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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第三話 芭逸女々花の独善たる好奇心
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へん人No.3 朽葉千羽 その11

荒木「えー俺の名前は荒木彰です」

先生「んー、どした荒覇吐?いきなり自己紹介なんてして」

荒木「知人にですね、俺のだけ名前を覚えてくれない人がいるんですよ」

先生「まったく、秋葉原の名前くらいちゃんと覚えてやれって感じだなー」

荒木「先生、人の振り見て我が振り直せ。って言葉を知ってますか?」


以下、本編です。

「……暑い」


 目を覚ました俺がまず発した言葉は、俺の寝室に満ちている梅雨特有のジメジメとした空気に対する文句だった。

 部屋の上部に取り付けてあるエアコンを見ると稼働している事を知らせる緑のランプが消えていた。


「……暑いはずだよ」


 覚醒しきっていない頭と瞳をなんとか行使して、枕元に置いていたリモコンを仰向けのまま手探りで探し、操作する。


「え……っと……これでよしっと」


 ピっとエアコンが小さく電子音を鳴らし、ぶぅぅぅんと低い音を唸らせる。そして、数秒が経過した後、床に敷いた布団の中から顔を覗かせていた俺に、心地のいい爽やかな風が当たり出した。


「ふぁぁぁぁ……」


 それにしても眠い。今っていったい何時だろう。

 エアコンが運んでくる風を顔に受けながら、今度は目を瞑ったまま眠る前に枕元に置いたスマホを探してみるが、何故かそれらしい感触がない。

 おかしいな? 確か、寝る前この辺に置いたはずなんだけど……。

 目を少しだけ開け、軽く周囲を見渡してみるとスマホらしきものは枕のすぐ横に置いてあった。


「なんだ……あるじゃないか」


 スマホの電源ボタンを押して、ホーム画面に表示されたデジタル時計を確認すると、現在の時刻は午前四時ジャスト。


「四時……って、人間が起きる時間じゃねーよ」


 それに、半ば処理落ち仕掛けている頭で計算しても、あと八時間は余裕で眠れる。となれば俺がするべき行動はただ一つ、そう、たった一つの簡単な事だ。


「寝よう」


 THE・二度寝。


 限界まで寝る。今日は平日だったような気もするけど、そんなの関係ない。俺は眠たいんだ。学校なんか知ったこっちゃない。今日はもうこのまま布団で過ごそう。

 そう思い、改めて布団を頭まですっぽり被ろうとした時に、ふと違和感を覚えた。


「布団が……重い……?」


 最初は、布団から右手を出していた状態で寝てたから気がつかなかったけれど、明らかに布団が重い。

 もしかして、何かいるのか……?

 もしかして、幽霊?

 恐る恐る布団の上に目をやると――


「へくちっ」


 そこには、栗毛の女の子が可愛らしいパジャマを着て、すぅすぅと天使のような寝息をたてながら、猫のように体を丸めて眠っていた。

 ……がくしゃみをしたってことは、つまりこの部屋が寒いって事か。

 改めてスマホの電源を入れ、リモコンを手に取り、温度を確認するとそこには『25℃』と表示されていた。

 うーん、俺としてはもう少し下げても全然オッケーなんだけど……ここは女子である千羽に合わせるべきか。

 リモコンの温度を『27℃』に設定し直し、千羽の寝顔を見ると、今の温度が快適なのか天使のような寝顔になった。


「う……う、ん……むにゃむにゃ……」


 ん、どうしたんだろ。寝言か?


「……ば」


 ……ば? バイク? バスケ? バレー? なんだろ、なんて言うんだろ。


「倍プッシュ……」


 倍プッシュて。お前はどこの雀鬼だよ。誰と勝負してるかは知らないけれど、ほどほどにしてあげなさい。


「……せ」


 お、今度はせ、か。せ……。せ……。せっせっせーのよいよいよい? ってそんなわけないか。


「せんべーを味噌汁に浸けるとおいしいよね……」


 いったいどんな夢を見てるんだよ。

 しかし、あれだな。ひどく今更な感じがしなくもないけど、どうして千羽は俺の家――しかも布団の上――にいるんだ?

 ――ハッ、これは……もしかして、夢の中でも意識をハッキリと保っていられるというあの『めいせき』ってヤツなのか? 確か、前にパソコンで調べた時には『自分の思った通りに行動でき、好きなように夢の内容を改変できる』ってあったような……。

 って事は……これは夢なのか? いや、夢に違いない! だとすれば、この空間は既に俺の寝室ではない! そう! ここは俺の理想郷ユートピアだっ! たとえ、今から俺が千羽に何をしようが、ここは俺の夢の中なのだから関係なんてない! 何故なら俺はこの世界の創造主なのだから!

 俺は――夢の中とはいえ――千羽を起こしてしまわないよう、そろりと布団を抜け出し、スヤスヤと眠っている千羽のほっぺを触ってみた。



 続く


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