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友だちはへん人ばかり  作者: せい
第二話 朽葉千羽の華麗なる勝負
24/92

へん人No.3 朽葉千羽 その7

一気に二話更新してしまったので、お手数ですが、一話前からお読み下さい<(_ _)>

「あーいい天気だなー」


 教室を飛び出した俺は、屋上で一人、日光浴をしていた。

 こうして仰向けに寝ころびながら、流れゆく雲を見つめているだけで、この青空と同じように、俺の気持ちもれとしてくる。


「ま、現実逃避とも言えるんだけどな」


 誰に言うでもなく、一人ごちる。


「ふぁぁ……昼休憩まで一眠りすっか」


 とても梅雨の季節だとは思えないほど、心地よい風を全身に浴びながら、二時間ほどみんむさぼろう。

 と思った瞬間、ポケットに入れておいたスマホがブルブルと振動したので、寝るのを後回しにしてスマホを取り出し、待ち受け画面を確認した。

 すると、画面の下の方に『新着メール 一件』とメールの受信を知らせるウィンドウが表示されていた。


「ん? 誰からだろ」


 ウィンドウをタップし、宛先を確認すると、送信者の名前欄には『くち』と、表示されていた。


「あーそういえば、昨日アドレス交換したんだっけ」


 昨日、公園で出会った不思議な雰囲気の少女。栗色の髪と大きな目が印象的だったボクっ子。

 そんな彼女が、いったい俺に何の用があると言うんだろう? 疑問に思いつつ、メールを開く。



 【件名】 無し


 【本文】 昼休みになったら、

      一人で体育倉庫まで、

      きてくれないか?



 絵文字も顔文字も無ければ、装飾もデコ文字も使われていない、まるで男子のようなメールだと思ったが――


「わ、か、っ、た。送……信。っと」


 気にしないことにした。





 四時間目の終わりと、昼休憩の始まりを告げるチャイムが鳴ったのを見計らって教室に戻ると、学校指定のジャージに身を包んだあしに出迎えられた。


「荒木ー! お前、二時間もどこで何してたんだよー!?」


「何って、サボりに決まってるだろ?」


「だと思ったよ! ま、お前の分のプリントや、ノートはやっておいてやったからな! 感謝しろよー?」


「お、マジで? サンキュー」

 

 いつも通りの友人の姿にホッとしつつ、俺は気がかりだったことを聞くことにした。


「そういえば、さ。……今朝、変なメールが来ただろ? あれ、気にしなくていいから」


「んん? わかった……?」


 眉を寄せながら、不思議そうに首を傾げる芦屋の姿に違和感を覚えたが、そうやってトボケる振りをして、無かった事にしてくれたのだと思い、昼食用のパンにかぶりついた。


「おいおい、何をそんなに慌ててるんだよ?」


「むぐ……いや、ちょっと用事があって……もぐ……さ」


「ふーん。用事、ねぇ」


「そ、用事があんの。ところで、どうは? どこにいるんだ?」


「ほほーう? やっぱり彼氏だから気になんのか?」


「――ッ! ゴホッゴホッ!! い、いや俺とアイツはそんな関係じゃないからな!?」


 突然の質問に、思わずむせてしまった……! コイツ、いきなり何を言い出すんだ!?

 あくまで、俺と栖桐は友達であり友人なだけだ。

 それ以上でもそれ以下でもない……はずだ。


『これからも今の関係でいさせて下さい!!』


 あの日、栖桐に言われた事を思い出した。

 今までの関係をアイツが望んでいるのなら、俺もそれ以上やそれ以下の関係になることを望まない。だって、俺は――


「――ぃ……ーーい……おーーい、荒木ー? 聞いてるかー?」


「んっ!? あぁ、わりい芦屋。でー、なんだっけ?」


 気がつくと、芦屋が俺の顔の前で手を振っていた。どうやら少しの間ボーッとしていたみたいだ。


「なんだっけ? じゃなくてよ。この後、用事があったんじゃなかったか?」


「用事……あッ!!」


 そうだ、俺は呑気に飯を食ってる場合じゃなかったんだ! 早く体育倉庫に行かないと!!

 栖桐がどうしていないのか気にはなったが、これ以上、芦屋と話していると、昼休憩が終わってしまいそうだったので、三分の一ほど残ったパンをジュースで一気に喉の奥へと流し込み、俺は教室を後にした。





「はぁ……はぁ……も、盲腸がァ……」


 食後に全力疾走をしたので、盲腸がギュウっと握りつぶされるように痛んだが、なんとか我慢し、俺は目的の場所である体育倉庫へと到着した。

 千羽のメールによると、この辺りにいるはずなのだが……辺りを見回しても彼女の姿は見えなかった。


「イタズラ――なわけはないと思うけど」


 もう、教室に帰ったのだろうか? そう思い、もう一度辺りを見渡すと、体育倉庫の戸が少しだけ開いている事に気づいた。外から様子を伺うと、電気は点いておらず、小さな窓から微かに光が差し込んでいるだけだった。


「暗いな……。まさか、この中にいるのか?」


 恐る恐る戸に近づき、そぅっと戸を開け、中に入る。思った通り体育倉庫の中は薄暗く、おまけにほこりっぽい。


「千羽さーん……いたら返事してくださーい」


 試しに呼んでみるが、返事がない。やっぱりもう帰ったのか? そう思い、きびすを返そうとした瞬間――


「とうっ!!」


「グハァッッ!!」


 背中に大きな衝撃が伝り、床に置かれていたマットに顔面からダイブしてしまった。


「おっっっそい!! 昼休憩が始まってからもう十分も経ってるよ、アックン! ボクは昼休憩が始まった直後からここで待ってたっていうのに、どういうことなんだい!?」


 俺を吹っ飛ばした犯人はーー言わずもがな、朽葉千羽だった。


「だからって、ドロップキックする事はないんじゃないか!? マットがなかったら、怪我してるところだったぞ!?」


「それは大丈夫。ちゃんとアックンがそこに倒れるように、考えて蹴ったから」


「計算通り?」


「いや、計画通りだよ」


 そう言うと、千羽は小悪魔のような微笑を浮かべながら、親指を突きだした。……さいですか。


「つーかさ。こんな所に呼び出して何をするつもりなんだ? まぁ、もう昼飯も食べたし、残り時間は大手を振って遊べる自由時間なわけだけどさ」


「……このメールは、どういうつもりで送ってきたんだい?」


「メール?」


 そう言いながら千羽がスマホを眼前に突きだしてきたので、画面に目をやると、そこには俺が送ったメールが表示されていた。が――


「――ッッ!?」


 せつ。――俺は、海馬に直接電極をぶち込まれたかと思うくらいの衝撃に襲われた。


 何故なら、千羽に送られてきたという、俺からのメールには――



 【件名】こらぁ~~(はぁと) 


 【本文】ねぇねぇ、いまなにしてるの~~??

     オレっちはお前が学校にいないから

     メチャさみしぃよ~~TT

     早く学校に来てくれないとぉ……





     おこだゾッ☆



 芦屋宛に送ったはずの内容が、一字一句、寸分違わず、書いてあったからだ。



「……言い訳をさせてください」


「よろしい」


 薄暗く、埃っぽい午後の日差しが差し込む体育倉庫の中で、俺はマットに頭を擦りながら土下座をした。



 続く



出来れば明日も更新したい……

けど、ストックがぁ……!

プロットがァ……!

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