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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第四話 俺たちの満ち足りたる夏休み
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へん人No.2&3 栖桐&朽葉 その7

「やぁ、おはよう。スドー」


「お、おはよう……チーチャン」


 部屋に入ると、正座をしながら俯いているを見下ろすようにが立っていた。端から見ると、イタズラがバレて怒られている子供と、父親のような構図だ。


「ず……随分と早いんだね……? 集合時間まで、まだ四十分以上あるよ……?」


「ふふっ。その言葉、そっくりそのままお返しするよ。ね、アックン」


 口角を軽く上げながら、千羽が同意を求めてくる。……うーん、とはいえここはどっちの味方をしても好転するとは思えないから……とりあえず今は黙っておこう。触らぬ神に祟りなしってな。


「…………。えいっ!」


 何故か体を殴られた。まぁ、千羽の攻撃は全然痛くないからいいのだけど。


「そ、それで……どうしてチーチャンはもう来たの……?」


「ふふっ、知りたいかい?」


「う……うん」


 おどおどしながらも華菜乃が頷くのを見て、千羽は大仰な咳払いを一つしてから意気揚々と喋りだした。


「まぁ、ぶっちゃけ言うと勘だよ」


「え、勘なのか!?」


「うん、ギャンブラーとしての勘。昨日スドーから勉強会の話と集合時間を聞いた時に、ボクの第六感がキュピーンときたんだよ。何か、きな臭いってね」


「そ……それだけ……なの?」


「うん♪ それだけ」


「それだけなんだ……」


「……ハンパねぇな」


 そう言って得意気にブイサインを作って笑う千羽。勘と言うか何と言うか……。やっぱり、ギャンブラーを自称するだけの事はあって、嘘とか隠し事とかを見抜く力でも持っているのかも。

 ……千羽の前では隠し事はしない方がいいのかも知れないな。


「ま、スドーの気持ちも分からなくはないよ。ボクもこの前似たような事をしたしね。だから今回の事は不問って事にしてあげる」


「うう……」


「今回は、千羽の方が一枚上手だったみたいだな」


 がっくりとうなだれる華菜乃の肩を軽く叩く。


「まぁ、何はともあれこれで役者は揃ったわけだ。集合時間にはまだ早いけど、勉強会を始めようぜお二人さん」


「うん……そうだね。……始めよっか」


「だね。――あ、アックン申し訳ないんだけど、何か冷たい飲み物とかってあるかな? ちょっと喉が渇いちゃってさ」


 冷房が効いてるとはいえ、この夏空の下を歩いて来たからか、千羽は暑そうにシャツの胸元をパタパタしている。

 確か、黒は白と違って熱や光を吸収しやすいんだっけ。


「あぁ、麦茶か、紅茶か、ルイボスティーがあるぞ」


「そうだね……だったら、ボクは一番搾り的な炭酸を貰おうかな」


「一番搾り的な炭酸なら、確か冷蔵庫の一番奥に……って酒なんかねぇよ! つーか俺たちはまだ未成年だろうが!!」


 どうしてコイツらは、こうも思考パターンが似通っているんだろう? 不思議でたまらない。


「冗談だってアックン。うーん、それじゃあルイボスティーを頂くとしようかな」


「オッケー、ルイボスティーな」


 やれやれ……。……ん? そういえば華菜乃は何を飲むって言ってたっけ? 確か紅茶だったと思うんだけど……。……ダメだ、思い出せない。どうやら千羽と話してたら忘れたみたいだ。いや、確か紅茶だったはずなんだよ。麦茶のむの字も言ってなかったはずなんだよ。はずなんだけど……、ヤバい。何かドツボに嵌まっていってる気がする。


「彰君、大丈夫……?」


「べっ別に!? 別にどうもしなかったりしちゃいましてのことよ!?」


「……本当に大丈夫かい?」


 二人から残念な子を見るような目で心配された。


「実は……その、華菜乃がどのお茶を飲むんだったかど忘れしちゃって……。だからさ、もう一回教えて欲しいんだけど」


「何だ……。そんな事だったの……? 私が飲みたいのは……紅茶だよ」


「――だよな! 何だー! やっぱり間違ってなかったんじゃん! 華菜乃が紅茶で、千羽がルイボスティー! こう千羽イボね! オーケーオーケー!」


「千羽イボ!? 止めてよアックン! そんな略し方をすると、まるでボクにイボがあるみたいじゃないか!!」


 と、何やら千羽が言っていたがあえてスルー。

 冷蔵庫からは対応するペットボトルを、食器棚からはコップを三つ取り出し机に置く。


「よし、これで準備完了だな! それじゃあとっとと、宿題を片付けちまおうぜ!」


「そうだね……。さっさと終わらせちゃおう」


「何てったって夏休みだもんね!」


「あぁ、今日で出来る限り宿題を終わらせて、残りの休みを満喫するんだっ!!」


『おーっ!!』


「泳ぎに行くぞーっ!」


『おーっ!!』


「花火をするぞーっ!」


『おーっ!!』


「新しい発明品を作るぞーっ!」


『おーっ!!』


「……ん? 今なんかおかしなのが混ざってなかったか? しかも俺の後ろから……」


 ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには――パジャマ姿の女の子が、一人の後輩が俺の背中から顔を出し、楽しげに笑っていた。


「面白そうな事をしてますね先輩♪ ()も混ぜさせてもらいますねっ」



 続く

 


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