へん人No.2&3 栖桐&朽葉 その1
一話に纏めたら五千字になってしまったので、
今回は区切りのいいところで三話に分けました。
俺たちを乗せたバスが、長い影を背負いながら道路をゆっくりと走っている。
「…………」
一番後ろの座席から、夕日が射し込む車内をチラリと確認すると、他の席に座っている乗客は俺たちを除くと、一人もいないようだった。
「…………」
『次はー小鉢中峰二丁目ーー小鉢中峰二丁目ーー』
バスのスピーカーから次の停留所の名前がアナウンスされたが、俺たちが降りるのは、この停留所のもう一つ先にある三丁目だ。
「…………」
芦屋の話によると、三丁目で降りて、徒歩でそこから十五分ほど歩いたところに、噂のゲーセンがあるらしい。
「…………」
目的地である三丁目まではおそらく、あと十分で到着する。
「…………」
が、しかし、俺は車内に充満している圧力に押し潰されそうだった。何故かというと――
「…………」
「…………」
その圧力は、俺の両隣に座っている、二人の女子から発せられているからだった。
右隣に座っている千羽は、窓に頭を預けながら外を眺め、左隣に座っている栖桐は、反対側の窓から外を眺めている――が、二人の間には見ることが出来ない、不可視な結界が張られているらしく、バスに乗ってからは一言も発していなかった。
「そ、そろそろ着くなー! ふ、二人とも降りる準備しろよー?」
「…………そうだね」
「…………うん」
沈黙というかなんというか、とにかくこの、ピーンと張り詰めた糸を張り巡らせた空間にいるのも限界だったので、意を決して話しかけてみると、案外、あっさりと二人とも口を開いてくれた。
本音を言えば、このまま仲良くしてほしいんだけど――
「……! フンッ」
「……! …………」
目が会った瞬間、二人ともがまたそっぽを向いてしまった。
「はぁ……勘弁してくれよ……」
どうしてこうなった!? いったいどこで何を間違えたんだ!?
そうだ……確か、五時間目の休憩時間に芦屋とゲーセンに乗り込む話をして――
続く




