂正要求が飛んできたが、面倒だったので俺はそのまま「――を使った時にさ、華菜乃はいなかったじゃん?」と続けると、女々ちゃんは無視されたと思ったのか頬をリスのようにプクーっと膨らませ、ジト目を向けてきた。


「……()ちゃんから聞いただけだよ? ……ね、女々花ちゃん?」


 華菜乃が優しく微笑みかけると、女々ちゃんは膨らんだ頬を引っ込め口を尖らせながら「そうですよー」と答えた。


「んでさ、話を戻すけどコレと八条寺のそれがどう繋がるんだよ?」


「……まぁ、端的に言うとですね。この子を使って八条寺先輩のキャラを一時的に変えたまではよかったんですけど……何分試作品みたいな物でしたし、それにあの人の鼻血がかかってしまったせいで故障――もとい誤作動が起こってしまっていたみたいで……」


「触るどころか……話す事も難しくなっちゃったんだって……」


 女々ちゃんの言葉を継ぎながら華菜乃が八条寺を見るので、俺も八条寺へと顔を向ける。すると八条寺は気まずそうに俯いた。


「……彰君も、八条寺さんがいつもと雰囲気が違うの……なんとなく解ってたんじゃない……?」


 そう言われてみると、確かに思い当たる節はあった。 でも――


「そういう割には……八条寺さ。さっき、華菜乃達が来るまでに俺と普通に話してたよな?」


「……な、何んでかはわかんねぇんだけどよ……。オレ、荒木が相手だったら話せるみたいなんだ」


「……えっ、そうなのか?」


 俺の言葉にゴスロリ姿の八条寺が頷く。


「何というか……こう、言いにくいんだけどよ……」


 まるで恋に恋する乙女のようにモジモジとしだすので、俺はそんな八条寺をジッと見つめてしまっていた。


「荒木……お前はオレにとって特別なのかもしれない……」


「……うぇぇぇぇっ!?」


 着ている服も原因なのかもしれないけど、今の八条寺から受ける印象は清純可憐な女の子そのものだ。……やばい、何か今日の八条寺は可愛い。

 なんて考えが脳裏を過ぎった瞬間――


「…………彰君?」


「…………先輩?」


 左右から、空間ごと凍りついてしまいそうだと感じてしまうほどの不穏な空気オーラが流れてきたので、俺は文字通り空気を変える為――戻すため――にゴホンと咳払いをし、再び脱線しかけていた話題を戻すことにした。


「そ、それでその……副作用みたいなもんを治す為には、いったいどうすればいいんだよ、女々ちゃん?」


「簡単ですよ♪ この子を修理して、もう一度上書き(アップデート)すればいいんです」


「その為にも――」と女々ちゃんは言葉を区切り、袋の中に手を突っ込む。そして勢いよく何かを取り出し、顔の前で広げながら嬉しそうにこう言った。


「このチャイナ服を着てください!!」


「わぁ♪ セクシィーなチャイナ服♪ って何でだよ!!」


 女々ちゃんが取り出した何か――それは、ノースリーブと腰の辺りまで伸びたスリットが官能的な真っ赤なチャイナ服だった。


「何で俺がチャイナ服なんて着なきゃいけないんだよ! 絶対やだ! 俺は着ないぞ! 着てたまるかってんだ!!」


「なっ……! ダメですよ! この服を先輩に着てもらわないと、この子を直してあげる事も、ゆで先輩を治してあげる事も出来ないんですよ!? だから着てください!!」


「何でだよ!! 何で俺がこの服を着たらどっちも解決するんだよ!! 関係性が微塵も感じられんわっ!!」


 思わず飛び上がり女々ちゃんから距離をとる。女々ちゃんはチャイナ服を持ったままゆらりと立ち上がり、不適な笑みを零した。


「フフフ……先輩? 逃げきれると思っているんですかぁ……?」


「くっ……!」


 女々ちゃんの言うとおり、お世辞にも俺の部屋は広いとは言えず、部屋の中を闇雲に逃げ回るなんて出来そうにもない……! このままじゃあ捕まるのは時間の問題だ……!


「と、というか! まずは俺がチャイナ服を着ないといけない理由を説明しろよ!」


「理由……知りたいの……?」


 女々ちゃんに向けて言ったつもりだったのだけれど、意外にも反応したのは、座ったまま俺たちの問答を静観していた華菜乃だった。


「四丁目のね商店街があるでしょ……? 実はあそこに特殊な機械部品ばかりを売っているお店があるの……」


「特殊な機械部品……?」


「うん……。それでね、そこの店長さんがちょっと変わってる人で……『部品か……欲しけりゃくれてやる……! ただし、ここに書いてあるヤツにしか売らねぇ……!』って言うの」


 そう言うと華菜乃はブーケの中から――どうしてそこに入れる必要があったのかは解らないが――スマホを取り出し「ほら、これ……」と画面を見せてきた


 続く


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