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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第四話 俺たちの満ち足りたる夏休み
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へん人No.3 朽葉千羽 その12

女々花「先輩! 大変です!」

 彰 「どうした女々ちゃん!? 一体何が大変だってんだ!?」

女々花「女々花の着ている水着の描写がないんですよぉ!」

女々花「これじゃあ女々花は全裸で泳いでるって事になっちゃいます……」

 彰 「それは作者の技量不足だな……よし、それじゃあここで説明しよう!」

女々花「えぇっ!? そんな事しちゃっていいんですか!?」

 彰 「へーきへーき。それじゃあ女々ちゃん、脱いで」

女々花「ドストレートに聞いてきますね……でも嫌いじゃありませんよ!」ブァサッ

 彰 「な、何ぃ!? 既に装着済みだとぉ!?」

女々花「さぁ先輩! 女々花の水着描写をお願いします!!」

 彰 「しょうがねぇな、俺に任…………」

女々花「……? どうしました先輩?」

華菜乃「……可愛い水着だね。女々花ちゃんらしいと思うよ……?」

女々花「か、華菜乃さん……!? せ、先輩! 先輩は何処に!?」

華菜乃「さぁ……どこだろうね……?」


以下、本編です。


 文字通り、達の手によって砂の中から脱した俺は再び三人に対して「誘わなくてごめんなさい」と謝り、に対しては先程の芦屋の暴走は不可抗力だった。と言う事を伝えた。

 華菜乃と()ちゃんは実質的な被害を被っていなかったからか、そこまで気にしていない様子で楽しげに浮き輪を持って海へと向かっていったが、


「…………」


 被害者である千羽は頬を膨らませたまま、俺の横に座っていた。千羽の着ている水着はストラップを首に吊したデザインの黒いトップと、ツートンカラーのパレオ。さり気なくサイコロのワンポイントが入っているのを選ぶあたりが千羽らしい。


「あ、あのー? 千羽さん……?」


「……アックン」


「は、ハイッ!」


 千羽はポツリと呟いただけだったが微かに孕んでいた怒気を察し、つい声が上擦ってしまう。……もしかして『おこ』なのだろうか。いくら、前回千羽達の水着描写を忘れたからって流石にこれだけジロジロ見られたら、そりゃいい気はしない……よな。


「いくら不可抗力だったとしても怖かったんだからね! その辺ちゃんと解ってよね!  察してよね! 考慮してよね! あとエロい目でボクの全身を見すぎ!!」


「は、ハイィィィッ!!」


 予想的中。千羽は『おこ』じゃなく『激おこ』だった。とりあえず砂浜の上で正座をし、全力で頭を擦りつける。


「本っっ当にゴメン! 千羽に怖い思いをさせるつもりはなかったんだ! あと、エロい目で見るつもりもなかったんだ! 許してくれ! 許してくれるならなんでもする! だから俺と……それから、あしの事も許してくれ!」


 懇願し頭を下げ続けていると、次第に千羽の体から発せられていた怒気が急速に収まっていくのを肌で感じた。


「……ほ、本当……?」


「……えっ?」


「……本当に……何でもしてくれるの?」


「あ、あぁ! もちろんだ! 俺に出来る事ならなんでもする!」


 土下座をしたまま頭を上げ、千羽の顔を見ながら全力で何度も頷く。


「……それじゃあさ。……来月、近くの神社でお祭りがあるでしょ? あれに、ボクと二人で行ってくれるって言うなら……許したげる」


 ……お祭り? 近くに神社があったのは知ってたけど、あそこってこの時期に祭が開かれてたのか。…………知らなかったなぁ。去年の今頃はなにをしてたっけ。


「……ねぇ、聞いてる?」


 訝しげな顔をしながら千羽が聞いてくる。


「――あ、あぁ、お祭りな! よし分かった! 了解しました! その日は予定を空けておくから一緒に行こう!」


「本当!? やったぁー! 絶対に予定空けておいてよ!? 絶対だからね!?」


 千羽が嬉しそうに笑いながら、俺の手を握りぶんぶんと上下に揺さぶる。

 そんなに喜んでくれると何だか俺の方まで嬉しくなってくる。……可愛いなぁ千羽。


「……あ、そう言えばさ」


「ん? そう言えば?」


 千羽が首を傾げるので同じ様に首を傾げながら、俺は今朝からずっと心にひっかかっていた事を聞くことにした。


「どうして俺達が千羽達に内緒で海に行くことが解ったんだ?」


「……あーー」


 眉を寄せ、考え込むように腕を組みながら千羽は黙ってしまった。


「ち、千羽?」


「……アックンは心配しなくても大丈夫だよ。うん、スドー達はボクの方で何とかしておくからさ。だからちゃんと予定を空けておいてよね!」


「いや、それは解ったからさ! 予定はちゃんと空けておくから、今はどうして華菜乃が今日の事を知っていたのかを――」


「いーからいーから! じゃ、ちょっとボクは行ってくるからね!」


 そこまで言い掛けた所で、千羽は華菜乃達の元へと走っていき俺は一人取り残されてしまった。





 それから俺達は――


「先輩! 右ですよ右ー!」


「彰君……! 右だよ……!」


「荒木ぃー! みっぎだぁー!」


「何で全員して同じ方向しか指示しねぇんだよ!!」


「んーそれじゃあ、上上下下左右左右BA」


「それは裏技コマンドでしょう!?」


 復活した芦屋を交えてスイカ割りを楽しんだり――


「行くよぉー! そぉー、れっ!」


「来たぞ荒木! そらっ!」


「任せろ! アターーック!!」


「……………………フンッ」


「バカなッ!? あの位置からボールを取るなんて不可能なはずだ!!」


「……………………まだまだです――ねっ!」


「うおっ!? ボールが消えうぐぁー!!」


「あ、芦屋ぁぁぁぁっ!!」


 はちゃめちゃなビーチバレーに興じてみたり――と、夏の海をこれでもかと言うくらい堪能した。

 その中にはもちろん俺も含まれている。含まれてはいる……のだけれど、俺は千羽が言っていた事が心の奥底でずっと気にかかっていた。


『ボクの方で何とかしておくからさ』


 一体アレはどういう事だったんだろう。


「……わかんないな」


 オレンジに染まる世界を眺めながら、独りごちると天野寺さんの元気な声が聞こえてきた。


「はーい、それじゃーそろそろ片づけ始めるよー。今日泊まる場所はすぐ目の前の旅館じゃけど、海にゴミを残したらそこの女将にブチ殺されるけんねぇー! 皆、しっかり片づけするんよぉー!」


 水着の上からパーカーを羽織った天野寺さんの指示を仰ぎながら、夕闇に染まり始めている空と海を背景にビーチパラソルやらバーベキューセットやらを片づけていると、いきなりドン! という鈍い音と共に背中がズシリと重くなった。


「うおっ!?」


 慌てて首を回し背中を確認すると……そこに居たのは女々ちゃんだった。


「先輩っ♪ 何やらお疲れのようですね? ()で良ければ相談に乗ってあげますよ?」


「あはは……。その気持ちだけで結構だよ」


 苦笑いを浮かべながら俺の腰をホールドしている腕を解くと、女々ちゃんは少しだけ怒ったような顔をしながら、


「何ですかー!? 女々花じゃあ頼りにならないってんですかー!?」


 両腕をぐるぐると回転させながら攻撃をしてきた。

 まぁまぁ。と両手を前に出し宥めるもぐるぐるアタックは一向に止む気配がない。


「い、いや……そう言う訳じゃないけどさ……その、何て言うか一人で考えたい事があるっていうか何と言うか……」


「お、どしたんアタックン? 悩んどん? 何ならオネーサンが君の悩みを解決してあげよーか?」


 何故かブーメランパンツのまま着替えようとしない三毛さんと一緒に、ワゴン車にバーベキューセットを入れた天野寺さんがニヤニヤしながら話しかけてきた。つうか、アタックンて……。もはや『ア』しか合ってないじゃないか。


「いえ、大丈夫です。それに別にそこまでじゃありませんし……」


「――ハッ! まさか先輩! その悩みってのはもしかしてえっちぃ悩みなんじゃあないでしょうね!?」


「……女々ちゃん、見当違いにも程があるよ。それにえっちぃ悩みを抱えてんのは俺何かじゃなくて――」


 視界の隅に目をやり、ワゴン車の影から俺達の会話を盗み聞きしている芦屋を見ると、それに気づいた芦屋が走って近づいてきた。


「荒木ぃー! おま、エロい話するんだったら俺に一声かけてくれ! って頼んだじゃねーかよー!」


 そんな約束した覚えがないわ。……まったく、芦屋は本当ブレないな。……そうだ、ここは芦屋を利用して二人の気を反らそう。


「悪い悪い。そうだな、それじゃあ例の作戦は二時間後って事でどうだ? 計画の発案者であり、作戦の立案者であるお前がたてた完璧な覗きプラン! 俺も参加させてもらうからさ、後でもう一度念密に話し合おうぜ」


 もちろんこれは完全に出任せだ。そんな計画や作戦なんて聞いちゃあいないし、もし仮にあったとしても俺は参加するつもりなんて毛頭なかった。――なかったのだが、


「んなっ!? ど、どーして荒木が俺の作戦を知ってるんだよ!? ……まさか……お前はエスパーなのか!?」


 ここに来てまさかの奇跡――ってこれ奇跡か?――。偶然の一致って怖い。つーかコイツから覗く気満々だったのか!? ……流石としか言いようがないな。


「や、やっぱりえっちぃ事を考えてたんですね!? 女々花の思った通りじゃないですか!」


 女々ちゃんが痛っ! 顔を真っ赤にしながら痛いっ! 更に激しく腕を振ってく痛ってぇ!!


「め、女々ちゃん! ストップ! ストーーップ!!」


 女の子――しかも年下――とは言え、こうもマジ殴りを続けられると堪えるものがある。全力で両手を前に突きだし拒否のポーズを作ると、今度は天野寺さんが後ろから肩を組んできた。


「ねぇ、本当に覗きたいん?」


 そのまま、今度は芦屋に肩を組み、


「本当は一緒に入りたいんじゃろ?」


 ヘチマの様に鼻を伸ばす芦屋に問いかける。そして芦屋は彼女の問いかけに対して半ば食い気味に「ふぁ、ふぁい!!」と答える。


「うんうん、そーかそーか……君達のしたい事はよーく解った」


「「…………?」」


 一人で勝手に納得したようにうんうんと頷く天野寺さんを見て、俺と女々ちゃんは首を傾げていたが、次の瞬間――三毛さんを除いた全員がまったく同じ反応をした。


「それじゃあ大会しかないね! ってことで、旅館で軽く汗を流したら皆で『混浴の権利を賭けたクイズ大会』をしよーかっ!」



「「「「「えぇぇぇぇーーッ!?」」」」」


 続く


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