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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第一話 栖桐華菜乃の純然たる好意
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へん人No.2 栖桐華菜乃 その5

「そろそろ終わったかー?」


 俺がグチャグチャにしてしまった机を直し終えた所を見計らって、ナマ先生が聞いてきた。


「終わりました」


 ――けど、やっぱり手伝ってはくれませんでしたね。とは言わなかった。いや、言えなかった。どうせ、先生のことだから言おうが言うまいが手伝ってくれそうにないし。


「荒木ーお前もう帰るんだろー? ならこれもついでに持って帰っておいてくれー」


「おわっ!?」


 ナマ先生が何かをヒョイっと投げてきたのでキャッチする。


「これって……」


 それは栖桐のカバンだった。

 いつの間に回収してたんだろう? というかなんで俺に渡すんだ? このまま教室に置いておけば明日本人が回収するだろうに。

 俺がそう思った事を見透かしたように、先生は「これはなーお前が持ってたほうが都合がいいんだよー」と付け加えた。どういうことなんだ?


「さー帰った帰ったーいつの間にかもう完全下校時間だからなー。お前が残ってたら私が怒られるんだー」


 「どうして何ですか?」と聞きたかったが、「いーからいーから」と、そのまま、学校を追い出されてしまった。


「……栖桐のカバンなんてどうすればいいんだよ」


 とりあえず自転車の前かごにカバンを入れ、自転車を走らせながら二つの疑問を考える。


 どうして栖桐が俺の体操服を持ってたんだ? 

 どうして先生は俺にカバンを持たせたんだ?


「……さっぱりわからない」


 しかし、疑問に対する回答はまったく頭に浮かんできてくれなかった。ダメだ……考えが全然まとまらない。

 そして、自転車の明かりだけを頼りに、考え事をしながら、夜道を走るという愚かな行為を続けていた俺は――


「ぐぇッ!!」


 自転車ごと、排水溝に落ちた。





 家から学校までの通学路のちょうど中心に当たる位置にあるここ、『小鉢こばち中峰なかみね公園』のベンチに座って夜空を眺めながら俺は考え事をしていた。

 内容はもちろん栖桐の事と先生に渡されたカバンの事について。

 まぁ考えたところで、答えがでるわけでも問題が解決するわけでもないんだけど。

 とりあえず、俺は、今回起こった『やっかいごと』に対する対処法を模索するために、過去に俺の身に降りかかった『やっかいごと』をいくつか思い出すことにした。


「今まで俺に降りかかってきた『やっかいごと』……」


 小学生の頃、いじめられてた女の子をいじめっ子達から助けたと思ったら次の日から何故か俺がいじめられてた女の子からいじめをうけた……とか。

 中学生の頃、迷子の女の子を交番まで連れて行ったら何故か俺が誘拐犯だと疑われた……とか。

 同じく中学生の頃、前を歩いていたお姉さんがハンカチを落としたから拾って、渡そうとしたら何故かビンタされた……とか、か。


「うーん、めぼしい所で言えばこの辺なんだけれど…………思い返してみると理不尽なことばっかだな。どうやって解決したんだ俺は……」


 芦屋あしやが聞いたら絶対バカみたいに爆笑するんだろーなー。


「……そういえば芦屋なにしてんだろ」


 今、俺が置かれている状況は内緒にしておくとして、こんな時こそ友達と、芦屋と他愛のなバカ話がしたい。

 そう思った俺はポケットからスマホを取り出し着信履歴から芦屋の番号をタップし耳に当てた。


『〜〜♪ 〜〜♪』


 芦屋が好きそうな流行はやりのJ−POPがコール音の代わりに鳴り出し、二十秒ほどで電話が繋がった。


「もしもし? 芦屋――」


「あぁ、荒木か? わりぃけど後でかけてくれ。今ちょっと忙しいんだ」


 いつも陽気で、無駄にテンションの高い芦屋からそう言われ、一方的に電話を切られてしまった。……ん? いったいどうしたんだ?

 もう一度、着信履歴から芦屋をタップし電話をかける。


『〜〜♪ 〜〜♪』

「〜〜♪ 〜〜♪」


 「え……!?」


 スマホから聞こえる芦屋のコール音とまったく同じ着信音がどこからともなく聞こえてきた。

 何がどうなっているのかわからないまま、スマホを耳に当てつつ辺りを見渡すと、二十メートルほど前方に、携帯に視線を落としながら道路を歩いている人影を見つけた。

 夜道なうえ、街灯は所々しか設置されていないのでその人影が何者なのか確認するため、必死で目を凝らす。


 そして、やはりその人影は友人である芦屋だと判明したのだが、俺は話しかけることができなかった。




「なんで全身黒づくめなんだよ」




 続く




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