へん人No.2&3 栖桐&朽葉 その3
おはようございます(^^)/
「……や、やっと着いた……と思うけど、ここで合ってるのか?」
バス停から歩くこと十五分。
俺たちは、噂のゲームセンターとおぼしき建物の前に立っていた。
長時間眺めていると、目に悪影響を及ぼしそうなビカビカと光る赤い看板には、カタカナで『プラネタリウム』と書いてある。
「ゲームセンターなのにプラネタリウム?」と不思議に感じたが、辺りを見渡してみるも他にそれらしい建物は存在しなかった。つまり、そういうことだ。
「ここじゃない……かな……」
「ここだと思うよ」
俺を挟み込むようにして、左右に立っている二人の女の子が同時に喋り、同時に顔を見合わせたかと思うと、同時にそっぽを向いた。
…………やれやれだぜ。
ここにたどり着くまでの十五分間は本っっっ当ーーに辛かった。だって、二人とも喋ってくれないんだもん!
……いや、喋ってくれないって言うと語弊があるか。
正確に言うと、栖桐も千羽も俺が相手なら普通に喋ってはくれた。
ただ、問題なのは、俺が三人で会話を進めようとした場合に限って、二人ともが揃って黙りを決め込んでしまうのだ。
だから、この十五分間は本っっっ当ーーに辛かった!
……え、さっきもそれ聞いたって? それはあれだ、大事な事だからね。大事な事だから二回言いました。うん。
「っていうかさ、早く入ろうよアックン! ボクは早く勝負がしたいんだ!」
千羽は大きな瞳を輝かせながら、まるで新品のおもちゃを目の前に出された子供の様に興奮している。
「いや、そうは言うけどな千羽。一応、作戦やらなんやらを決めておいたほうがいいんじゃないのか?」
「作戦……何かいい考えでもあるの? 荒木くん」
「作戦あるの? それならボクも聞くけど」
またも、二人同時に喋り、二人同時にそっぽを向いた。
二人ともシンクロ率高いな……出会い方さえ違ってたら、仲のいい、それこそ『親友』になれてたんじゃないかと思う。
しかし、実際は見てもらったら分かるように、かなりの険悪。所謂犬猿の仲ってやつだ。俺のクラスメイトと同級生が険悪すぎ……いや、なんでもないです。
「作戦なんて大層なモンはない。でもな、負けた相手にコスプレをさせるようなヤツが根城にしてる場所に行くんだぜ? 用心の一つや二つ、しておくに越したことはないと思うんだよ」
「そうだね……後悔先に絶たずって諺があるくらいだし、吊り橋をバイクで渡る気持ちで臨まなきゃ……!」
「落ちるわーーッッ! そのタイプの後悔はする前に絶てるわーーッッ!」
乗らなければいいじゃない! 渡らなければいいじゃない!
「あ、間違えちゃった……ゴメンね荒木くん……弘法も河童から落ちる……だね……」
「混ざってるーー! 混ざってるよーーッ! 同じ意味の諺が三つもミックスしてるよーーッ!」
「頼もーーッ!!」
「って千羽さーーん!? 俺の話聞いてた!? 俺の意見は完全無視ですかぁーー!?」
ツッコミが追いつかねぇぇぇ!! つーかなんでもうゲーセンに入ってるの!? 馬鹿なの!? もしかして千羽さんって馬鹿なの!?
「た……頼もーー……」
な、何ぃぃぃ!? 栖桐まで!? どうした!? なんかいつもの栖桐らしくないぞ!?
「あぁぁぁ、くそっ! こうなりゃヤケだ! 頼もーー!!」
半ばヤケになりながらも、俺は先に入った二人の後を追って、『プラネタリウム』へと突撃した。
続く




