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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第三話 芭逸女々花の独善たる好奇心
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へん人No.6 芭逸女々花 その8

 階段を駆け下り、あと数歩前に足を出せば二階の廊下に出る――ところで、俺は若干躊躇していた。

 一階と二階は運動部が使用しているスペースなのだが、一階ならまだしも、は女子運動部が使用している部室兼更衣室エリアだ。

 いくら今回の犯人である()ちゃんを追いかけている最中とは言え、男子生徒がホイホイとかっしてもいいものなのか……。いや、いいはずだ! 俺にはナマ先生から与えられた大義名分があるっ!


「もし、ここで女子生徒と鉢合わせして他の先生に告げ口されたとしても、ナマ先生がきっと何とかしてくれるはずだっ!」


 呼吸を整え、二階の廊下を覗きこむ。――と、長い廊下の真ん中の辺りで誰かが後ろ向きに仁王立ちをしているのが見えた。

 体型と服装から推測するに男子生徒なんだろうけど……それ以前に、俺はそいつが頭に付けていた黄色いリボンが気になっていた。

 あの後ろ姿は――


あし?」


 すると、俺の声に気がついたのかそいつはゆっくりと振り向いた。


「あれっ? 荒木じゃねーか! 一体こんな所で何してんだよ?」


「そりゃこっちのセリフだよ芦屋。ちょっと人を捜してるんだけど、背がちっちゃくて頭に眼鏡をかけた女の子を見なかったか?」


「背がちっちゃくて頭に眼鏡をかけた女の子…………? あぁ、見た見た! 確かそこの女子ソフト部の部室に入ってたぞー?」


 そう言って、芦屋が後ろにある女子ソフト部の部室を親指で差した。

 てっきり女々ちゃんは、一階まで逃げたのかと思ったけど、まさか二階に隠れているとは思わなかった。よし、これで捕まえられる! の言葉を借りるなら『チェック・メイト』ってヤツだ!


「オイオイ、待てよ荒木! お前はどこに行こうとしてるんだ?」


 芦屋の横を通り過ぎようとしたところで、芦屋が急に腕を伸ばしたせいで進路を阻まれた。


「……は? どこって、そこの部室だけど?」


「あーーそっかーー。入っちゃうかーーー」


 そう言って何故か溜め息を吐く芦屋。……一体どうしたって――


「――うおっ!?」


 突然、芦屋が伸ばした腕を使って俺の頭をなぎ払おうとしてきた。


「な、なにするんだよっ!?」


 さっき飲んだドリンクの効果が残っていたからか、すんでのところで攻撃を見切り何とか避ける。


「あーやっぱ避けるよなー」


「当たり前だ! 冗談や洒落じゃあすまない勢いだったぞ! どういうつもりなんだよ芦屋っ!」


「んーー、どういうつもりも、こういうつもりもないんだけどな?」


 芦屋が後ろを一瞥すると部室の戸が開き、一人の女の子がノートを片手にゆっくりと出てきた。


「ふむふむ……あのタイミングで避けちゃいますか。なかなか興味深いですね」


「女々ちゃん……!」


 いつもは頭にかけていた眼鏡をちゃんとかけ、何やらブツブツと独り言を呟きながら女々ちゃんは、一心不乱にノートに何かを書き込んでいた。


「この子に用があるんだろ? だったら……俺を倒してからにするんだな!」


 言うが否や、芦屋が拳を構え右腕を鋭く打ち出してきた。


「危ねぇっ!?」


 頭を右に動かし避けると、続けて芦屋が左足を使ったローキックを繰り出してきたので後ろに跳んでそれもかわす。


「おい! ちゃんと説明しろよ! 何でお前が女々ちゃんを守ってるんだよ!」


「…………。……それは、それは言えないんだよ、荒木……!!」


 苦虫を噛み潰したような顔で芦屋が俯く。まさか……脅されているのか? いや、女々ちゃんは脳波をコントロールして自分の思うように操れる音楽を持っている。――まさか、それで芦屋を操っているのか!?

 ノートに何かを書き込んでいる女々ちゃんに視線を送ると、視線を感じたのか女々ちゃんが顔を上げた。


「あ、ちなみに言っておきますけど、この人には()が作った発明品は使ってませんよ?」


「それじゃあ、どうしてコイツが女々ちゃんの言いなりになってるんだよ!」


「女々花がに着いた時に、部室に侵入しようとしてたのを見つけたので『この事を学校中に広められたくなかったら、女々花の言う事を聞いて下さいね?』っていったらあっさりオッケーしてくれたんです♪」


「………………おい芦屋」


「荒木……。人間の本能って……恐ろしいよな……」


「うぅぅぅおらぁぁぁっっ!!」


「うぐぁぁぁぁっ!!」


 とりあえずボディに一発入れておいた。かなりのたうち回っているけど、まぁ六割強の力で殴っただけだし芦屋の事だ、きっと大丈夫だろう。


「冷やしておくとテンションが上がって身体能力が向上、常温になるとテンションが上がらなくなる代わりに動体視力が向上する……ふむ、やっぱり興味深いなぁ」


 じ、実験だって……?


「なぁ……女々ちゃんは一体、何をするつもりなんだよ?」


「……ふふっ♪ 完成が楽しみ……。これさえ完成すれば……きっと……皆、戻ってきてくれるよね……」


 どこか虚ろな目でぼそりと呟いたかと思うと――女々ちゃんはそのまま再び階段を下りていった。


「皆……?」


 続く


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