へん人No.1 芦屋春日 その6
荒木「お、復活してる」
天野寺「ほんまじゃねぇ~」
荒木「あれ、天野寺さんじゃないですか。どうしたんですか?」
天野寺「秋葉原くんの新しい言い間違えを思いついたけん、その報告に来たんよ♪」
荒覇吐「だから、俺の名前は荒木だって何度言えばわかるんですか」
天野寺「まぁまぁ、とりあえず↑を見てみんさい♪」
荒覇吐「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」
天野寺「秋葉原改め、アラハバキ~♪」
荒覇吐「…………アリだな」
以下、本文です
ようやくギャンブル大会も終わり、俺たちは狭くもなく、広くもない歩道を並んでバス停へと向かっていた。
普通なら、道を塞ぐような形で歩いていると他の歩行者や通行人の迷惑になるが――ここ、小鉢中峰三丁目は元々あまり人気が無い所なうえ、大会が行われていたプラネタリウムは更にその奥地にあったので、こうして並んで歩いても他の誰かとすれ違う事はなかった。
「それでね、その時ボクは言ってやったんだよ。『ボクと付き合いたいのなら、その腐った根性をアルコールで消毒してこい!』ってね」
「そ……そんな事言ったんだ……。凄いね……チーちゃん」
「いいかいスドー。ああいう男をあしらう時は、キチンと断らないとダメなんだよ? 煮え切らない態度で接してるとすぐに図に乗るんだからね」
「うん……気をつけるね……」
胸に手を当て、どこか誇らしげに千羽が威張っている。
話の内容から察するに、告白された時の断り方をレクチャーしているんだろうな。
栖桐も千羽も、そんじょそこらのアイドルに引けを取らないくらいの美少女だ。おそらく今まで告白された数も俺なんかと比べて段違いだろうし、大人しい栖桐とは対照的に千羽は言いたい事はズバズバ言ってのけるタイプなんだろう。
じゃないと『その腐った根性をアルコールで消毒してこい!』なんて言えるわけがない。つーか……その腐った根性とやらを持ってるヤツって誰なんだろ? 俺の知ってるヤツかな?
「今は友達面してるかもしれないけど、スドーにいつ牙を剥くか分かったもんじゃないんだからね」
「そ……そんなに悪い人には見えないけどなぁ……」
栖桐の身の回りにそんなヤツがいるのか!? 誰だ!? まさか俺じゃあないよね!?
「はぁ……スドー。いいかい? 男は狼なんだよ? 気をつけないとダメ。自分の身を守れるのは自分だけなんだから、油断しちゃダメなんだからね。ボクとしては芦屋なんかとは一緒にいてほしくないんだよ」
「――って、芦屋かよ!」
随分と酷い言われようだなぁオイ!
「アックンも覚えてるでしょ? アイツが去年、ボク達女子に何をしたのか」
「あ、あぁ……覚えてるけど」
『突撃Loveハート!! 恋……おぼえてますか? 俺の翼は君たちだ!! 大作戦』――あの時、芦屋は視界に入った女子に手当たり次第告白してたんだよな。
確か『誰でもいいから俺と付き合って下さい!!』って言ってたっけ…………あぁ、なるほど。それで腐った根性ね。
「スドー。ボク達はあんな出会い方をしてしまったけれど、今からでも友達になれると思うんだ。だから、さ――」
「……そう、だね。私も……チーちゃんともっと仲良くなりたいから――」
二人がほぼ同時に右手を出し、やがてそれが一つに合わさった。
「これからよろしくね」
「うん……こちらこそ」
よかった……これでもう、二人がいがみ合うことはないな。なんてったって友達なわけだし。
――あ、そう言えばアイツに『仇はとった』って連絡しとかないと。えーっとスマホスマホ……あれ? どこに入れたっけ? 上着には入って……ないし、ズボンのポケットにも……ない。ってことは鞄の中にも……ない!?
「お、俺のスマホがない!!」
「あ……私、持ってるよ。使う?」
「サンキュー栖桐――って、なんでお前が持ってるんだよ!」
さらっと鞄から取り出してたけど、どうしてスマホがズボンのポケットから栖桐の鞄に移動してるんだ!? しかも「使う?」って、ポケットティッシュ感覚で言ってるみたいだけど、それ元々俺のだから!
「さっき、アックンがお姫様抱っこされてた時に落としたんだよ」
「なら、その時に渡してくれればいいじゃないか……」
はぁ……とりあえずメールだメール。えーっと、
「お、前、の、仇、はとったぞ。っと」
栖桐からスマホを返してもらい、メールの作成画面を開き、画面にそれだけ打ち込むと『送信』ボタンを押した。やれやれ、これでよしと。
「ん? 荒木からメールだ」
って、この聞き覚えのあるイケメン声は――!
「あ、芦屋!? お前なんでこんな所にいるんだよ!!」
続く




